雛倉さりえのレビュー一覧

  • レテの汀

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    デビュー作からなんとなく好きで追ってる作家さんの一人だけど今回の作品物凄く良かった…私も一人の子の親になったからかな…なんか最後すごく泣いてしまった。美術館ってのも良かったし、柑って名前すごくいい(粋夏はちょっとあれだけど)もっと広く知られてほしいなと思う作家さん

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    2026年06月01日
  • レテの汀

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    自分に身に覚えのないことでも、誰かを傷付けてしまうことがある。 
    身に覚えがないことだからこそ、自分の罪の重さから逃れられない。
    とても辛いお話でした。
    あることがきっかけでバラバラになってしまった家族。傷付いた方も自分の傷にいっぱいいっぱいで、相手を思いやる余裕が少しもなくて、これは一緒にいるのは辛い。
    自分をとことん責めている主人公の柑(かん)が旅先で出会った人から言われた言葉、「わたしたちの立場が、真逆だったとしたら、わたしにどんな言葉をかけますか」‥‥そんな風に自分を赦してあげるのも大切ではないかなと思いました。
    最後に姉と一歩ずつ歩み寄れたのは良かったと思います。
    全体的にとても丁寧な美しい描写で、孤独がより際立つような気がしました。静かに本を閉じる‥‥そんな一冊でした。

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    2026年05月13日
  • レテの汀

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    ネタバレ

    美しく、静かで、でも深淵が深いストーリーだった。初めて読む作家さん。登場人物の名前が珍しい。柑は幼い頃に犯した罪をかかえながら生きていて、共に旅に出た伊吹はいい子だけど空気を読んだり傷つけないように生きるのに苦しくて…

    でも柑の罪は、本人も物心ついていないのだし…
    その秘密を守り切らなかったお父さんも残酷。
    罪でなく事故、というのに納得。
    自分が故意にしていないことに、苦しみ続けるのはかわいそうだけれど、簡単なことでもない。
    共に歩む、というのが救いなのかな…


    情景、風景の描写がとても美しかった。

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    2026年04月29日
  • レテの汀

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    なるべく人と関わらず、規則正しく無機質な日々を送っている柑は、亡き母の故郷である与那国島を訪ねるが、旅立つその日に小学6年の甥っ子・伊吹もついていくことになり…。

    記憶にないことでも家族をバラバラにしたという思いがずっと心の中にあり、絶望のなかで生きてきた柑だったが、伊吹の何気ない言動や与那国島で出会ったエンマとの会話で、自分を見つめ直すことになる。
    そして、何をすべきか…それは、姉と対話することだったのだと。


    とても静かで、だけど感じることは力強くて、情景が浮かんでくる、好きな小説だった。



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    2026年04月16日
  • レテの汀

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    取り返しがつかない過ちを犯してしまっても、人は生きていかなくてはならない。
    その過ちとどう向き合い、どう前に進んでいくのか。静かにそっと答えを差し出してくれるような物語だった。
    主人公の柑が自分の傷に寄り添えた時、パッと景色が鮮やかになったような感覚があった。
    どこか芸術的、宗教的な香りが漂う美しい物語。

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    2026年04月15日
  • レテの汀

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    美しい絵画のような景色が見える素敵な文章に惹かれ、流れるように読んでいけました。何かを変えたいと動き出したことで、さまざまな出会いや経験をしていき、その中で柑の世界がモノクロから少しずつ色が付いていくようでした。柑の前に突然現れた伊吹が現代っ子なのですが、強引ではあるもののその中に優しさがあり好ましかったです。伊吹自身の抱いている問題とも向き合えるようになったのもよかったです。それぞれのこれからの人生に様々な色を描いてほしいと思いました。

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    2026年03月26日
  • レテの汀

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    装丁に惹かれて本屋で衝動買いした。

    自我が芽生える前の出来事によって、罪の意識とともに生きてきた主人公。
    幼き日の自身は自分であり、他人でもある。記憶がないからこそ向き合いきれなかった過去から、前に進むために旅をする話だ。

    旅の中で出会う人々は、そんな彼を導くガイドのような役割を果たす。共に歩く甥っ子伊吹は年齢に似合わずどこか達観している。まるで主人公とは真逆だ。気丈に振る舞う伊吹にも彼なりの痛みがあり、「こうしたいではなく、どうしたら良いのか」を基準に判断する姿勢においては2人に共通していると感じた。


    誰ひとりとして、望んでここにいる者はいない。
    生はまさに、拒むことの出来ない不条理な譲与である。


    淡々と進んでいくストーリーだからこそ、穏やかに、静かに読者に問いかける物語だと思う。

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    2026年03月01日
  • アンソロジー 舞台!

