雛倉さりえのレビュー一覧
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湖永さん、こっとんさんのレビューを読み、とても気になっていた本書。
原罪をテーマに描かれていて、哲学的でありながら文章の美しさも素晴らしく、読み進めるうちに気持ちが凪ぐような小説。
装丁の美しさだけでなく、表紙、テキスト、フォント、空白など視覚的な印象すべてが物語の世界観にフィットしている。だから、心が落ち着いてくるのかもしれない。
記憶にない罪を贖うというとてつもなく難しいテーマはまさに原罪を抱えて生きること。
柑のように、家族から記憶のない罪を知らされた人だけでなく、原罪を抱えて生きている人は少なくないと思う。
苦しみの中にいても、インマヌエル―神は私たちとともに在りつづける―というこ -
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読み始めた瞬間にこれは自分の好きな作品だと直感しました。心をさあ、っとさらわれるってこういう事かと。
どこを読んでもこの表現好きだなと思いながら読み進め、気づけばずっと言葉を味わうように読んでいて、読み終わるのが本当に惜しく感じられました。
静かな物語ですが、その分一文一文の重みが強く残っていく作品だと思います。
この作品は、自我が生まれる前の罪への向き合い方が描かれています。きれいに割り切ることはできなくても、そのまま生きていく事への覚悟を感じました。
読み終えたあとも言葉が何度もよみがえり、これからも繰り返し思い出す大好きな作品となりました。 -
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Posted by ブクログ
以下ネタバレ含みます。
天才的な画家だった母を、記憶にない事故とはいえ、自分が殺してしまったことを苛む柑。
慎ましく、求めない暮らしを続ける中で、彼は母の絵が飾られている与那国島の美術館を訪れようと決意する。
そこに付いてきたのが、甥の伊吹だった。
二人と一つの人形の旅を読んでいると、巡礼の旅という言葉を思い出した。
目的地は決まっているのだけれど、そこに辿り着くまでに、自分の手触りを何度も確認し続ける柑。
そして、そんな柑の側で、彼にガイダンスし続ける伊吹の存在が面白い。
きっと、ミミズクは伊吹だったんだろうな。
取り返しのつかない罪を、背負ってしまえば、誰かが下ろしてくれる -
Posted by ブクログ
十代の、恋愛とも呼べないような性の熱。あの頃特有の渇き、脆さ。友達には話せない、ひっそりと心のうちに秘めた激情。大人になると忘れてしまう感覚を、鮮やかによみがえらせてくれる作品。
短編『ジェリー・フィッシュ』を読み終えたあとの、胸を掻きむしられるようなせつなさを、この『もう二度と食べることのない果実の味を』の読後感でも味わいました。まさに、もう二度と触れられないあの頃の感情の純度に、泣きたくなる。
主人公の女子中学生・冴は受験生。成績は学年2位、毎日決められたことをやり、正しい道を進もうと心がけている。
成績1位は同じクラスの土屋くんで、彼は何かにすがるように勉学に励んでいる。
理科準備室の -
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自分に身に覚えのないことでも、誰かを傷付けてしまうことがある。
身に覚えがないことだからこそ、自分の罪の重さから逃れられない。
とても辛いお話でした。
あることがきっかけでバラバラになってしまった家族。傷付いた方も自分の傷にいっぱいいっぱいで、相手を思いやる余裕が少しもなくて、これは一緒にいるのは辛い。
自分をとことん責めている主人公の柑(かん)が旅先で出会った人から言われた言葉、「わたしたちの立場が、真逆だったとしたら、わたしにどんな言葉をかけますか」‥‥そんな風に自分を赦してあげるのも大切ではないかなと思いました。
最後に姉と一歩ずつ歩み寄れたのは良かったと思います。
全体的にとても丁寧