魚住昭のレビュー一覧

  • 野中広務 差別と権力

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    京都府園部町に生まれ、不当な差別を受けながら政治家としてのキャリアを歩み始め、57歳で中央政界に初進出し、自民党の黒幕としての地位を築くまでの、野中広務の生き様を追ったノンフィクションです。

    不当な差別を受け続けてきたがゆえに、弱者に対する優しいまなざしを持つ反面、差別に抗して自分の居場所を切り開いてきたが故に、ライヴァルたちの弱みを握ってみずからの影響力を強めていく政治手法に長けていた、複雑な政治家の実像を、みごとに描いています。

    また、高邁な理念を掲げる政治家ではなかったにしろ、土着的な共同体理念に根づいた優しさを体現していたという意味で、55年体制の終焉を象徴する政治家として野中広務

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    2014年05月19日
  • 官僚とメディア

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    特にメディアが信じられなくなる本。情報の裏付けとは非常に労力を伴うものであり、一般の人は政治問題や様々な事件について本や新聞でしかその情報を仕入れることはできない。その裏にどのような意図が隠されていようと、我々は提示された情報でしか判断できない。その情報が改竄はされていなくとも、判断の為の重要なセンテンスが隠されていたとしたら、もうどうすることもできない。誰のためのメディアなのか、今一度考えさせられる本。

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    2013年12月18日
  • 野中広務 差別と権力

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     被差別部落に生まれながら、老獪な政治手法を用い、内閣の中枢に登りつめ、「影の総理」とまで言われた野中広務の姿を描いた一冊。「潮目を読むこと」に長け、一貫した政治姿勢がないようにも見える野中には、弱者への優しいまなざしと差別の再生産を憎む気持ちがあった。
     野中はときに政敵を恫喝し、ときにトリッキーな手法を駆使しして政界を生き抜いてきた。その姿だけをみると、決して評価されるべき政治家ではないようにも思える。しかし、ハンセン病患者らによる裁判での国の控訴見送りは野中の尽力なくしてはあり得なかった。不当な差別を受け続けてきた野中の心には、弱者に対する思いやりと弱者を虐げる社会への強い憤りが生まれて

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    2013年06月05日
  • 渡邉恒雄 メディアと権力

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    魚住昭は度胸があるよね。さすがだ。数少ない真のジャーナリストだよ。
    それにしても、ナベツネはムカつく。

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    2013年02月23日
  • 渡邉恒雄 メディアと権力

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    渡邉恒雄が生まれてから読売新聞社長の座を手に入れるまでの恐ろしいまでの権力闘争やそれに至る生い立ちを、極めて詳細な取材をもとに紐解いていく本。
    どんな組織でも、それが社会に対して持っている影響力の大小に関わらず、権力闘争・派閥争いはあるものだが、読売新聞のような大手メディアでのものが社会に与える影響の大きさに愕然とする。
    また、権力闘争を勝ち抜いた渡邉恒雄個人が社内はもちろん、国家に与える悪い意味での影響の大きさは想像を遥かに越えた醜悪なもの。
    メディアとはそのようなものと言ってしまえばそのとおりかもしれないが、では健全さを前提としてメディアに与えられているさまざまな権利と、それに基づく権力・

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    2012年10月28日
  • 官僚とメディア

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    なかなか面白かったです。特に耐震強度偽装事件については、某ブログを通じて「悪のトライアングル」論を支持していたので、にわかにはこの本の記述を信用できなかった。
    でも、第6章「検察の暴走」を読んで、どれも信用できるかも・・と感じた。詳しいことを書くとこのブログがいろいろ面倒なことになりそうなので割愛するけどとても興味ある内容です。第7章では朝日新聞とNHK、第8章では最高裁判所を扱っている。参考までにカバーに書かれたPR文を以下に転載しておきます。
    官僚の暴走と、
    すり寄るメディアの深い闇
    ▲「組織」を優先するメディアの腐敗
    ▲官僚の情報操作に踊るお粗末報道
    ▲官僚を恐れ批判しないメディアの弱み

