雛倉さりえのレビュー一覧

  • レテの汀

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    インマヌエル。神は我とともにあるとは、私たちへの庇護であり、制約であると思っていたよ同行者としての役に立たない神ではあるが、常に寄り添う神というのはとても印象的なテーゼだ。贖罪の物語、とても内省的で静かでピンと糸を張ったような素晴らしい物語でした。

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    2026年06月06日
  • レテの汀

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    湖永さん、こっとんさんのレビューを読み、とても気になっていた本書。

    原罪をテーマに描かれていて、哲学的でありながら文章の美しさも素晴らしく、読み進めるうちに気持ちが凪ぐような小説。
    装丁の美しさだけでなく、表紙、テキスト、フォント、空白など視覚的な印象すべてが物語の世界観にフィットしている。だから、心が落ち着いてくるのかもしれない。

    記憶にない罪を贖うというとてつもなく難しいテーマはまさに原罪を抱えて生きること。
    柑のように、家族から記憶のない罪を知らされた人だけでなく、原罪を抱えて生きている人は少なくないと思う。
    苦しみの中にいても、インマヌエル―神は私たちとともに在りつづける―というこ

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    2026年05月31日
  • レテの汀

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    読み始めた瞬間にこれは自分の好きな作品だと直感しました。心をさあ、っとさらわれるってこういう事かと。

    どこを読んでもこの表現好きだなと思いながら読み進め、気づけばずっと言葉を味わうように読んでいて、読み終わるのが本当に惜しく感じられました。
    静かな物語ですが、その分一文一文の重みが強く残っていく作品だと思います。
    この作品は、自我が生まれる前の罪への向き合い方が描かれています。きれいに割り切ることはできなくても、そのまま生きていく事への覚悟を感じました。
    読み終えたあとも言葉が何度もよみがえり、これからも繰り返し思い出す大好きな作品となりました。

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    2026年03月22日
  • 百合小説コレクション wiz 2

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    ネタバレ

    「百合小説」をベースとしながら、前巻よりもずっと物語の多様性が増した感じがしました。どの作品も心に刺さり「百合」という作品領域の奥深さを感じた次第です。

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    2026年03月22日
  • アンソロジー 舞台!

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    2.5次元にキャス変として抜擢された小劇場俳優
    バレエで生きる母娘と、陰で支える叔母
    アマチュア劇団を続ける為派遣で働く女性
    会社の歯車として踊るアンサンブル
    2.5次元チケ譲渡で知り合った2人

    みんな現実的な日常がある中で
    舞台の光に惹かれ続けている
    楽しいだけではない
    けど辞められない何かに惹かれて
    良い短編集だった

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    2026年03月02日
  • レテの汀

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    この人の文章 本当に好き。

    宮地尚子さんの『傷を愛せるか』のテーマとも共鳴する話も描かれてて良かった。

    あと作中に出てくる
    本とか音楽の趣味が私と似てて
    地味に嬉しかった。

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    2026年02月28日
  • レテの汀

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    以下ネタバレ含みます。



    天才的な画家だった母を、記憶にない事故とはいえ、自分が殺してしまったことを苛む柑。

    慎ましく、求めない暮らしを続ける中で、彼は母の絵が飾られている与那国島の美術館を訪れようと決意する。

    そこに付いてきたのが、甥の伊吹だった。

    二人と一つの人形の旅を読んでいると、巡礼の旅という言葉を思い出した。
    目的地は決まっているのだけれど、そこに辿り着くまでに、自分の手触りを何度も確認し続ける柑。
    そして、そんな柑の側で、彼にガイダンスし続ける伊吹の存在が面白い。

    きっと、ミミズクは伊吹だったんだろうな。

    取り返しのつかない罪を、背負ってしまえば、誰かが下ろしてくれる

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    2026年02月21日
  • レテの汀

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    ネタバレ

    読み終わりまるで絵画を鑑賞しているような感覚におちいってしまいました。主人公が母親の死を自分のしわざと思ってしまった息子の柑、母親の故郷与那国島を甥の伊吹との破天荒な珍道中は楽しんで読みました。この小説家「雛倉さりえ」は定点観測をしてしまう作家さんになってしまいました。あなたもよ〜く考えて読んでみてください。

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    2026年01月22日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    十代の、恋愛とも呼べないような性の熱。あの頃特有の渇き、脆さ。友達には話せない、ひっそりと心のうちに秘めた激情。大人になると忘れてしまう感覚を、鮮やかによみがえらせてくれる作品。
    短編『ジェリー・フィッシュ』を読み終えたあとの、胸を掻きむしられるようなせつなさを、この『もう二度と食べることのない果実の味を』の読後感でも味わいました。まさに、もう二度と触れられないあの頃の感情の純度に、泣きたくなる。

    主人公の女子中学生・冴は受験生。成績は学年2位、毎日決められたことをやり、正しい道を進もうと心がけている。
    成績1位は同じクラスの土屋くんで、彼は何かにすがるように勉学に励んでいる。
    理科準備室の

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    2024年01月27日
  • ジェリー・フィッシュ

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    性描写が生々しい
    でも、それと対比にするように心情もーーー特に思春期特有の不安感や焦燥感ーーーが細密に描かれていて読み手のこちらも気持ち悪くなるほど(褒めてます

