雛倉さりえのレビュー一覧

  • レテの汀

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    優しさが人に与える影響を知れる小説。

    3歳の時に芸術家の母が病で亡くなってしまう。
    そして時が流れ、なぜ母が亡くなってしまったのか。その秘密を知ることに・・・

    姉に息子の息吹の思考があまりにも優しく切ない気持ちが漏れる場面は、
    個人的には共感し辛く感じました。
    ・人は相手には興味がなく、自分のことを多く語る。
    ・またちょっとした一言で人の人生を左右する恐れのある怖さ。

    柑は自分が犯した罪との向き合い方に葛藤する姿は、自分自身でどのように向き合っていいのか本当にわかりませんでした。それでも現状に満足せずに変化を起こすための行動には尊敬を感じました。

    この小説からは、人それぞれ感じる部分は色々あると感じるいい小説でした。

    ありがとう。約束どおり、「感想に対する感想」として話すね。

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    2026年08月01日
  • レテの汀

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    インマヌエル。神は我とともにあるとは、私たちへの庇護であり、制約であると思っていた。同行者としての役に立たない神ではあるが、常に寄り添う神というのはとても印象的なテーゼだ。贖罪の物語、とても内省的で静かでピンと糸を張ったような素晴らしい物語でした。

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    2026年06月06日
  • レテの汀

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    湖永さん、こっとんさんのレビューを読み、とても気になっていた本書。

    原罪をテーマに描かれていて、哲学的でありながら文章の美しさも素晴らしく、読み進めるうちに気持ちが凪ぐような小説。
    装丁の美しさだけでなく、表紙、テキスト、フォント、空白など視覚的な印象すべてが物語の世界観にフィットしている。だから、心が落ち着いてくるのかもしれない。

    記憶にない罪を贖うというとてつもなく難しいテーマはまさに原罪を抱えて生きること。
    柑のように、家族から記憶のない罪を知らされた人だけでなく、原罪を抱えて生きている人は少なくないと思う。
    苦しみの中にいても、インマヌエル―神は私たちとともに在りつづける―ということが救いとなるという概念が少しわかった気がする。

    柑とエンマの会話は、不条理の罪を背負った人にとってわずかな救いとなるかもしれない。

    そして、柑が姉との対話を持つことができたことは物語の救いだったし、私にとっても救いだった。
    姉の粋夏の言葉
    「もしわたしが、母さんと同じ事故にあったら―(中略) わたしは伊吹を怒ったり、責めたりなんかしない。ただ、心配する。わたしのいない世界をちゃんと生き延びて、大人になれるのかって。それで、できることなら近くにいたいと思う。あの子の目には見えなくても、何もできなくても、ただずっとそばに」

    母を病で亡くして26年。
    ずっと母の死の責任を感じながら生きているけれど、またこの本に母からの言葉をもらったような気がする。

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    2026年05月31日
  • レテの汀

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    読み始めた瞬間にこれは自分の好きな作品だと直感しました。心をさぁっとさらわれるってこういう事かと。

    どこを読んでもこの表現好きだなと思いながら読み進め、気づけばずっと言葉を味わうように読んでいて、読み終わるのが本当に惜しく感じられました。
    静かな物語ですが、その分一文一文の重みが強く残っていく作品だと思います。
    この作品は、自我が生まれる前の罪への向き合い方が描かれています。きれいに割り切ることはできなくても、そのまま生きていく事への覚悟を感じました。
    読み終えたあとも言葉が何度もよみがえり、これからも繰り返し思い出す大好きな作品となりました。

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    2026年03月22日
  • 百合小説コレクション wiz 2

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    ネタバレ

    「百合小説」をベースとしながら、前巻よりもずっと物語の多様性が増した感じがしました。どの作品も心に刺さり「百合」という作品領域の奥深さを感じた次第です。

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    2026年03月22日
  • アンソロジー 舞台!

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    2.5次元にキャス変として抜擢された小劇場俳優
    バレエで生きる母娘と、陰で支える叔母
    アマチュア劇団を続ける為派遣で働く女性
    会社の歯車として踊るアンサンブル
    2.5次元チケ譲渡で知り合った2人

    みんな現実的な日常がある中で
    舞台の光に惹かれ続けている
    楽しいだけではない
    けど辞められない何かに惹かれて
    良い短編集だった

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    2026年03月02日
  • レテの汀

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    この人の文章 本当に好き。

    宮地尚子さんの『傷を愛せるか』のテーマとも共鳴する話も描かれてて良かった。

    あと作中に出てくる
    本とか音楽の趣味が私と似てて
    地味に嬉しかった。

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    2026年02月28日
  • レテの汀

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    以下ネタバレ含みます。



    天才的な画家だった母を、記憶にない事故とはいえ、自分が殺してしまったことを苛む柑。

    慎ましく、求めない暮らしを続ける中で、彼は母の絵が飾られている与那国島の美術館を訪れようと決意する。

    そこに付いてきたのが、甥の伊吹だった。

    二人と一つの人形の旅を読んでいると、巡礼の旅という言葉を思い出した。
    目的地は決まっているのだけれど、そこに辿り着くまでに、自分の手触りを何度も確認し続ける柑。
    そして、そんな柑の側で、彼にガイダンスし続ける伊吹の存在が面白い。

