志水辰夫のレビュー一覧

  • 負けくらべ
    シミタツ節が円熟味を増して帰ってきた!
    訊けば、御歳86歳にして書いた傑作国産ハードボイルド。年齢を聞かずして読んで「変わってないなぁ」と感じていたのだが、登場人物たちの大半が60歳以上、それでも自分より年下ってことだからなぁ。

    ハードボイルドって言うても、派手なアクションシーンは後半を除きほぼな...続きを読む
  • 負けくらべ
     読み終わった後もいつまでも残る作品だ。熾火のようなものが心に残り、その後しばらくしても存在を示してゆく。もしかしたら、こちら読者側の思い入れかもしれない。志水辰夫の現代小説にかつて夢中になり、作品を貪り、全作を熱い想いで読んできた自分史ということから来る極めて個人的なほとぼりのようなものなのかもし...続きを読む
  • 負けくらべ
    北方謙三、大沢在昌、馳星周らが絶賛!
    80オーバーの高齢でこの迫力!素晴らしい!!
    ヨカッタですよ~
  • 負けくらべ
    50年ほど介護の仕事をする三谷孝。内閣情報調査室関連の仕事をしている。趣味のバードウォッチングをしていたら偶然知り合った大河内牟禮は財団理事長。なんだか気に入られて秘書的なことをしていると巻き込まれる事件。

    久しぶりのシミタツ。「背いて故郷」とか「裂けて海峡」 よりも白石一文っぽかった。しかし、リ...続きを読む
  • 疾れ、新蔵

    時代小説もいい!

    著者の現代小説とは異なり、ひりつくような孤独を背負った主人公が、これでもかと逆境に追い込まれることはありません。志水節もありません。ロードノベルとして軽快に話が進みます。ですが、ただ明るく楽しい旅物語ではなく、登場人物の背景や出くわす事件等には辛く、重い内容があります。
    機転を利かせてピンチを脱した...続きを読む
  • 青に候
    前半は、長々していたが、後半になって俄然面白くなる。
    幕末を背景とした、小説は数多く、司馬遼太郎や藤沢周平の歴史観でしか
    考えた事が無かったが、志水辰夫を知って目が覚めた。
    「藩主なんてものはな。頭にかぶる菅笠とおんなじなんだ。・・・・・
    使い勝手が悪かったりしたら、ほかの笠と取り替えればいいんだ。...続きを読む
  • つばくろ越え―蓬莱屋帳外控―
    とにかく、面白い。
    久々に、読んでいると、空が明るくなるまで読んだ。
    時代小説は、2作目だが、早速 大人買いして読もうと思う。
    小説ってこうじゃなきゃ。
  • 行きずりの街
    面白かった!そもそもどんな枠組みの話かも分からない中でどうなるか?と最後まで一気に。
    とても面白い小説でした。
  • 行きずりの街
    〇ザ・ハードボイルド。男前の主人公が十数年前の謎に挑む
    地方の街で塾講師をやっている波多野は、教え子が失踪したと彼女の伯母から相談を受け、上京し、行方を調べていた。教え子の名は広瀬ゆかり。彼女のアパートの周辺を調べていると怪しいものもうろついており、失踪には何らかの事件性も考えられる。マンションの管...続きを読む
  • 行きずりの街
    感動しました。
    読後もしばらく余韻に浸りました。
    久々に歯ごたえのあるハードボイルドでした。
    男のロマンです。

    何かミステリー読みたいなって思い、読み始めたが、実は大人のラブストーリーでした。
    切なく苦しい恋愛です。
    別れた女をいつまでも引きずるのは男の悪い傾向です。
    そしてその女性...続きを読む
  • 十五少年漂流記
    題名のとおり、十五人の少年が漂流してしまう冒険小説。
    漂着した無人島でのザバイバル生活。仲間との協力。少年たちの自立が描かれている。
    王道的ストーリーならではの良さがある。
  • 十五少年漂流記
    あのシミタツが十五少年漂流記とは…
    これが結構、良くできてる
    小さい頃を思い出しながら楽しく読めた
    この「痛快世界の冒険文学」はGOODですね
    4.6点
  • つばくろ越え―蓬莱屋帳外控―
    痺れた!。傑作。ラストの一行がビシッと決まる。
    素晴らしい。

    江戸の旅ものが続くけど偶然ではない。つい、惹かれてしまう。本書の一編に、きよのさんのように豪勢な旅をして買った物を家に送る女性が登場する。きよのさんのようなキャラでは無いのだけど。
  • 十五少年漂流記
    十五人の学生たちが、航海中に流れ着いた無人島でたくましく生き抜いていこうとする冒険活劇。極めて王道的な冒険小説で、そのシンプルさゆえに素直に物語に入り込むことができました。登場人物も魅力的で、これを読んだ小学生の頃には主人公のブリアンにとても憧れていました。純粋な子ども心に帰って冒険を楽しむことがで...続きを読む
  • 飢えて狼
    久しぶりに、面白いハードボイルドに出会った。

    主人公の渋谷は、マッターホルン北壁の単独登攀を行うなど一流のクライマーだった。
    今は、引退してマリーナを経営している。
    突然の訪問者により、壮大な事件に巻き込まれてゆく。

    一気に読み進んでしますとても面白い小説だ。
    これが、著者の処女作というから凄い...続きを読む
  • 裂けて海峡
    書評:歳月を費やしようやく向かいあえた男女を、圧し潰そうとする“国家”。運命の夜、閃光が海を裂き、人びとの横顔をくっきりと照らし出す。

    感想:いやー、どこまでいくねん。ちょっと反省。SF⇒冒険小説との変遷で出会った作家。文体がいい。何十回と読み直しているが毎回いい!
    男はつらい、女は悲しいのよ...続きを読む
  • きのうの空
    少年期から壮年期までを10のアングルから描き分けた短編集。

    旅立ち
    短夜(みじかよ)
    イーッ!
    家族
    かげろう
    息子
    高い高い
    夜汽車
    男親
    里の秋
  • 青に候
    2009/10/3 ジュンク堂三宮本店にて購入。
    2021/5/24〜5/29

     12年ものの積読本にして、3年ぶりの志水作品。志水さんの初時代小説。初期志水作品で見られた熱い男が時代小説を舞台に復活。久しぶりのシミタツ節に感動。
  • きのうの空
    新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2008/8/9~8/10
    久しぶりに読んだ志水作品である。昔のハードボイルド路線も良いが、最近のなんというか、人生の重みのようなものを感じさせる作品も、なかなか他の作家にはない良い味をもっている。今回は、さまざまな「別れ」がテーマになっている10作の短編集。家族...続きを読む
  • 背いて故郷
    今年はお休みの日によく雪が降る。今日も朝目覚めると一面の雪。この本の舞台の鶴岡や築別には遥かに及ばないけれど。
    「おすすめ文庫王国」に北上次郎から“志水辰夫はこの五冊を読め!”とあり、今更ながらにシミタツである。
    悲惨な物語で、主人公はあがけばあがくほど状況は悪くなり、話が進めば進むほど暗い出自が明...続きを読む