のんのレビュー一覧
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購入済み
ゆっくりと進んでいく二人の関係
電波女や嘘つきみーちゃんで有名な入門人間氏の百合もの。
百合とはいうもののゆるゆり以上、マリみて未満くらいのゆるーい感じのお話。
ガチガチのものより恋愛未満くらいのが好きという方にはお勧めです。
安達としまむらは花のJKでありながら二人とも周りと積極的に交流を持とうとしない子たち。
安達は一人でいる方が楽だと感じるようなタイプで、しまむらは良くも悪くも周りを気にしない、いてもいなくてもどっちでもというタイプ。
そんな二人がたまたま体育館の二階で鉢合わせし意気投合、というわけでもなく、なんとなーく一緒にいたらなんとなーく居心地が良かったのでそのままダラダラと過ごしていく。
そんな日々を過ごすうちに安達の方の心境にわずかな変化があって・・・
この作品のいいところは急激にくっついたり逆に変化の無い関係がずっと続いたりでなく、少しずつ関係が進んでいくところ。
安達の心境が少しずつ変わっていって、しまむらの方もそんな安達に対する印象が少しずつ変わっていって・・・
そういった変化をゆっくり少しずつ丁寧に描いているところが気に入ってます。 -
Posted by ブクログ
誰も死なない…だと…。まさかの入間人間の作風を一変させた作品。一人称してんを交互に進行させる構成はお手の物だが、この作品から入間人間を読み始めた人は確実に従来の作風を想像できない(笑)
読んでいて紅玉いづきの「ガーデン•ロスト」を思い出しました。ほんわかな雰囲気とは違うんですが、なんと言うか、少女特有の言い表しにくい悩み、葛藤が散りばめらていたことに共通点を感じました、
そして不思議?なラストで独特の読後感を得ました。「あ、ここで終わるんだ。」というものと「あー、終わったなー。」というものが他の作品にはない割合でない交ぜになっている、言葉にするのは難しいですが、あえて表現するならこんな感じでした。
ともあれ、入間人間は新しい「彼方」を開拓したのではないでしょうか。まだまだ期待出来る作家です。 -
Posted by ブクログ
前半は、本当に「あだしまの日常」を切り取ったような短編集だった。
ただ、後半でしまむら父、しまむら妹、やしろ、安達の母の視点が描かれることで、その日常が少し外側から照らされていく感じがとても良かった。
特に、成長したしまむら妹のエピソードが印象に残った。
時間は「いつまでも」を錯覚させながら、少しずつ色々なものを奪っていく。
一見すると寂しい考え方だけど、妹はそれを悲観するというより、どこか受け入れているように見えた。
だからこそ、家族で過ごした日々を、永遠に近い存在であるやしろに託すような流れに希望を感じた。
やしろはとても哲学的なことを言っているのに、本人はどこまでも無邪気なのが面白い。
さらにやしろ目線の短いエピソードでは、情報処理や身体の変化などSF的な要素も見えて、やしろという存在の解像度が一気に上がった。
AIのような情報処理能力を持ちながら、ドーナツには心から喜ぶ。
そのギャップがとても良かった。
もし宇宙人やAIが人間と関わる未来があるなら、やしろみたいな存在であってほしい。
そして、やしろの無邪気さは、しまむらたちの綺麗な心に触れたからこそ育ったものなのかもしれない。
ただの日常の短編集に見えて、時間、記憶、希望、そして人ならざる存在との関わりまで感じさせる巻だった。
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