あらすじ
役を生きる俳優の輝き、世界観を作り出す舞台装置、息を潜めた客席の雰囲気。すべてが合わさって生まれる「舞台」は、同じものは二度と生まれない特別な空間です。きらびやかで華やかな非日常を楽しむ場所であると同時に、「誰かの人生を演じてみる」「そこに自分の人生を重ねてみる」意外に身近な場所なのかもしれません。自分という「役」を演じながら日々を過ごすわたしたちにとって、毎日が自分だけの「舞台」とも言えます。ミュージカル、バレエ、ストレート・プレイ、2・5次元……さまざまな舞台をテーマに描かれた五つの物語を収録した文庫オリジナル・アンソロジー、開幕です。/【目次】ここにいるぼくら=近藤史恵/宝石さがし=笹原千波/おかえり牛魔王=白尾 悠/ダンス・デッサン=雛倉さりえ/モコさんというひと=乾 ルカ/解説=三宅香帆
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Posted by ブクログ
2.5次元にキャス変として抜擢された小劇場俳優
バレエで生きる母娘と、陰で支える叔母
アマチュア劇団を続ける為派遣で働く女性
会社の歯車として踊るアンサンブル
2.5次元チケ譲渡で知り合った2人
みんな現実的な日常がある中で
舞台の光に惹かれ続けている
楽しいだけではない
けど辞められない何かに惹かれて
良い短編集だった
Posted by ブクログ
自分が舞台に上がるなんて、とんでもないけど、
袖幕は好き。
バレエをやってた娘の発表会で
一度だけ袖幕に関われて、とても充実してた。
ゼロから何かを作り上げる歯車、
として機能出来る自分が、
すごく誇らしく嬉しく、楽しかった。
だからダンス・デッサンの瀬木さんに一番共感した。
バレエ衣装作成の、宝石さがしも好きだけど。
だいたい全般、肯定的な物語ばかりで、
安心して読めるアンソロジーでした。
2.5次元舞台を観に行きたくなった。
見たことないけど。
その前に、推し活出来てる人たちが、
そもそも羨ましいかも。
Posted by ブクログ
【日常の中にいる、クララとドロッセルマイヤー】
ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……様々な舞台を題材に描かれた5編が収録された短編集である。
ただ、「華やかで遠く感じる『舞台』というその空間は、自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、意外に身近な場所なのかもしれません。」という扉に書いてある触れ込みって、読んでみたら結局、3編目の白尾悠「おかえり牛魔王」だけの話なんとちゃうのん?と感じた。
毎日定時で退社する、社内の人付き合いも忖度もへったくれもない後輩の派遣社員、桐ヶ谷を探るうちにその演劇の指導者しての並々ならぬ実力に触れ、自らも演劇に助けられた過去を思い起こす岩間。ガチの会社世界とガチの稽古場面がサンドウィッチで描かれた作品にこそ、「意外に身近な場所云々」という表現が似合う。この作品では、僕自身が数年前にバレエで演ったことがある「くるみ割り人形」が演劇として扱われているので、ちょっと気持ちが入ったし。
全体的には、「稽古」も「舞台」も華やかでも遠くもなく、日常の中にある(意外に、かどうかは知らんが)僕にとって、興味深い一冊だった。
Posted by ブクログ
舞台をテーマにした5作の短編。
舞台を見る人なら、いろいろとわかる!と思うことあって楽しく読めると思う。
『ここにいるぼくら』
2.5次元舞台に出演することになった主人公。しかし、その役はシリーズもので、彼はいわゆるキャス変だった。
いやー、2.5のキャス変は私も経験あるからわかるなー。(見る側だよ、もちろん)演者側からの立場として読んでて面白かった。
『宝石さがし』
バレリーナと衣装デザイナーの話。