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    2022年03月29日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 2

    無料版購入済み

    青春

    なんか、学生時代の甘酸っぱさと好奇心と劣等感からの現実逃避と好きな人に触れたい、もっといたい、いろんな気持ちが混じってて、共感できた。続きが気になります。

    #切ない #エモい #胸キュン

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    2022年03月04日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 1

    匿名

    無料版購入済み

    絵が綺麗で、読みやすいです。
    内容もいつのまにか引き込まれているというか。ドキドキします!勉強から離れた2人の世界。

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    2022年09月30日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 4

    ネタバレ 購入済み

    『甘くて苦い』青い果実の味は

    多感な時期に触れる衝動と依存。
    見える世界は決して広くはないし、親への反発もある中で触れた甘く強い衝動は、周りも見えなくなるのでしょうか。
    読後は甘くほろ苦い想い、忘れていた思い出を強くつつかれたような気持ちになります。
    いつか大人になった二人にとって、どんな思い出になるのだろう?と思ってしまいます。

    #切ない #エモい

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    2021年12月23日
  • ジェリー・フィッシュ

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    いろいろな登場人物の視点から、それぞれの恋愛を描いた短編集。
    1話ずつ進むたびにディープになる恋愛観が描かれていて読みごたえありますが、
    1番印象に残っているのは、表題作の「ジェリー・フィッシュ」です。
    大人になったら忘れてしまうような10代特有の女の子同士の恋愛、はじめての経験がみずみずしくてきれいでした。
    最初は詩的な文章が大仰に感じて独りよがりに思えましたが、次第に世界観にひきこまれていき、ラストは感極まりました。

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    2019年09月19日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    中学三年生、多感なあの時期。
    繊細な感情の波、
    家族や友人との関係、その中にある自分の位置。

    随分前に通り過ぎた年齢なのに
    読んでいると心がその頃に引き戻されて
    胸がキュッとなります。
    苦しい、でもない…甘くもない。
    ただ、締め付けられる気持ち。
    懐かしさを感じました。

    私はすごく引き込まれました。
    感情が静かに揺さぶられる、そんな本。

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    2019年04月12日
  • レテの汀

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    デビュー作からなんとなく好きで追ってる作家さんの一人だけど今回の作品物凄く良かった…私も一人の子の親になったからかな…なんか最後すごく泣いてしまった。美術館ってのも良かったし、柑って名前すごくいい(粋夏はちょっとあれだけど)もっと広く知られてほしいなと思う作家さん

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    2026年06月01日
  • レテの汀

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    自分に身に覚えのないことでも、誰かを傷付けてしまうことがある。 
    身に覚えがないことだからこそ、自分の罪の重さから逃れられない。
    とても辛いお話でした。
    あることがきっかけでバラバラになってしまった家族。傷付いた方も自分の傷にいっぱいいっぱいで、相手を思いやる余裕が少しもなくて、これは一緒にいるのは辛い。
    自分をとことん責めている主人公の柑(かん)が旅先で出会った人から言われた言葉、「わたしたちの立場が、真逆だったとしたら、わたしにどんな言葉をかけますか」‥‥そんな風に自分を赦してあげるのも大切ではないかなと思いました。
    最後に姉と一歩ずつ歩み寄れたのは良かったと思います。
    全体的にとても丁寧

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    2026年05月13日
  • レテの汀

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    ネタバレ

    美しく、静かで、でも深淵が深いストーリーだった。初めて読む作家さん。登場人物の名前が珍しい。柑は幼い頃に犯した罪をかかえながら生きていて、共に旅に出た伊吹はいい子だけど空気を読んだり傷つけないように生きるのに苦しくて…

    でも柑の罪は、本人も物心ついていないのだし…
    その秘密を守り切らなかったお父さんも残酷。
    罪でなく事故、というのに納得。
    自分が故意にしていないことに、苦しみ続けるのはかわいそうだけれど、簡単なことでもない。
    共に歩む、というのが救いなのかな…


    情景、風景の描写がとても美しかった。

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    2026年04月29日
  • レテの汀

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    なるべく人と関わらず、規則正しく無機質な日々を送っている柑は、亡き母の故郷である与那国島を訪ねるが、旅立つその日に小学6年の甥っ子・伊吹もついていくことになり…。

    記憶にないことでも家族をバラバラにしたという思いがずっと心の中にあり、絶望のなかで生きてきた柑だったが、伊吹の何気ない言動や与那国島で出会ったエンマとの会話で、自分を見つめ直すことになる。
    そして、何をすべきか…それは、姉と対話することだったのだと。


    とても静かで、だけど感じることは力強くて、情景が浮かんでくる、好きな小説だった。



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    2026年04月16日
  • レテの汀

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    取り返しがつかない過ちを犯してしまっても、人は生きていかなくてはならない。
    その過ちとどう向き合い、どう前に進んでいくのか。静かにそっと答えを差し出してくれるような物語だった。
    主人公の柑が自分の傷に寄り添えた時、パッと景色が鮮やかになったような感覚があった。
    どこか芸術的、宗教的な香りが漂う美しい物語。

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    2026年04月15日