魚住昭のレビュー一覧
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ジャーナリズムの責任や、今、日本が向かっている方向について考えさせられました。政治の裏側などについて書かれている部分は、私自身の力で検証しようもなくて、片側からの視点だし、他の見方もできるかもなあと「疑って」いる部分もありますが、それにしても、興味深かったです。タイトルになっている「だまされることの責任」は伊丹十三の父である、伊丹万作によって太平洋戦争終了の翌年書書かれたエッセイ「戦争責任者の問題」から取られています。戦後、「だまされていた」という人が多い中、だまされたというだけで全て許される訳ではないということを書いたエッセイ(ちょっと簡単に書きすぎたか?)です。戦前や戦時中、軍国ムードが高
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政治家野中広務で覚えているのはいつも口をへの字にした顰めっ面のおじさん。政界の裏でいろいろ工作しているフィクサーのような印象。
ただこの本を読んで彼の置かれた環境、出自を初めて知り見方が変わる。自身に降りかかる苦難に常に戦い続けた政治家。非常にナーバスな問題を取り扱ったノンフィクション。
個人的には巻末の佐藤優氏との対談が面白かった。佐藤優氏の言葉がまあ辛辣。著者が返す言葉がなく絶句していた。ちょっと他ではみない対談でした。
あとがきでは著者の苦悩も赤裸々に告白しており、上梓に相当苦労した様子。よくぞここまで切り込んだと著者の気概に敬服する。 -
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ネタバレ野中広務 差別と権力
著者:魚住昭
発行:2006年5月15日
講談社文庫
初出:月刊現代2003-2004年
単行本:2004年6月、講談社
2001年、KSD事件や「えひめ丸」沈没を聞きながらゴルフを続けたことなどから、森喜朗総理が退陣表明。後継首相に野中を推す声が高まり、総裁選に出れば圧倒的有利と見られていたが、「たとえ推薦されても、受けることは200%ない」と出馬を固辞。これに対し、総裁選に立候補した元経企庁長官の麻生太郎は、党大会の前日に開かれた大勇会(河野グループ)の会合で野中の名前を挙げながら、「あんな部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」と言い放った。
2003年9月 -
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報道は悪のイメージを作り出し、そのイメージに乗っかって当局が罪人を作り出す。その結果、人々の目は最も肝心なところからそらされていく。
著者は、メディアと権力の接点で起きている出来事を取材することで、「メディアは誰のものか」と問いかける。新聞やテレビを中心とするメディアは経営者や株主などのものではなく、無数の読者のものであるべきだ。
メディアは多くの人々の身近な情報源であり、世論の形成に大きな影響を及ぼしている。それゆえ民主主義社会の中でメディアが果たすべき役割は非常に大きい。この本を読むと、そのようなメディアのあり方について再考させられる。 -
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★闇の分析は深い。がやや散漫★姉歯、ライブドア、NHK対朝日新聞などを取り上げる。姉歯事件では国交省の問題も大きかったのに、メディアは官僚の情報発信に操られてヒューザー叩きに終始してしまった。事件報道などで検察の情報に「ダボハゼ」のように踊らされるメディアの問題はその通りなのだろう。渦中にいると一歩退けはしないのだろうが、メディアはどこかで冷静さを保つ必要が確かにあるし、読み手もそれを意識すべきなのだろう。裁判員制度を巡る広報活動で裁判所、電通、地方紙の癒着を暴くのも素晴らしい。テーマは一貫しているのだろうが、既出の記事をまとめたためか事例がやや散漫に感じる。