    きっと、ミミズクは伊吹だったんだろうな。

    取り返しのつかない罪を、背負ってしまえば、誰かが下ろしてくれるわけではなくて。
    ずっとずっと、自分の中に、それは蠢き続ける。
    自分を暗く、照らし続ける。

    まるで、『こころ』の先生のように。

    伊吹は伊吹で、自分の言葉が他者に「影響」することが、唐突に怖くなってしまう。
    それも、少し分かる。

    そんな自分を、いつかの自分を、自分の中で切り離しながら、共にあり続けること。
    時間があるから、昨日と今日は、分けることも可能であるということ。
    そんな感覚的なものを、うまく言葉にしているなあとしみじみ感動して、星5をつけた。
    良かった。

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    2026年02月21日
  • レテの汀

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    ネタバレ

    読み終わりまるで絵画を鑑賞しているような感覚におちいってしまいました。主人公が母親の死を自分のしわざと思ってしまった息子の柑、母親の故郷与那国島を甥の伊吹との破天荒な珍道中は楽しんで読みました。この小説家「雛倉さりえ」は定点観測をしてしまう作家さんになってしまいました。あなたもよ〜く考えて読んでみてください。

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    2026年01月22日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    十代の、恋愛とも呼べないような性の熱。あの頃特有の渇き、脆さ。友達には話せない、ひっそりと心のうちに秘めた激情。大人になると忘れてしまう感覚を、鮮やかによみがえらせてくれる作品。
    短編『ジェリー・フィッシュ』を読み終えたあとの、胸を掻きむしられるようなせつなさを、この『もう二度と食べることのない果実の味を』の読後感でも味わいました。まさに、もう二度と触れられないあの頃の感情の純度に、泣きたくなる。

    主人公の女子中学生・冴は受験生。成績は学年2位、毎日決められたことをやり、正しい道を進もうと心がけている。
    成績1位は同じクラスの土屋くんで、彼は何かにすがるように勉学に励んでいる。
    理科準備室の掃除当番で二人きりになった冴と土屋。偶然の事故をきっかけに、二人は体をあわせるようになる。

    妊娠の危険があるからと土屋くんがコンドームを買い求める場面から、これが伏線となるんだろうと読めたけど、そのわりにはページ数が薄めなのでどうなるのかなと思っていたら、あぁそうなるのか……ときれいなまとめ方に感心しました。エンタメを求めるなら、もっとストーリー展開があってもいいのかもしれないけど、この世界観にはこの展開がグッときました。
    土屋くんの心のうちは直接表現されていなかったけど、彼視点から深めた物語も読んでみたいとも思えるような、余韻の残る終わり方。

    雛倉さりえさんの作品を読むのは、『ジェリー・フィッシュ』『ジゼルの叫び』に続いて三作目ですが、わかりやすさや共感のしやすさでいえば本作が一番でした(だからこそコミック化もされたのでしょうが)。そういえば他の二作は連作短編集ですね。短編は複数視点から読める楽しみがあるけど、やっぱり中編や長編が良いですね。深く潜れるので。
    体をテーマにしているだけあって、理科準備室の臓器模型の描写が美しかったです。

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    2024年01月27日
  • ジェリー・フィッシュ

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    性描写が生々しい
    でも、それと対比にするように心情もーーー特に思春期特有の不安感や焦燥感ーーーが細密に描かれていて読み手のこちらも気持ち悪くなるほど(褒めてます

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    2022年03月29日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 2

    無料版購入済み

    青春

    なんか、学生時代の甘酸っぱさと好奇心と劣等感からの現実逃避と好きな人に触れたい、もっといたい、いろんな気持ちが混じってて、共感できた。続きが気になります。

    #切ない #エモい #胸キュン

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    2022年03月04日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 1

    匿名

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    絵が綺麗で、読みやすいです。
    内容もいつのまにか引き込まれているというか。ドキドキします!勉強から離れた2人の世界。

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    2022年09月30日
  • もう二度と食べることのない果実の味を~甘くて苦い、15歳の衝動~【マイクロ】 4