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    2012年08月17日
  • 官僚とメディア

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    著者は、共同通信で20年ほど記者をするも、記事内容への上からの圧力、自主規制の強制が嫌になり退社、フリーのジャーナリストとなった人である。
    そのため実感を込めてメディアの問題点を取り上げているのがよく分かる。

    目次を見ると週刊誌の吊り広告のような内容だが、実際、月刊現代とアエラの記事をまとめた本であった(月刊誌だけど)。

    1.新聞の政治家へのすり寄り、外部からの圧力と過剰な自主規制。情報源(政治家、官庁)を怒らせたくないからそういうことになるらしい。

    2.姉歯の耐震偽装事件。
    姉歯建築士、ディベロッパー、建築会社、確認検査機関、コンサルタント会社らが結託して偽装していたような報道が大々的

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    2012年04月23日
  • 冤罪法廷 特捜検察の落日

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     前掲書と同じ事件についてですが,こっちの方が踏み込んでるような気がする。弁護人と裁判官の人間性により焦点を当てているということだが。
     弁護人から見て玉も筋も良すぎるという発言は,ちょっと凄いなと思った。まぁ,大先生ですからね。勿論,無罪を信ずるべき事件ではあったのだろうけれども,それでも,本件でも無罪は厳しいと考えざるを得ないのが,普通の弁護人の感覚ではなかろうか。残念ながら。
     本書が指摘するように,裁判所が検察を疑ったという点が,本件のもっとも重大な要素だと思う。それは,可視化とか何とかを吹っ飛ばして,刑事司法の大転換になりうる。
     蛇足ながら,このレベルなら,犯人隠避も無罪で良かった

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    2012年04月15日
  • 冤罪法廷 特捜検察の落日

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    ネタバレ

    かなり好きな作家の一人。すごく調査に時間をかけられているのが伝わってくるし、表現も簡潔ですごく事件の迫力も伝わる一方で読みやすいのが毎回うれしいです。

    障碍者団体の優遇制度を悪用した郵便不正事件で、新聞・TVの報道を見ていた印象としては、村木課長が当然何らか悪いことをしたのだと思い込んでました。完全に刷り込みをされた一般大衆のひとりでした。

    ところが、実際にはご本人は全く関係なく、かつ当時の部下の単独犯で、動機も業務が忙しかったから面倒なことをとっとと片付けたかった、、、とは。政治家が絡んでるという疑惑も全く事実に反するし、改めて検察の捜査方法や、ストーリーを作られた側の怖さを感じました。

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    2012年02月05日
  • 野中広務 差別と権力

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    普段ノンフィクションなんか読みつけない人間をぐいぐいひきつけるこの文章力はピカイチ。
    類稀なる力作だ。

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    2011年11月24日
  • 官僚とメディア

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    ネタバレ

    官僚とメディアの癒着は分かっていたけど、裁判所がメディアと癒着していたのには絶句した。その場面を読んでいる瞬間、時が止まった感じだった。それほど、私は裁判所を盲目的に信頼してたということか。

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    2011年07月01日
  • 野中広務 差別と権力

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    部落出身者なのに権力に食い込んだとうことぐらいしか知らなかったから、どんな人だったのかと思い読書。

    かなりのボリュームだったから途中で終了。

     部落を黙らせることができる政治家として、部落出身だった野中広務は頭角を現してきた。
    地方の主要産業は公共工事だと言われるが、企業献金の額と票の量によって公共事業を割り振るというあからさまな構図があり、それを当然としていた時代があったとうこと。
    政治的能力とは、結局は金の流れを作ることなんだと実感したしだい。
    そのやり方は泥臭くスマートじゃないけど、その根っこに勉強家で努力家という素質があったのだなと感心。
    被差別階級に対する親身な暖かいまなざしは、

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    2011年05月18日
  • 野中広務 差別と権力

