加賀乙彦のレビュー一覧

  • 新装版 高山右近

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    加賀乙彦さんは精神科医でありながら小説家、ということは知っていたが、初読みである。
    「キリシタン大名 高山右近」も知っているようで「天草四郎」ほどは知らなかった気がする。

    右近のカトリック信者としての伝記的小説ではあるけれど、いわゆる年代を追った人物像を描いているものでもない。その精神的な部分での生き方に迫っていることに感銘を受けた。
    と言っても、宗教的にではなく人間の生き方に精神についてであるところが、この小説の神髄であるような、文学の愉悦とでも言いたい。

    それは激しいものではなく、静かにわからせてくれるというか、悟らせてくれるものであった。
    作者のよほどの手腕と習熟と努力かと思う

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    2020年02月14日
  • ある若き死刑囚の生涯

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    1968年に横須賀線内に爆薬を仕掛け、死者1人・負傷者多数を出し死刑囚となった純多摩良樹の評伝。正直なところ、死刑になるほどのことをしたのだろうかと思いもする。素直そうに思える一方、ところどころ自己顕示欲が強い人のような感じもする。でもそれは、当時の普通だったようにも思う。生まれる前に父は戦死し、幼少期は母にもつらく当たられ、中卒で大工になり、25歳から32歳までは獄中で暮らした。この人の人生って何だったのだろうと複雑な思い。
    純多摩は入獄してから短歌を始めた。書中でも何首も紹介されていて、かなりこなれた感じ。短歌にどういう思いで臨んでいたのかとか、もっと知りたかった。
    評伝というけれど、ほと

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    2019年09月01日
  • 悪魔のささやき

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    面白いんだけど、事実の認識がほんとにそうかなあ、というのがちらほら。最近は切れる子供が増えているとかね。

    オウムの麻原死刑囚の記述は特に興味深かった。
    いろんな意見はあるけれど、著者の言っていることがいちばん真実に近いように思う。

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    2018年01月20日
  • 日本の古典に学びしなやかに生きる

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    幸田露伴「努力論」。「努力して努力する、それは真のよいものではない。努力を忘れて努力する、それが真の好いものである。」あれこれ陰気に考えるのではなく、人生は心のとり方次第で苦を転じて楽と為すことができる。ただし、そのためには相応の努力が必要。とりわけ、努力を忘れて努力するのが良い。小説を書きたいと努力するのではなく、小説を書くことが喜びになり、努力を忘れさせるようになって初めて良い小説が書ける。努力だということも忘れて努力している。そういう人が幸福を得る。方丈記、徒然草、努力論、養生訓、4つの古典に日本語の変遷、そして時代や生き方の変遷を見る。どの古典も噛んで含めるような解説が施されており、古

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    2016年03月02日
  • 死刑囚の記録

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    色々考えさせられる本。

    死刑制度の是非や問題点は死刑制度の死刑囚のものの考え方や、拘禁反応については、全く想像できないものであったので興味深かった。おそらく、筆者でなければ描けないものだと思う。

    あとがきで、筆者が敢えて死刑囚の生活のみを描き、死刑制度の是非や問題点はには本文では触れなかった旨が書いてある。

    その上で、最後にあっさり死刑制度は廃止すべきとの結論がアッサリと提示されているが、多少の違和感を感じる。身近に死刑囚と接した筆者にとっては素直な結論なんだろうが、抜けている視点として、遺族感情があると思う。

    残念なことだが、時折、信じがたいものすごく残虐な事件ごおきることもある。加

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    2015年08月22日
  • 不幸な国の幸福論

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    前半は様々な統計データ等により、現代の日本がいかに病んでいるか・・また将来どんな不幸が待ち受けているか・・ということが書かれている。
    後半はわりと精神論的な話だった。

    この本を読み、幸福って本当に主観的にしかはかれないものだなと思った。
    お金や名誉・地位などの客観的指標で幸福をはかりだしたらほとんどの人は不幸になってしまう。
    問題は、そのような客観的指標を主観にしてしまってる人が多いということではないだろうか、、。

    もう一つの問題として、自分の幸福を追い求める際に他人を不幸にしてないかという視点が要ると思う。
    (現時点の他人に限らず、将来の他人も含め。)

    そして最終的には、「自分は幸福」

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    2014年10月05日
  • 科学と宗教と死

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    ネタバレ

    著者の加賀乙彦さんは、作家で精神科医でキリスト教徒。
    1929年生まれですから、もう八十余歳になります。
    Wikipediaで調べてみると、谷崎潤一郎賞などいろいろな賞を取っていて、
    僕が知らないだけで、著名な作家の人なのでしょう。
    本書はそんな加賀さんの自伝的要素の濃い、柔らかい言葉で読みやすい論説文です。

    東日本大震災によって意を深めたといった感じで、
    宗教、そして祈りというものの意味の大きさを読者に問いかけます。
    この「祈り」についての考えは、僕がこの間書いた短編、
    『忘れられた祈り』のテーマとかなり通じるものがありました。
    この小説を書くにあたって考えたこと、書いているうちに出てきた

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    2013年11月24日
  • 不幸な国の幸福論

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    世間一般の幸福論から
    日本人特有の考え方からとらえた幸福論。

    精神科医でありながら小説家でもある著者ならではの視線から見た、
    不幸な国日本。

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    2013年11月04日
  • 科学と宗教と死

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    ネタバレ

    戦争、精神科医として、阪神と東日本の大震災、妻の死と、多くの死に直面してきた著者の、信仰と死についてのエッセイ。
    不幸な国の幸福論でも感じたが、この方の意見の述べ方の立ち位置がとてもいい。
    意見を押し付けることなく分かりやすい文章で書いてくれているので、意図を受け取り自分の中で租借する余裕を読者に与えてくれている。

