川北稔のレビュー一覧

  • イギリス 繁栄のあとさき

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    イギリス 繁栄のあとさき

    川北稔さんの、記念碑的名著。川北さんと言えば、近代世界システム論という新たな歴史観を提唱し、南北問題の解決の困難さを論じたエマニュエル・ウォーラ―ステインの日本語訳を行い、自らも『世界システム論講義』などの本を出す、世界システム論の第一人者だ。
    その川北さんが、史上2番目のヘゲモニー(覇権)国家となったイギリスが、覇権を握るところから、現代に至るまでを様々な観点から論じると共に、そこから得られる教訓を、どう日本に活かすかということが書いた本が、本書である。

    いささか、専門用語が多くなってしまったが、ここで最も重要な概念である近代世界システム論を簡単に解説すると、歴

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    2020年04月18日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    ネタバレ

    世界の歴史を特定の国に注視するのではなく、世界を有機的に結びつけられたシステムとして考える本書。
    ある地域で発生した事象をきっかけにそれが他の地域に影響を及ぼしていく様を追いかける。

    まず、はじめの問いかけがなぜこの世界には現在に至るまで地域間の格差が生じているのか?という点から始まり、世界の中心がヨーロッパになったのはなぜなのかを深掘りしていく。

    以下、個人的あらまし。

    ①15世紀くらいまではどこも似たり寄ったりの封建的国家であり、小領主が農民を武力で支配していた。

    ②技術の発展(火薬や武器)に伴い、農民の不満を小領主では抑えられなくなり、「国家」に頼るようになる。こうして国家が成立

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    2019年01月26日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    各国を個別事象的に見て、ある国を「先進国」、またある国を「後進国」とラベリングするのは狭小な「単線的発展段階論」であると断じ、近代以降の世界は一つの巨大な生き物、有機体の展開過程の如く捉えるべきだとする論が主旋律。

    封建制の崩壊と国民国家の成立に端を発し、その後スペインとポルトガルによってもたらされた大航海時代が近代世界システムの成立を告げ、やがてオランダ、イギリス、アメリカと、ヘゲモニー国家の覇権を巡って各国が「中核」の座を争った陰には、「周辺」として極度に低開発化された国々が。それはさながら「光」と「影」であり、この近代世界に影を落としてきたのは紛れもなく中核国そのものである。

    この「

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    2018年01月15日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    著者は「砂糖の世界史」や「イギリス近代史講義」といった名著を書いた川北稔氏。本書も平明で筋が通っており、がってんボタン100回くらい押した。

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    2016年04月08日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    超絶名著。近代ヨーロッパ史の流れがまるわかりできる。様々な断片的知識が繋がっていく爽快感はたまらない。

    2017年1月6日追記

    世界システム論について今一度考えてみると、中核―周縁関係の中で、垂直的関係があることが、南北問題が解決しない一つの理由として挙げられている。中核国家が産業の高度化を成し遂げたために、周縁国家は産業の低次化を強いられた。東方植民に見られるエルベ川以東の再版農奴制やインド植民地のモノカルチャー化はイギリスを筆頭とする西欧の産業化との関連性の中で考えられる。さて、そこで重要に思えるのは、低開発化された周縁では労働力のコストを下げるために、非/低賃金労働を強いられるという

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    2020年12月26日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    ウォーラーステインに基づいた世界システム論の概説書。原本は放送大学の教科書なので、分量的制限からミニマムエッセンス的な記述となっており、取っつきやすい。大航海時代以後のヨーロッパ中心の近代世界を対象に、システム論的な見方で世界史を概括する。たとえば英国の産業革命ですら世界システムの影響から逃れ得なかったなど、示唆に富んでいる。近代世界の移民問題について知りたい場合にも重要な観点である。15世紀以前のヨーロッパ世界についてはアブールゴド「ヨーロッパ覇権以前」をひもといてみたい。

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    2016年02月13日
  • イギリス 繁栄のあとさき

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    イギリス近代史の大家である川北稔氏の著書。
    著者の関心は近年日本の経済的衰退が問題となっているが、これを歴史的に見た場合にはどのように考えられるのか、という点である。
    そこで、かつて大英帝国として世界中にコモンウェルスを築き繁栄したヘゲモニー国家イギリスの衰退期を紹介した。