舞台の衣装って、いろいろなことを考えて作られているのと同時に、演者にとってはその役になるために、舞台に立つ上ですごく大切なんだなって感じた。2人の関係性がとても素敵だった。
『おかえり牛魔王』
本音を我慢している派遣社員の主人公と新しくやってきた空気を読まない派遣社員。新しく来た派遣社員はアマチュア劇団で指導をしていた。
その劇団にいる女の子がよかったなー。普段は大人しいけど舞台ではガラッと変わる感じ。演劇を通して本音で生きることの大切さを感じた。
『ダンス・デッサン』
役者の主人公はいつもアンサンブルで出演していた。ある日名のある役に抜擢されるが、自分でいいのかと葛藤する。
舞台は非日常。私も舞台を見て明日からも頑張ろうっていつも思う。
『モコさんというひと』
舞台を見る人なら一度は経験あるんじゃないかと思う、チケット譲渡。このお話はチケット譲渡で出会ったモコさんが最近SNSで推しについて投稿しないのを不思議に思っていた主人公が、再びモコさんからチケット譲渡してもらうことになった。
チケット譲渡って、基本はその一度きりの関係のことが多い。そんななかでモコさんのような人と出会えるって素敵だなと思った。
Posted by ブクログ
2.5次元舞台の話が特に興味深い。見たことないので、勝手に若手イケメンが売りなのかと思ってたけど、キャラに寄せるスタッフさんや自分を出さずになりきるキャストや、ちゃんと見てくれるファンたちでいい舞台が作られてるのね。
Posted by ブクログ
舞台をみるのは、好き。舞台に立つ人。みる人。支える人。いろいろな視点から見れて興味深く読んだ。舞台は同じ空間と時間を共有できて、あっという間に同じ世界につれていってくれる。舞台を見に行きたくなる。
Posted by ブクログ
【収録作品】近藤史恵 「ここにいるぼくら」/笹原千波 「宝石さがし」/白尾悠 「おかえり牛魔王」/雛倉さりえ「ダンス・デッサン」/乾ルカ 「モコさんというひと」
どれも舞台に引きつけられる人たちの話で悪意を持つ人が直接的には出てこないのがよかった。
演じるほうの覚悟も描かれていて、トップスターでないからこその葛藤と矜持がいい。トップスター側も、互いへのリスペクトと舞台への愛情が感じられる話ばかりで、これが現実ならいいのにね…… でも、舞台を見る側としては、そういう人間性を信じたいところもある。
「ここにいるぼくら」【2.5次元×俳優】メインキャラの一人が病気で無期限療養に入ることになり、代わりに2.5次元の舞台にでることになった琴平。2.5次元を知らなかったため、“キャス変”が、いかに大きな波紋を呼ぶか、気づかず引き受けたが、いつもと勝手が違い、なかなか舞台を自分のものにできないでいた。
「宝石さがし」【バレエダンサー×デザイナー】国際結婚し、義母の会社でデザイナーとして働く恵、その友人でバレエ教師のゆり、その娘で海外のバレエ団で挫折を経験したバレエダンサー美玖。美玖の日本での公演のため、恵が衣装をデザインすることになる。
「おかえり牛魔王」【派遣社員×アマチュア劇団】空気を読まず、定時で颯爽と職場から消える美しい派遣社員・桐ヶ谷。派遣社員のとりまとめ役となっている岩間は彼女の事情を知る。
「ダンス・デッサン」【ミュージカル×劇団員】劇団に所属し、日々ミュージカルの舞台に立つ瀬木。アンサンブルに満足していたが、名前のある役をすることになり、葛藤する。
「モコさんというひと」【2.5次元×観客】2.5次元の観劇を生きがいにする真美。モコさんという人とSNSで知り合ったが、コロナ禍を経て変わってしまったように感じる。
本筋とは関係ないが、「宝石さがし」で、美玖が選んだ曲が、ファニー・メンデルスゾーンのMelodie Op.4 No.2とあるのを見て、先日たまたまファニー・メンデルスゾーンの名前を耳にしたばかりだったので、不思議な感じを受けた。