あらすじ
海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。乗組員は全て死亡したと聞く。遭難の原因は不明。遺族を弔問するため旅に出た長尾の視界に、男たちの影がちらつき始める。やがて彼は愛する女と共にある陰謀に飲み込まれてゆくのだった。歳月を費やしようやく向かいあえた男女を、圧し潰そうとする“国家”。運命の夜、閃光が海を裂き、人びとの横顔をくっきりと照らし出す。
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Posted by ブクログ
書評:歳月を費やしようやく向かいあえた男女を、圧し潰そうとする“国家”。運命の夜、閃光が海を裂き、人びとの横顔をくっきりと照らし出す。
感想:いやー、どこまでいくねん。ちょっと反省。SF⇒冒険小説との変遷で出会った作家。文体がいい。何十回と読み直しているが毎回いい!
男はつらい、女は悲しいのよね。ラストの1行が超有名。
『天に星。地に憎悪。南溟。八月。私の死。』
Posted by ブクログ
國家權力と人間の自由、そんなことは脇に置いても、
この作品は充分に面白い。
一人稱冒險小説の傑作である。
すべてが無となる結末も潔いではないか。
2004年9月8日讀了
何で書き換えた?!
この新潮文庫版は、著者の意向で改稿が為され、他の方がレビューしている「ラストの一行」が全く異なる形に書き換えられています。
著者の考えの中で「体言止め」や「単語」で〆る書き方が気に入らなくなったのか何なのか知りませんが、その書き方で多くのファンから「シミタツ節」とまで称された文体を、改版を機会に書き換えてしまうと云うのは、読者に対して傲慢過ぎると思うのです。
昔通りの美文体を読みたい方は、御面倒でも旧版の「講談社文庫」を古本にてお買い求めください。
中味云々の問題では有りませんが、こういうやり方は嫌いなので、敢えてキツいレビューを投稿いたしました。すみません。