【感想・ネタバレ】死刑囚の記録のレビュー

あらすじ

一九五四年、松沢病院の医師として一人の殺人犯を診察したときが、著者の死刑囚とのはじめての出会いであった。翌年、東京拘置所の精神科医官となってから、数多くの死刑囚と面接し、彼らの悩みの相談相手になることになる。本書では著者がとくに親しくつきあった人たちをとりあげてその心理状況を記録する。極限状況におかれた人びとが一様に拘禁ノイローゼになっている苛酷な現実を描いて、死刑とは何かを問いかけ、また考える異色の記録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

刑務所内で医師として働いていた筆者の当時の体験をもとに書かれた死刑囚の心理についての考察。仕事柄成し得た様々な死刑囚達との高頻度な交流を通して、その心のうちが精神科医である筆者の鋭い視点によって整然と暴かれていく。死刑囚を知る上での貴重な一冊。

0
2016年03月04日

Posted by ブクログ

死より逃れるために人間は気晴らしをするが、気晴らしが出来、死を忘れうる人間は、すでに死刑囚とは違うのだ。様々な死刑囚と面談を繰り返してきた筆者が死刑囚と無期囚の違い、さらには死の定義について考察。おすすめ。

0
2011年07月04日

Posted by ブクログ

新聞には「ホニャラホニャラ被告死刑判決」とまでしか乗らない。彼がどうなるかは、誰も知らない。けれど、この本には書いてあった。こういう本は定期的にオーバーグラウンドしないといけないと思う。うん。いい本です。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

一番印象に残ったのは、一番初めの容疑者の話。諦めた瞬間『死』が待っているという状況で、あまりの恐怖に妄想で架空の話を作り出し、完全に本当の事と思い込んだ様子。私たちも普段、自分の過去について正当化したりするが、それもすべてこれと同じように人間の弱さから来ているものではないかと思った。死刑囚の心理とはそういった人間の根底の心理なのかもしれない。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

・人はこうやって苦痛から逃れようとする、
 という克明な記録
・死刑囚が犯す犯罪は社会に大きなインパクトを与えるものだが
 死刑囚がどう罪に対するのかは意外と表に出てこないもの
 死刑という刑罰の良さも悪さも見える
 残酷だよ。半数以上が半ば狂っていくのだから。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

新書に苦手意識はあったけど読みやすかった。というか興味のモチベーションを維持しやすかった?のかな。

死刑囚は犯罪にフォーカスを当てられがちだが、獄中生活を細かく文字に起こされているのは私にとっては新しい視点を得たような気持ちになった。
時代の背景はあれど非常に興味深かった。

0
2022年05月23日

Posted by ブクログ

死刑囚・無期囚たちと面会を続けてきた精神科医による記録である。

拘禁反応であったり、死刑囚と無期囚の傾向の違い、内面的な変化であったりが詳細に生々しく記録されている。
著者の加賀先生は1950年代に医師になっている。記述されている死刑囚の時期も1950年代~1960年代であり、まだ「戦後」と呼ばれていた時期のもので、時代背景も知れて興味深い。

0
2020年07月13日

Posted by ブクログ

精神科医による死刑囚との面談記録
1980年の著作
拘禁環境のストレス下で精神的な異常は見せている様だが、個人の素養としての異常性は然程一般人と変わらない様に思われる

0
2020年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■死刑囚が犯罪に至った経緯を、生い立ちを含めて生々しく聞き取ったドキュメント…ではなく、死刑囚の精神状態をちょっと突き放すくらいの距離感で淡々と観察するレポートです。ですが、初期は若さ?ゆえなのか、まだ突き放しきれてない感じ。嘘で固めて世界を構築しちゃってる死刑囚にまんまと呑み込まれて、それに気づいて憮然としてる記述は、ちょっと面白い。
■著者は最後に死刑に反対だと、さらっと結論づけています。私は死刑反対論者ではないのですが、読み終えて、ちょっと心が動きました。死刑囚は、みんな自分が犯した罪や傷つけた人と対峙はしてない。心穏やかに死んでいく死刑囚すら。ある者は突然圧縮された生に怯え、ある者はその密度に胸を締め付けられ、でもみんな向かい合ってるのも語るのも「自分」。
死刑を告げるのって、こういうことをさせたいんだっけ?という疑問は生まれました。あと、「恥ずべき死」を与える、っていうフレーズにも重くのしかかります。
■凝縮された生を急に突きつけられて、壊れていく様子には、描写が淡々としているのが余計に寒々しくて、ぶるっと来ました。しかもそれがいつまで続くかわからない。逆に弛緩した生を受けるしかない無期刑も。
今のところ反対も賛成もきっぱりとした答えは出せないのですが、この本を読んで、死刑という「罰」の実態を垣間見ることができてよかった、と思います。

0
2015年10月28日

Posted by ブクログ

精神科医から見た死刑囚、無期囚の記録。わかりやすく興味深く読めましたが、死刑囚たちの言動にやはりイライラさせられました。とても面白い本ですが、もやもやが残ります。

0
2013年01月18日

Posted by ブクログ

加賀乙彦、26歳で拘置所の医官になったそうです。恐ろしい…。死刑囚と無期囚の時間感覚の話が非常に興味深い。「濃縮された時間」を過ごす前者と、「薄められた時間」を過ごす後者。人間死にたくないものなのだなぁ。あと、やっぱすごくドストエフスキーを思い出す。好きって言ってたもんなぁ。ドストだってよく考えたら死刑宣告受けてるもんね。あれ?あれは同志がだっけ?