    ネタバレ 購入済み

    『甘くて苦い』青い果実の味は

    多感な時期に触れる衝動と依存。
    見える世界は決して広くはないし、親への反発もある中で触れた甘く強い衝動は、周りも見えなくなるのでしょうか。
    読後は甘くほろ苦い想い、忘れていた思い出を強くつつかれたような気持ちになります。
    いつか大人になった二人にとって、どんな思い出になるのだろう?と思ってしまいます。

    #エモい #切ない

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    2021年12月23日
  • ジェリー・フィッシュ

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    いろいろな登場人物の視点から、それぞれの恋愛を描いた短編集。
    1話ずつ進むたびにディープになる恋愛観が描かれていて読みごたえありますが、
    1番印象に残っているのは、表題作の「ジェリー・フィッシュ」です。
    大人になったら忘れてしまうような10代特有の女の子同士の恋愛、はじめての経験がみずみずしくてきれいでした。
    最初は詩的な文章が大仰に感じて独りよがりに思えましたが、次第に世界観にひきこまれていき、ラストは感極まりました。

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    2019年09月19日
  • もう二度と食べることのない果実の味を

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    中学三年生、多感なあの時期。
    繊細な感情の波、
    家族や友人との関係、その中にある自分の位置。

    随分前に通り過ぎた年齢なのに
    読んでいると心がその頃に引き戻されて
    胸がキュッとなります。
    苦しい、でもない…甘くもない。
    ただ、締め付けられる気持ち。
    懐かしさを感じました。

    私はすごく引き込まれました。
    感情が静かに揺さぶられる、そんな本。

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    2019年04月12日
  • レテの汀

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    3歳の時結果的に画家である母を殺してしまった柑が許せない自分自身と向き合い再生する物語。キリスト教の寄り添う神の姿が尊い。甥の伊吹くんの大人な対応と子どもらしい生き生きした様子に感心した。

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    2026年10月11日
  • レテの汀

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    主人公の柑は32歳。東京郊外の大きな家で一人暮らしをし、古本屋でアルバイトをしながら、人付き合いを断って淡々と暮らしています。

    心を閉ざす理由は幼い頃の事故で、天才画家だった母と、まだ胎内にいた妹を死なせてしまったという罪悪感でした。

    母が柑を産んだ年齢になった柑は、母の故郷・与那国島を訪れる決心をします。母の絶筆を見て、自分が損なってしまったものと向き合うために。

    ところが、小学6年生の甥・伊吹が旅に同行することになり、思わぬ二人旅が始まります。

    物語は本当に淡々と進み、大きな事件は起きません。それでも、すーっと引き込まれてページをめくる手が止まりませんでした。

    あれだけの覚悟で旅に出たのだから、柑はきっと変わるはず。そう思って読み進めましたが、柑は姉にこう言います。
    「与那国まで行っても、なにも変わらなかった。でも、行ってよかったと思う。なにも変わらないことに気づけたから」。
    ここまで引っ張って「変わらなかった」なのか、と一瞬、拍子抜けしました。

    でも、すぐに思い直しました。人はそう簡単には変わらない。真剣に向き合ったつもりでも変わらないことはあるし、簡単に変われるのなら、それはやはり物語の世界の話です。

    そして、変わらなくても、覚悟を決めて歩き出すことはできる。なかったことにしたい過去が消えなくても。

    柑が得たのは、苦しみが消えなくても、ひとりで苦しみ続けなくてよいという気づきではないかと思います。

    旅先で出会ったエンマは、キリスト教の「インマヌエル(神は私たちとともに在る)」という言葉を紹介します。それはまた、「同行する神」という意味でもある。
    同行することは苦しみを取り除くわけではなく、その意味で神は無力です。それでも、傷を癒すのではなく傷のそばにいてくれる。それは確かに救いなのだ、と。

    身に覚えのない罪をどう贖うのかという柑の問いに、この言葉が静かに響きます。
    ひとりだと思っていたけれど、そうではなかった。だから柑は「3歳の私といっしょに生きていく」と言えたのだと思います。

    自分を省みても、変わりたいのに同じところで何度もつまずき、分かっているのに変えられないもどかしさがあります。
    それでも、何かを知ることで、すぐには変わらなくても、内側に育つものがあり、それが未来の自分につながっていく。

    焦ることはない。変わることだけが、前に進むことではないのだから。
    静かに背中を押してくれる一冊でした。

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    2026年10月04日
  • レテの汀

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    ゆっくりと歩いてあげたい。リラックスとはまた違う、気持ちのペースを落としくれるような文体がとても良い。

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    2026年08月20日
  • レテの汀

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    これは生きていくのが辛い。こういう地獄のようなニュースはたまに見るが。お姉さんが親の立場からの意見を聞かせてあげることができたのが救い。そして難しい言葉が沢山出てきて日本語が美しい。よくこんな文章書けるな。

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    2026年07月06日