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行方を絶った北前船には、恩義ある人の嫡男が乗っていた。破船の噂を頼りに、新蔵は一人の少女を連れ、長崎福江島を出港した。向かうは波濤逆巻く東シナ海の彼方、アヘン戦争まっただ中の清国だった。冒険時代小説、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
新蔵シリーズ第2弾。 時代物とはいえ、意外と国際的な話になっていて驚いた。当時の日本が鎖国していたとはいえ、海外とのつながりがなかったわけではないことが分かる。 本書で、新蔵が1週間ほど剣の達人めいた人に師事したことが明かされる。とはいえ、修行といえば鉄芯入りの木刀を振るだけ。それで強くなれるという...続きを読むのはロマンがある。 いわゆる「からゆきさん」崩れの女性も登場する。これが「母性のモンスター」のような存在で、荒くれ者がコロッと籠絡されてしまうのが面白い。もちろん、新蔵は、文武両道のパーフェクトボーイなので(高等教育機関で学んだわけではないだろうが知的人種であることは間違いない。)、そういう勢力に取り込まれることはない。 初期の作品から海を舞台とすることが多かった著者だけあって、さすが航海の描写はお手の物といったところ。クライマックスの活劇を含め、シミタツさんの資質が活かされた作品だと思う。
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