    従来イギリスの衰退は産業革命以後の工業の衰退が指標となって論じられてきたが、川北氏は近年イギリス史で盛んとなっている「ジェントルマン資本主義論」を以て批判する。
    というのも、ウィリアム・ペティの法則「第一次産業→第二次産業→第三次産業」も踏まえて産業革命と呼ばれる程の大きな変革は存在しなかったとしている。

    また、これま

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    2015年07月20日
  • イギリス 繁栄のあとさき

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    [模範としても、反面教師としても]日本においてはときに近代化のモデルとして、ときに「英国病」という言葉が示すように衰亡する国の例として捉えられてきたイギリス。その認識の変遷を確認しながら、イギリスから改めて学ぶべきことは何かについて思いを寄せた歴史エッセイです。著者は、大阪大学名誉教授などを歴任され、I・ウォーラーステインの『近代世界システム』の邦訳も手がけられた川北稔。


    執筆されたのが日本においてバブルが崩壊した直後ということもあり、「"衰退"と思われる状況にどう対処するか」という点に力点が置かれています。ただ、特効薬的な回答に走るのではなく、歴史研究者として長期的な

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    2014年09月19日
  • イギリス近代史講義

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    世界システム論+川北さん、久々に目にしたコンビでした。
    で、つい手に取ってみました、、十数年振りですかね。

    斜陽といわれて久しい大英帝国、その斜陽の推移を追うことで、かって経済大国であった我が国”日本”への、
    今後の立ち位置にも敷衍できる点を見出せるのではないかとの、一冊になります。

    取り上げている題材もわかりやすく、本質的には現在の日本の状況にも合致する点を多く感じました。

    ん、”進歩史観”をもう一つ深めた概念が”成長パラノイア”になるのでしょうか。
    ”成長しなくてはいけない”との強迫観念に縛られている、とは言い得て妙ですね。

    ただその強迫観念、まったく的外れかというとそうではないと

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    2011年09月14日
  • イギリス近代史講義

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    I・ウォーラーステインの世界システム論をベースとしてイギリスの近代産業革命の成立を説明する。講義を元にして書籍化されているので授業を受けているような感覚で読める。とくにイギリスのジェントルマンの成立のくだりは興味深かった。

    ジェントルマンとは、もともとイギリス各地を治めていたカントリージェントルマン(貴族)たちを指していていたのたが、産業革命が起きてロンドンにシティ(都市)が成立するとともに、地方の貴族と都市に住む新興ブルジョワジー(資本家)や特権的職業階級(弁護士・医師など)の交流の場として社交界も誕生した。そしてこれら社交界に出入りするような人々を一般的にジェントルマンと呼ぶようになった

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    2011年08月16日
  • イギリス近代史講義

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    なかなか堅苦しい題名の本ですが、なかなか面白い内容でした。帯にもあるように「大英帝国の興亡から現代日本を考える」と言うことで、日本はイギリスの追体験してきたようなところがあるのではないかという発想は面白いものがあります。しかし、そこから何を学ぶかと言うとこれがなかなか難しい。

    イギリスがどうして「世界で最初の工業国家」となったのか、そしてその後20世紀後半に到来した「イギリスの衰退」とを同時に考察することの意味、さらには、そもそも「成長」とか「衰退」と言う意味は何を持って言うのかってことまで考えると面白くなってきます。

    日本も高度成長時代から、失われた10年(もっと失われている感じですが(

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    2011年05月23日
  • 生活の世界歴史〈10〉産業革命と民衆

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    このシリーズも自分の専門だけあげますが、他のも面白そうでシリーズ買いしたのかな?中国史のとかも面白かったです。

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    2009年10月04日
  • 砂糖の世界史

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    "アジアの東の端で採れた茶と、西の端のカリブ海の砂糖がイギリスで出会う"