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    自分が舞台に上がるなんて、とんでもないけど、
    袖幕は好き。
    バレエをやってた娘の発表会で
    一度だけ袖幕に関われて、とても充実してた。
    ゼロから何かを作り上げる歯車、
    として機能出来る自分が、
    すごく誇らしく嬉しく、楽しかった。
    だからダンス・デッサンの瀬木さんに一番共感した。
    バレエ衣装作成の、宝石さがしも好きだけど。
    だいたい全般、肯定的な物語ばかりで、
    安心して読めるアンソロジーでした。

    2.5次元舞台を観に行きたくなった。
    見たことないけど。
    その前に、推し活出来てる人たちが、
    そもそも羨ましいかも。

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    2025年10月04日
  • アンソロジー 舞台!

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    【日常の中にいる、クララとドロッセルマイヤー】

    ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……様々な舞台を題材に描かれた5編が収録された短編集である。

    ただ、「華やかで遠く感じる『舞台』というその空間は、自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、意外に身近な場所なのかもしれません。」という扉に書いてある触れ込みって、読んでみたら結局、3編目の白尾悠「おかえり牛魔王」だけの話なんとちゃうのん?と感じた。

    毎日定時で退社する、社内の人付き合いも忖度もへったくれもない後輩の派遣社員、桐ヶ谷を探るうちにその演劇の指導者しての並々ならぬ実力に触れ、自らも演劇に助けられた過去を思い起こす岩間。ガチの会社世界とガチの稽古場面がサンドウィッチで描かれた作品にこそ、「意外に身近な場所云々」という表現が似合う。この作品では、僕自身が数年前にバレエで演ったことがある「くるみ割り人形」が演劇として扱われているので、ちょっと気持ちが入ったし。

    全体的には、「稽古」も「舞台」も華やかでも遠くもなく、日常の中にある(意外に、かどうかは知らんが)僕にとって、興味深い一冊だった。

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    2024年07月15日
  • アンソロジー 舞台!

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    舞台をテーマにした5作の短編。
    舞台を見る人なら、いろいろとわかる!と思うことあって楽しく読めると思う。

    『ここにいるぼくら』
    2.5次元舞台に出演することになった主人公。しかし、その役はシリーズもので、彼はいわゆるキャス変だった。
    いやー、2.5のキャス変は私も経験あるからわかるなー。(見る側だよ、もちろん)演者側からの立場として読んでて面白かった。

    『宝石さがし』
    バレリーナと衣装デザイナーの話。
    舞台の衣装って、いろいろなことを考えて作られているのと同時に、演者にとってはその役になるために、舞台に立つ上ですごく大切なんだなって感じた。2人の関係性がとても素敵だった。

    『おかえり牛魔王』
    本音を我慢している派遣社員の主人公と新しくやってきた空気を読まない派遣社員。新しく来た派遣社員はアマチュア劇団で指導をしていた。
    その劇団にいる女の子がよかったなー。普段は大人しいけど舞台ではガラッと変わる感じ。演劇を通して本音で生きることの大切さを感じた。

    『ダンス・デッサン』
    役者の主人公はいつもアンサンブルで出演していた。ある日名のある役に抜擢されるが、自分でいいのかと葛藤する。
    舞台は非日常。私も舞台を見て明日からも頑張ろうっていつも思う。

    『モコさんというひと』
    舞台を見る人なら一度は経験あるんじゃないかと思う、チケット譲渡。このお話はチケット譲渡で出会ったモコさんが最近SNSで推しについて投稿しないのを不思議に思っていた主人公が、再びモコさんからチケット譲渡してもらうことになった。

    チケット譲渡って、基本はその一度きりの関係のことが多い。そんななかでモコさんのような人と出会えるって素敵だなと思った。

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    2024年05月16日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    綺麗に終わった恋、醜く終わった恋、蒸発するように消えた恋。どんな別れも、もう味わうことはできない。
    届かない代わりに消えない、あの日常。
    渇き、熱を帯びた疼き、崩れゆく脆さ。

    薄昏く、消えそうに儚く、そして、ほわほわと光っている物語でした。
    とっても好み。
    時が経ち、この渇きを忘れた頃に、もう一度読もうかな。

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    2024年02月07日
  • 森をひらいて

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    久々に文学を味わった気分。

    臨時校舎──少女たちは戦火を逃れるため、疎開のようなかたちでそこに集められている。生活に不自由はないが、外の世界からは隔絶され、恋人とも会えない。
    「あなたたちは幸せで、恵まれているのだと、まずは自覚してください」
    「この状況下にもかかわらず、静かな安全地帯で、何不自由なく学びに打ち込むことができるなんて、通常なら考えられないことです」
    やがて、生徒たちのあいだに「森をひらく」という遊びが流行り始める。むせ返るような、青々とした森。文字通りの森。自分だけの空間に、彼女たちは思い思いの森をひらく。森は大人たちには認識できない。