    第4章が、この本の核となっているが、1章から順番に読むことをオススメ。
    新書の場合は速読するようにしている私ですが、2章の途中から精読に変更。時間がかかってしまったのは誤算でしたが、しっかり読む価値がありました。
    キリスト教について神父さんをご夫婦で質問攻めにしたくだりは面白かっ

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    2013年10月30日
  • 死刑囚の記録

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    まあ当たり前の話なんだけど、死刑囚にもいろいろいるなあ、と。
    「自分のウソを自分で信じ込んでしまう」というのは、精神の防衛機能としてなるほどと思わされる。これは死刑囚じゃなくても、一部のジャーナリストとか「一般人」にも当てはまりそうだな。

    あとがきの「死刑が残酷なのは、“殺すから”ではない」という旨の主張は納得感がある。
    でもだから死刑廃止、てのはねえ。
    しかもその大きな根拠の一つとして
    「死刑囚100数十人にインタビューしたが、ほとんどが犯行時に死刑のことを考えていなかった」
    から死刑に抑止力がない、としているけど、違うでしょ。
    抑止力を調べたいなら、「殺そうとしたけど死刑を考えて実行しな

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    2013年06月16日
  • 不幸な国の幸福論

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    筆者の考えをひたすら書いてある。共感できるものだが、論は一般的なものだと思う。結局考え方次第というような結論に聞こえた。

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    2013年03月20日
  • 科学と宗教と死

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    前半は著者の体験談から来る話。第4章以降がこの本のメインのような気がします。「祈り」という行為を尊重していて、著者の人柄が出ていました。

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    2013年02月13日
  • 科学と宗教と死

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    戦争体験と拘置所医務技官の体験から作者独特の死生観、宗教観を述べている。個人的には共感する部分が多い。終盤、科学者の態度として謙虚であるべきとの考えを展開する延長で原子力に言及している。謙虚であることに異論はないが、未知の領域を探究するのが科学者ならば、障壁を作るのではなくて克服して行くべきで、この点は生殖医療等の倫理的に議論のある問題と明確に区別するべきと思う。

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    2013年02月05日
  • 死刑囚の記録

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    死刑囚たちの記録。精神科医という目線から分析している。様々な人がいる。

    獄中で後精神疾患にかかる囚人は多いようです。死刑が宣告された後、殺したことを認めてしまうと、よりどころがなくなる。そんな中では精神が心が自分を守るために、刑を逃れるためについていた嘘も本当にあったことと錯覚してしまう。囚人は自分はやっていないと本当に思っている。なんて人もいるようです。心というものは自己防衛機能を備えているんですね。そうしないと精神がもたないようです。

    僕は直接は知らないですが印象に残ったのは三鷹事件の竹内さん。冤罪ではないのかと疑ってしまいます。もしそんなことで捕まって、死刑を宣告され、上告も破棄され

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    2013年01月08日
  • 不幸な国の幸福論

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    作品を少し読ませてもらいましたが、私は自分の考え等をはっきり言えなく、悩みでもありましたが、この本を見たらもっと自分の考えをしっかり伝えようと思えたし自信もわいてきました ! ほとんど読んでませんがほんとに感謝です♪
    読んで思ったのが、日本人の控えめなところはそれはそれで日本の特徴というか個性というか、日本の文化による性格なのではないかと思いました。
    それでもこの本のおかげで、私は自分の意思をしっかり持ちつつ、今の性格も尊重していこうと思えることができたので、よかったです。

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    2013年01月03日
  • 科学と宗教と死

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    精神科医で作家でキリスト教徒である著者が、死を見つめて宗教のことや科学のことについて思うところを述べた軽い読み物。死刑囚との接触やキリスト教改宗、第二次世界大戦の記憶なんかから、東日本大震災後の日本に宗教は大事なんじゃないかと。祈りの気持ちや宗教的感動を思い出させてくれた。

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    2012年10月29日
  • 不幸な国の幸福論

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    80過ぎてもなお自分の目標を持つ人の唱える幸福論。

    話が漠然としすぎててピンと来ない。
    あと、参考になる部分は数多くあれど、中々真似できない感じ。

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    2012年09月06日
  • 科学と宗教と死

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    ネタバレ

    内容的には過去の作品の内容と同じ物が多い。
    3.11以降の日本について書かれている、よく戦後と似ているという話を聞くが、戦争を体験した人が語るのはまた重みが違う。

    80歳過ぎの人が未だに色々と考えているのには勇気づけられるし、戦後すぐの物の少ないじだいでのモーパッサンのエロさについての述懐はなんだか嬉しい。

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    2012年07月13日
  • 悪魔のささやき

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    「意識と無意識のはざまでふわふわとした状態の時、人は悪魔にささやかれる。」これは一つの比喩だけど、この本を読んでる最中に非常に近い感覚を持った。
    実際に行動に移すことは無かったけれど、恐らくその瞬間に、歯止めになるような人やことが無かったら自分も悪魔のささやきに過ちへと導かれていったかもしれないと今ではゾッとしてる。
    個人的には首をかしげるような主張も多かったけど、人間というものが持つ様々な面を観察されていると思った。善悪二元論なんて簡単な話なんか無いやね。

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    2012年06月20日
  • 不幸な国の幸福論

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    読書再開。

    日本という国は、特殊とよく言われるが、では普通の国とはどんな国なんだろう?

    欧州のそれが、グローバルスタンダードだとしたらそんなのはクソくらえだ。

    その国の人の考えや、風習を画一化できはしない。一部の情報をさも、常識のように扱うのは個人的には好きではない。

    ただ、それが受け入れられているから、この手の本が人気なのかもしれない。

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    2012年05月10日