あらすじ
体育館の二階で出会って、美人だなーとは思っていた。同時にやつは、わたしの三倍ぐらい不良だなとも。
本人の柔らかい印象のせいだった気がする。最初に名前を聞いて、浮かんだ名前はひらがなだった。
卓球場から、マンションまで。女子高生からOLまで。サボり仲間から、恋人まで。長いようで短い二人の時間。そのこぼれ話を拾った書き下ろし多数の短編集。
同棲直前、安達母への挨拶の日を綴った中編『そして……』も収録。
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Posted by ブクログ
しまむら視点達の第1章に安達視点の第2章と「安達としまむら」二人の過去といまが入り乱れて、そのときそのときで互いに互いをどう思っていたかが伝わってきて心温まるSS週でした。11巻でも語られていましたが、飄々としたしまむらがとても安達が好きというのが改めてよく分かり、その尊さに身悶えしてしまいました。そして島村家視点で綴られる第3章からの、安達・母の娘への思いが綴られる第4章にしんみりするとともに、安達の不器用さは母親に似ているのだな…と思いました。さて、次は『99.9』を読もうかな。
Posted by ブクログ
あだしまで描かれる言葉の数々が気持ちいいのは、本当には得ることができず、知ることもない、だけどいつかそんなこともあったなとの想いを感じさせてくれるから。ほんといい作品、てかもはや福音...
Posted by ブクログ
前半は、本当に「あだしまの日常」を切り取ったような短編集だった。
ただ、後半でしまむら父、しまむら妹、やしろ、安達の母の視点が描かれることで、その日常が少し外側から照らされていく感じがとても良かった。
特に、成長したしまむら妹のエピソードが印象に残った。
時間は「いつまでも」を錯覚させながら、少しずつ色々なものを奪っていく。
一見すると寂しい考え方だけど、妹はそれを悲観するというより、どこか受け入れているように見えた。
だからこそ、家族で過ごした日々を、永遠に近い存在であるやしろに託すような流れに希望を感じた。
やしろはとても哲学的なことを言っているのに、本人はどこまでも無邪気なのが面白い。
さらにやしろ目線の短いエピソードでは、情報処理や身体の変化などSF的な要素も見えて、やしろという存在の解像度が一気に上がった。
AIのような情報処理能力を持ちながら、ドーナツには心から喜ぶ。
そのギャップがとても良かった。
もし宇宙人やAIが人間と関わる未来があるなら、やしろみたいな存在であってほしい。
そして、やしろの無邪気さは、しまむらたちの綺麗な心に触れたからこそ育ったものなのかもしれない。
ただの日常の短編集に見えて、時間、記憶、希望、そして人ならざる存在との関わりまで感じさせる巻だった。