【感想・ネタバレ】砂糖の世界史のレビュー

あらすじ

茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖。この、甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて、近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く。大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって、いきいきと動き出すかのよう。世界史Aを学ぶ人は必読!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

普段何気なく口にしている嗜好品が、どれほど大きな歴史の流れと結びついているかを実感した。
コーヒー、紅茶、砂糖、チョコレート――これらはいずれも大航海時代以降、ヨーロッパがアメリカ大陸を「発見」し、プランテーションによって大量生産されることで広まった。

印象的だったのは、紅茶に砂糖を入れるという文化の始まりである。当初は、上流階級が高級品同士を組み合わせることで自らの地位を誇示する一種のステータス表現であった。ところがそれが次第に庶民へと広がり、やがて労働と密接に関わる飲み物へと変わっていったという点に、歴史のダイナミズムを感じた。

砂糖を入れたコーヒーや紅茶は、ただの嗜好品ではなく、近代社会において時間に縛られた生活や勤勉な労働を支える「燃料」としての役割を果たした。甘味がもたらすエネルギーと、カフェインによる覚醒作用は、産業革命以降の労働社会にぴたりと適合したのである。

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2025年09月15日

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