    現実の私たちは、戦禍に見舞われてはいない。でも、国家や会社、学校や大小のグループといった、制度や支配の中を生きている。私たちは安全や安心の代償として、みずからの自由を差し出す。不自由を呪いながらも、そこそこに快適な日常を維持するために、支配に甘んじて日々を送っている。
    支配といっても、自由がないわけではない。デスクトップを飾る推しの写真。仕事帰りの電車でプレイするスマホゲーム。週末限定のネイル。学校の外に出てから短くするスカート。ままならない現実の中で、そこだけは自由に遊ぶことのできる庭。それを作者は物理的な森として描いている。

    ネット上のレビューを読んでいて、「結婚(マリアージュ)が何なのかわからない」という意見を多く見た。でもこれは文学なので、自由に想像すればいいと思う。たとえば上に書いた推しの壁紙のデスクトップだったら、偶然それを見た同僚に「じつは私も好きなんです。今度一緒にライブ行きませんか?」と誘われたりとか。これはひとつの結婚と言っていいのではないだろうか。

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    2023年06月16日
  • ジェリー・フィッシュ

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    学生時代特有の圧迫感 すべての主人公に寄り添える訳では無いが、なんとなく分かるような学生時代を思い出すような、そんな印象。
    刺激のあるストーリーだけではなく、それぞれの悩み方と葛藤に思い出を重ねながら読んだ。

    わたしは夜の国が一番好きだった。やはり男性の方に感情移入しやすかったのだろう。

    全体的に読みやすく、分かり易い。描写も好きだったので同作者の作品を読んでみたいと思った。

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    2026年01月11日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    雛倉 さりえさん、初読み。

    「女による女のためのR-18文学賞」を機にデビューされた1995年生まれの作家さん。

    本作の主人公は高校受験を控えた15歳の冴。
    成績こそ学年2位でありながら、心の中には姉や友人へのコンプレックス、両親への承認欲求を隠している。

    受験勉強だけの満たされない毎日の、救いであり逃げ道となったのは好きでもない男子との性行為だった。

    共感は出来ないけれど、思春期に感じる鬱屈とした思いや、15歳と言う年齢ならではの性への好奇心、頭で考えるより先に行動を起こしてしまう勢いを文中から熱く激しく感じた。

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    2023年02月14日
  • 森をひらいて

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    外界の戦争から隔絶され臨時校舎で時を過ごす美しい少女たち
    少女たちの間で流行する「森を作る」遊び

    官能的で幻想的な少女たちの世界
    私たちは蝶のように舞い戦うの

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    2022年11月09日
  • ジゼルの叫び

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    生と死の境目それがバレエ
    どんなに踊っても彼女には辿り着けない。たどり着けなくてもいい躍り狂え
    冷たい湖の底にジゼルは眠る。永遠に
    同じ酸素を吸っていたはずなのに同じ息が吐けない。今、体の中にあるのは死という毒素だ。
    さようなら湖の底へ

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    2022年11月07日
  • 森をひらいて

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    自分の好みにピタっときたおはなしでした!

    森の解釈が自分の中で読み進めるごとに揺れていったのですが、揺の怒りが表面化したシーンで、自分の中でストンと落ちました。自分は怒っていいのだろうかっていう気持ちはすごく共感したし、怒りだけじゃなく感情ってすぐには身体に馴染まないというか、一種の防衛で自分を入れ物にして自分を眺めてるかんじ。でも自分の気持ちは自分で決めていいんだよね。わたしを私の中に落とし込んで、感情ジェットコースターになったりしつつ、森をつくりながら私は私の中にいたのね、って気づく。読みながらきっと私が森をつくるとしたら、ごちゃごちゃしてるだろうなあと思いました。ハウルの部屋みたいなかんじになりそう…

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    2022年07月25日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 2

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    恋は憂さ晴らし

    悲しいくらいに流されやすく危なっかしい主人公。それでも今を一生懸命生きる若者たちのこと誰が咎められようか。夏の暑さと情景と感情の高まりが、ヒーローと主人公の熱さを良く物語っている。

    #ドキドキハラハラ #切ない

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    2022年09月28日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    青春の歪み

    すごく青くて切なくて汚くてもどかしい。こういう恋があったら、ずっと大人になっても忘れられないんだろうな。子供の頃を思うと恥ずかしいような、甘酸っぱいような。主人公が好きなように生きてほしい。という考えも子どもだろうか。

    #切ない #胸キュン #アツい

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    2022年09月28日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 2

    匿名

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    なんだか切なくて、可愛くて、ドキドキです!
    でもよく考えるとめちゃ若い子たちなんだよなー。続きが気になります。

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    2022年09月30日