    砂糖をめぐって様々な国や人の思いが交差して生まれた歴史は、未知の発見と新しい時代の成り立ちを疑似体験でき、めっちゃ面白かったです。

    読みやすい語り口もジュニア新書ならではの魅力。

    こういう本を読むと、昔に比べると奴隷制度はやっぱり減っているし、世界は良い方向に進んでいるじゃないかなと思います。

    中学生のお子さんにおすすめしたい一冊で、歴史に興味をもつきっかけになります。

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    2026年04月05日
  • 砂糖の世界史

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    よくおすすめにあがってくるので読んでみた。
    砂糖は自分にとって「おいしいけど健康に悪い」程度の認識だった。ところがこの本を読むと、かつては万病に効く薬であり高貴なものだったという。同じものでも時代や環境が変われば認識がここまで変わるのかと驚かされる。

    あと、この本は苦々しい。
    砂糖の生産には、収穫から精製までの工程に厳しい時間的制約がある。当時のヨーロッパの人々は農業中心の晴耕雨読の暮らしで、近代的な時間規律とは無縁だった。その制約を満たすために、奴隷たちが正確な時間での重労働を強いられた。そして利益はヨーロッパの側にしか流れない。タイトルの甘く楽しげな雰囲気とは裏腹に、読み進めるほど苦々し

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    2026年04月04日
  • 砂糖の世界史

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    とても読みやすくわかりやすく、そしてためになった。
    最近読んだイギリスの野鳥博物館の盗難事件のノンフィクションを読んでいるときもそうだったけれど世界史図説を引っ張り出してきてノートを取ってしまった。興味を持ったその先へつなぐ案内人として岩波ジュニア新書は最高。
    歴史を学ぶと、本当になんというか列強のしてきたことというのは…となる。

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    2026年03月29日
  • 砂糖の世界史

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    パン作りを始めて気になっていた砂糖とは何なのか。
    フランス人友達がマルティニクに旅行しラム酒をお土産に持って来てくれたのだけど、考えさせられてしまった。
    イギリス人がお茶を飲む理由、ハイティーと労働者の着付けの友、カリブ海についての歴史が学べた。
    軽すぎず重すぎず、読み応えのある本だった。

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    2026年03月22日
  • 砂糖の世界史

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    1. 「生活習慣」のルーツ:砂糖が現代の労働リズムを作った
    ​最も関心を持たれていたのは、食文化が**「時間概念」**という目に見えない社会ルールに変容した点ですね。
    ​エネルギー源としての砂糖: 砂糖入り紅茶が、産業革命を支える労働者の安価で手軽な「ガソリン」となったこと。
    ​労働スタイルの変化: 以前の「晴耕雨読」のような自然に合わせた働き方から、砂糖の摂取によって「時間厳守(ワークスケジュール)」で動く近代的な労働スタイルへと人間が適応させられたこと。
    ​日常への浸透: 私たちが当たり前に使っている「時間割り」や「スケジュール」の裏に、実は砂糖という物質が深く関わっていたという驚き。

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    2026年03月03日
  • 砂糖の世界史

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    『モノをつうじて世界をみる』今の生活ではおなじみの砂糖について、成分についての解説ではなく育てる、つくる、消費するを切り口にした一冊。プランテーションのことや奴隷制度など授業で習うことを少し深く解説しています。

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    2026年02月16日
  • 砂糖の世界史

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    砂糖という世界商品を中心に世界史を紐解こうという本でした。
    三角貿易、奴隷制度、プランテーション、ティーパーティ、産業革命といった、かつて列強と呼ばれたヨーロッパ諸国やアフリカ、南アメリカとの関係性を理解するためには非常に良い内容でした。

    奴隷など少しげんなりする内容もありますが、砂糖を使った紅茶やコーヒー、チョコといった商品を提供する喫茶店が、人のネットワークを繋ぐ根底になっていたのは驚きでした。

    産業革命以降は少しずつ下火に思えますが、砂糖というテーマでここまで面白く深掘りできるのか、と驚きでした。

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    2026年02月07日
  • 砂糖の世界史

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    歴史は変わらないけど、見方によって印象は大きく変わる。
    "国"でなく"モノ"から見る世界。
    砂糖が人の心を打ったのは希少性なのか、麻薬性なのか、はたまた国の発展のためなのか。
    植民地の土地や労働に依存した糖は、薬として、嗜好品や朝食として形を変え人々の生活に侵食する。
    ひとつなぎの歴史が個々の国のカルチャーを作っている。そう再認識できた。

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    2026年02月01日