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    小渕政権の官房長官であり、自民党幹事長であったコワモテで老獪なイメージだった政治家野中広務。彼の出自について知ったのは、辛淑玉さんとの対談本である『差別と日本人』(角川oneテーマ21)で、その「いかにも老獪そうなニッポンの保守派政治家」といったイメージの一方、辛淑玉さんとの対談の中で語った、その人生を通しての差別との戦いに圧倒され、第四章は野中氏と辛淑玉さんの二人の言葉に、涙でページを繰る手も止まったガブ。今回、同書を貸した友人から、返礼のように(?)貸してもらったのが本書である。

    対談本とは異なり、本書はプロのジャーナリストが綿密な取材と、巧みな構成によって紡ぎ出した、いわば現代政治史ノ

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    2010年10月14日
  • 冤罪法廷 特捜検察の落日

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    村木さんの事件ももちろんですが、過去のいろいろな事件の真相を今回知りました。検察も恐いけど、マスコミももっと批判されてしかるべきなのでは?悪意のある権力に立ち向かえる強さ、真実を見極める眼、難しいです。

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    2010年10月05日
  • 冤罪法廷 特捜検察の落日

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    ネタバレ

     日本の冤罪事件がどのように出来上がるのか。有罪率99.9%というけれど、結局検察が「これ」と思った容疑者を思うがままに有罪にしていっている、というだけではないのか…?
     「国家の罠」「公認会計士VS特捜検察」に続き、また検察のねつ造=調書誘導体質が明らかになります。
     書きだしの、三浦事件と薬害エイズの安部教授のケースもショックでした。知らないというのは恐ろしい。

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    2011年09月25日
  • 官僚とメディア

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    [ 内容 ]
    官僚の爆走と、すり寄るメディアの深い闇。

    [ 目次 ]
    第1章 もみ消されたスキャンダル
    第2章 組織メディアの内実
    第3章 悪のトライアングル
    第4章 官僚たちの思惑
    第5章 情報幕僚
    第6章 検察の暴走
    第7章 NHKと朝日新聞
    第8章 最高裁が手を染めた「二七億円の癒着」

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    2010年06月30日
  • 野中広務 差別と権力

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    被差別部落で生まれてから、市議、県議、副知事、国会議員と成り上がり「影の総理」と言われるまでの野中広務の半生。

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    2010年04月21日
  • 野中広務 差別と権力

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    元共同通信社記者である著者による、講談社ノンフィクション賞受賞作。
    被差別部落出身でありながら、様々な苦難にぶつかりながらも自民党の幹事長まで務めた野中広務という政治家について、その軌跡を赤裸々に綴ったノンフィクション作品。

    野中自身も、この著書の出版にはかなり嫌な思いを持っていたようである。

    野中広務といえば、ありとあらゆる権謀術数を駆使して権力を握ってきた印象が強いが、その出自のためか、反面弱者に対する慈しみの思いも強く持っていることがわかる。

    部落問題という、腫れ物に触るようにして扱われてきた非常にデリケートなテーマ(私はそうは思っていないが)ではあるが、ジャーナリストとして中立的

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    2009年12月14日
  • 官僚とメディア

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    佐高さん

    08年12月22日より更新

    緊急性を要する未読の本にカテゴライズしていたのに、今ようやく読んだ。

    非常に良い本。メディアのあり方を考える上で非常にいい。

    報道を捻じ曲げる国家権力の存在を知る一冊。共同通信という会社を知る一冊。

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    2009年10月04日
  • 野中広務 差別と権力

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    一般社会の裏側に存在する権力社会と被差別社会
    被差別社会の苛烈な環境で育ったことで身につけた裏側社会での生き方は、
    同じく裏側社会である権力社会で生き抜く術となり、
    野中を権力の中枢へと導いた、のかな
    生々しい政治の世界が垣間見られる良書
    ただし、権力者に認められるクダリがことごとく浅く、さらに裏側があるのではと思ってしまう

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    2009年10月04日