ミネット・ウォルターズのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一番最初は話の展開がさっぱり見えずとまどったし、前半部分は舞台装置を整えるための状況説明とかでなかなかまだるっこしかったけれど。弁護士のマークが違う観点から事態を見直したあたりから、ドミノ倒しのようにパタパタパタパタとそれぞれの登場人物が動き出し、ドラマもありアクションもありの結末までの流れはさすがCWA賞受賞作家。
イギリスの旧家ロキャー・フォックス家の馬鹿息子&馬鹿娘、いろいろなしがらみと愛情で判断を誤ってしまったその両親、母親の方の死にまつわる不自然な点と根強い噂、残されたロキャー・フォックス大佐をいたわる弁護士、馬鹿娘の私生児として生まれたけれど養父母に育てられ毅然とした軍人に育った孫娘、周りに済む人々の妬みと嫉み、、、そこにトラヴェラー(”ジプシー”と言われた方がわかりやすいですが政治的に正しくない呼称ということでたぶん”トラヴェラー”となっている)が土地を占拠した、という不穏な状況が重なって、、、
イギリスの法律事情(所有者がはっきりしていない土地はそこを占拠して囲い込んだ者が所有権を主張できる?!)がよくわからなくて最初はとまどいましたが、人物の描写がとてもリアルで深く、おもしろかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族惨殺事件の犯人に取材することになったリズは犯人とされている長女オリーブに取材をしていくうちに、犯人は他にいるのでは?と感じ、周辺の人に聞き込みを始める、という内容。
囚人になっているオリーブに同情心がわかないんだけど、時折キラリとした知性も垣間見せたりして、なかなか油断ならない人物。なのでホラーかなと思ったら、元警官のハルが出てきて段々ロズとハルのアクションロマンス風に。
殺された妹も最初は天使のようという評価だったのに、聞き込みを続けていくうちにそうではないこともわかるし、犯人もちょっとあれな人だし。
こういう心神喪失状態の人が犯人というオチは昔懐かしいなあと思ったら、この作品も90年代の作品で、当時はこのオチ(角川ホラー文庫等)を使ったサイコホラーよく見たなあと懐かしく思いました。
巻末のこき下ろし解説は読み応えあり。ここまで忖度のない解説も珍しいし「女臭い」小説とは私も完璧に同意。 -
Posted by ブクログ
母親と妹を切り刻んだ凶悪な犯行で無期懲役になったオリーヴ。
精神鑑定の結果は正常で、罪を認めて弁護を拒んでいる。本当に彼女の仕業なのか...?
オリーヴは正常なのか?
それとも精神異常者か?
どこまでが真実でどこからが嘘なのか?
その時々で変わるオリーヴのテンションにブンブン振り回される。
さらに登場人物がそれぞれに問題を抱えていてる人ばかり。
誰を信じたら良いのかわからなくなる。
真実の心理描写が読みとりづらくて、ちょっと難しくて疲れたなぁ。
最後までモヤモヤの霧がスッキリと晴れなかった。
解説は嘘でも作品の良いところを紹介するものだと思ってたけど、「この作家は苦手だ」と酷評しまくっている正直過ぎる解説が斬新。
この作品はジル・チャーチルの本の最後に宣伝されていて気になって読んだ。
今度は杉江松恋さんおすすめのミネットを読んでみよう。
★3.5 -
Posted by ブクログ
これでミネットちゃんの4冊目かな。
さすがにおもしろい。
とある資産家の老婦人が自宅の浴槽で遺体で見つかる。
体内から睡眠薬が検出され、手首がナイフで切られているその姿は一見して自殺のようでもあったが、異様なものが頭に被さられていた。
スコウルズ・ブライドル。口やかましい女に罰として頭に被せる拘束具が。
はたしてこれは自殺なのか、他殺なのか。
スコウルズ・ブライドルの意味するものはなにか。
老婦人の主治医である女性主人公に、遺産の全てを譲渡するという遺言が発表されると、関係者たちの混乱はいっそう深まっていく。
人物かな~? 人物描写がうまいのかな~?