0
2012年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]


[ 目次 ]


[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0
2011年04月03日

Posted by ブクログ

去年憲法の授業の中で勧められた本。
古い本だけど、死刑囚についてここまで丁寧に書いた本はあまりないんじゃないでしょうか。

これを読むと、死刑制度の意義について疑問を持ちます。
死への恐怖は被告人の精神崩壊や嘘の供述を引き出して裁判を長引かせるし、
被告の心は死んだ被害者よりも、死ぬかもしれない自分自身に向いてる。
そして結局、死刑にしたところで遺族の念は晴れない。


贖罪は死刑って形では何も達成されないと思いました。

0
2009年12月01日

Posted by ブクログ

通常は知りえない死刑囚についてかかれています。著者が勤めていた時代が1950年代と結構古いんですが当時の死刑囚の生活、事件の背景、その心理、拘禁反応などなどをうかがい知ることができます。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

まだ読み途中だけど、大変興味深い。
死刑囚を間近で観察してきた精神科医の記録なのだけど、なかなか想像を絶するところがある。
死刑の是非を議論する時に、理想や理論だけじゃなくて、実際を知るべき、実態を知るべき、現場を知るべきだと思った。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

死刑囚たちとのやりとりや、彼らの生活を知れる本。
著者は最終的に死刑には反対らしいが、それは著者が多くの死刑囚と過ごしてきて気持ちが寄り添いすぎたというのもあるのではないかなと思った。
書かれている犯罪の中には相当に酷く、この犯罪者を再び世に出すのはどうなんだろうか……と思わせるものもある。
死刑については議論の余地があることだとは思うし、獄中生活がどれだけ辛いかというのもわかるけど、その人に無惨に殺された被害者の遺族の気持ちや再犯についてを考えると……難しい問題だなと思う。

0
2025年08月31日

Posted by ブクログ

あくまで拘置所での観察記録となります。

一番印象深いのがメッカ事件の正田昭死刑囚です。
「大人」といわれるひとたちをこころから憎み、怖れておりました。(中略)私の、この拭い難い不信と憎悪の対象である「大人」の中に、たまたまHさんがおいでになっただけでございます。
この言葉に共感してしまう私もいかがかと思いますが、案外同じように感じている方も多い気がしています。

0
2021年06月11日

Posted by ブクログ

色々考えさせられる本。

死刑制度の是非や問題点は死刑制度の死刑囚のものの考え方や、拘禁反応については、全く想像できないものであったので興味深かった。おそらく、筆者でなければ描けないものだと思う。

あとがきで、筆者が敢えて死刑囚の生活のみを描き、死刑制度の是非や問題点はには本文では触れなかった旨が書いてある。

その上で、最後にあっさり死刑制度は廃止すべきとの結論がアッサリと提示されているが、多少の違和感を感じる。身近に死刑囚と接した筆者にとっては素直な結論なんだろうが、抜けている視点として、遺族感情があると思う。

残念なことだが、時折、信じがたいものすごく残虐な事件ごおきることもある。加害者が死刑になったからといって被害者の感情が収まるものではないだろうが、死を持って償うしかない犯罪も有るように思う。死刑の適応を厳格にすればいいのではないだろうか。

0
2015年08月22日

Posted by ブクログ

まあ当たり前の話なんだけど、死刑囚にもいろいろいるなあ、と。
「自分のウソを自分で信じ込んでしまう」というのは、精神の防衛機能としてなるほどと思わされる。これは死刑囚じゃなくても、一部のジャーナリストとか「一般人」にも当てはまりそうだな。

あとがきの「死刑が残酷なのは、“殺すから”ではない」という旨の主張は納得感がある。
でもだから死刑廃止、てのはねえ。
しかもその大きな根拠の一つとして
「死刑囚100数十人にインタビューしたが、ほとんどが犯行時に死刑のことを考えていなかった」
から死刑に抑止力がない、としているけど、違うでしょ。
抑止力を調べたいなら、「殺そうとしたけど死刑を考えて実行しなかった」人が何人いるかを調べなきゃいけないでしょ(現実には無理そうだけど)。

と、なんか最後にこけちゃうような論があったのが残念。

0
2013年06月16日

Posted by ブクログ

死刑囚たちの記録。精神科医という目線から分析している。様々な人がいる。

獄中で後精神疾患にかかる囚人は多いようです。死刑が宣告された後、殺したことを認めてしまうと、よりどころがなくなる。そんな中では精神が心が自分を守るために、刑を逃れるためについていた嘘も本当にあったことと錯覚してしまう。囚人は自分はやっていないと本当に思っている。なんて人もいるようです。心というものは自己防衛機能を備えているんですね。そうしないと精神がもたないようです。

僕は直接は知らないですが印象に残ったのは三鷹事件の竹内さん。冤罪ではないのかと疑ってしまいます。もしそんなことで捕まって、死刑を宣告され、上告も破棄されてしまったら…やりきれないでしょう。家族も本当に辛いでしょうね。

0
2013年01月08日

「ノンフィクション」ランキング