ミネット・ウォルターズのレビュー一覧
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コニーは取材中に拉致監禁される。
無傷で帰ってきた彼女はあいまいな証言を繰り返し、犬を恐れ、自分を精神的に追い詰めた男の影に常に怯えている。
何があったのか。
そして彼女はどうするのか。
マッケンジーと対決する場面は緊迫感がある。
彼女が彼に対してハッタリをかますシーンはドキドキする。
コニーは彼をとても恐れていた。
人格を破壊される直前まで辱めを受けたのだから。
しかしその一方で彼女は彼に復讐したいとも思っていた。
相反する二つの気持ち。
この気持ちのどちらが打ち勝つのか。
ある意味で彼女は千載一遇のチャンスをものにしたのだ。
そして。
マッケンジーはどうなったのかわからない。
おそらく -
Posted by ブクログ
前回読んだ中編の感触がよかったので、久々に長編にトライしてみた。結果はビミョー。
上記のあらすじは序盤。解放後、身を隠すために移り住んだ農村での人間関係が、もうひとつの軸となる。相手の出方を窺いながら徐々に心を通わせる偽名の生活と、記者コニーとしてのメールのやりとりからくる緊迫感の対比が興味深い。でも中盤はちょっと退屈したかも。
後半は、インパクト大の出来事から一気に展開する。前半はサスペンスで、後半は本格ミステリかな。追及する者とされる者。そこに心理描写の上塗りが加わり、前半とはまた違った緊張感で読ませる。
ミステリとしては非常によくできていると思う。伏線を回収し、心理戦を仕掛け、ロジ -
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被害者加害者が濃密な関係を持っていて悲劇的な結果を迎えた時、加害者だけが悪い、といえるのだろうか──という作者の前書きにもあるように、当初の関係が悪意や思い込みによって徐々に破綻していくプロセスが面白い。中編なのであっさり描いてあるものの、それでも刻々と変化していく心理描写の上塗りはさすがウォルターズ。キャラ造形が巧いので、シーン毎に共感し反発し、常に不快感を覚えながらも、目が離せない人間ドラマは読み応え抜群。ここにハマると抜けられないよねえ。
『養鶏場』の方が好み。実話っていうところが更に惹かれます。ミステリ色の濃い作者の見解にも納得。『火口箱』は、やや中弛み。『蛇の形』で経験した“しつこ -
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ネタバレ行き遅れた女の結婚に対する執念怖~~~!(他人事じゃない)(笑)(えない/(^o^)\)な、【養鶏場の殺人】と、イングリッシュ・アイリッシュ間の偏見が交錯する【火口箱】の2編を収録した中編集です。
私にとっての記念すべき初・ウォルターズ作品。既刊も何度か店頭で見ていたんですが、装丁とか説明文がいまいちそそらなかったのですよね(゜-゜)でも、今回の内容説明は面白そうだわ~!というわけで、一目惚れ買いでございます。
まずは、適齢期を過ぎて焦り始めた女の執念が恐ろしい、【養鶏場の殺人】。
実際に英国で起こった事件に題を取っているそうで、何とあのサー・ドイルもこの事件について言及しているんですね~ -
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多くの小説では、物語の中心となる人物やその性格というのがだいたい定まっていて、読者はその人物の視線、気持ちに寄り添いながら物語を理解していくというのが一般的な流れなのではないかと思いますが、本書は、そう言った意味ではちょっと普通ではない変わった構成をとっています。
例えば、次々に別の登場人物へと視点が切り替わっていくので、誰を中心に物語を理解すればいいのかわからない。しかも、出てくる登場人物がみなアクの強い性格付けがなされているうえ、視点が変われば印象もガラッと変わる始末で安易な感情移入すら拒絶されます。寄り添うべき視線が定まらないとういのがこれほど不安感を煽るものだとは思いもよりませんで