最初の引きはもちろん異様な死体に興味がいくんだが、中盤あたりからはどうでもよくなってくる。
それよりも被害者の老婦人の生きざまのほうに惹きつけられていく。被害者で加害者で嫌われ者で哀れで美貌の持ち主で傲慢不遜で金持ちで。
母、娘、孫と女三代に渡って男運がない。
主人公の旦那はただのクズだと思っていたら、どんどん立体的に魅力的に描かれていく。
やっぱ人物だよな~。惹かれるのは。
★4でもいいかと思ったけど最後が少々残念。
犯人があいつか~。
動機がそんなんか~。
あのスコウルズ・ブライドルの意味って……。
などなどが物足りない。
でもミネットちゃんは狭いコミュニティを題材に使うのがうまいな。
そこを出たくても出て行けない、出ても戻って来てしまう。
そこでの濃密な人間関係。
こういうのもクローズドサークルといえるのかも。心理的な。
物理的なトリックより心理的なそれの方が好きなように、心理的なクローズドの方がいいかもな。
そうそう。
今回はシェイクスピアの話「リア王」なんかもちょっと触れるんだけど、俺ってまともにシェイクスピアを読んだことも観たこともないんだよな。
海外の人って当たり前にシェイクスピアとか引用してくんのね。
読むのは大変そうだから、舞台とかで一回ちゃんと観てみたいな。 -
Posted by ブクログ
大好きなミネット・ウォルターズも本作含めて残りあと2冊となってしまいました
次がラストってことですな
うーん、なんとかならんかね?
未訳作品がまだ残っておるのだよ
創元社さん頼むよほんと
今作はちょっとごちゃごちゃし過ぎかな?って思いました
またいつものミネット作品にある終わり方の爽快感も少し控えめ
なのでちょっと不満
だけどやっぱり魅力的な女性を描かせたら当代随一!これは間違いない!(ビシィッ)
この魅力的な女性が恐怖と向き合い勝利を収めるってのがミネット作品ですと言い切ってもいいくらい
だから、むしろ男子に読んでもらいたい
もしわいが「委員長」ってあだ名の中二女子だったら、学級会とかで「ちょっと男子がうるさくて会が始められませ〜ん。男子は静かにしてくださ〜い。あとミネット・ウォルターズ読んでくださ〜い」って言っていたと思う
良かったな、中二女子じゃなくて -
Posted by ブクログ
大好きなミネット・ウォルターズも本作入れて残り3作
大事に読んでいきたい
ミネット初めての中編集、制約のある中で書かれたものらしく、ミネットらしい朗らかさがあまり感じられなかったので残念
『養鶏場の殺人』
うわー、こんな女いるよなーというかなりめんどくさい女性が登場
そりやそうよね実話がもとらしいので
さすがの筆運びで、ほんとこの女性がイライラさせられる
上手い
上手いけど面白いかといったら、う〜ん
『火口箱』
偏見による思い込みが悲劇を生むのと同様にその逆も…という社会派ミステリー
こちらはミネットらしい朗らかな女性が登場して少し好み
あ、でもよく考えるとミネットらしさってとことん後ろ向きな女性ととことん前向きな女性の書き分けのような気がする
そうか片方しか登場しない中編だとまさにミネットの魅力半減なのか -
Posted by ブクログ
『惨い。酷い。辛い。』読む前からおどおどしてしまう帯付きの長編ミステリー、いつもながら読み始めると止まらないミネット・ウォルターズ。男性側から女性に対して勝手に貼られたレッテルについて注意を喚起するというのが本書の隠れた目的であるという解説の一文があった。犠牲者は遺体となって登場するので彼女の言い分は聞こえてこない。なので、周囲の証言から殺された方にも何かしら非があったように感じてしまう。実社会に置き換えて考えてみると恐ろしいことだ。ひとりの人間とは、そんなに単純ではない、いろいろな側面を持つということを忘れてはいけない。ミネット・ウォルターズにしてはめずらしく、最後に心がホッとするシーンがあるのが救いだった。