加賀乙彦のレビュー一覧
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現代日本人の生きづらさの原因を精神科医の視点から著した本。前半の現状分析や今までの振り返りは非常にわかりやすく説明されている。今の日本の不幸の原因は政治でもなく企業でもなく私たちひとりひとりがその時々で下してきた無関心や市民性の無さという点には納得。格差社会という言葉をよく聞くが果たして人はなにと比べて格差を感じているのだろうか。テレビの中で取り上げられる華やかな世界と比べての格差と、最低限必要な教育や保護も受けられない格差とが同列で扱われているのではないだろうか。セーフティネットの設置は急務だと思うが、それ以上の格差是正は必要ないように感じる。「足るを知る」ということができれば格差をと感じて憤る必要のない人はずいぶんいるだろう。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
経済は破綻し格差は拡大する一方、将来への希望を持つことが難しい日本にあって、「幸せ」は遠のくばかりと感じている人は多い。
しかし、実は日本人は自ら不幸の種まきをし、幸福に背を向ける国民性を有しているのではないか―。
精神科医、心理学者でもある作家が「幸せになれない日本人」の秘密を解き明かし、幸福になるための発想の転換法を伝授する。
追い求めている間は決して手にいれることのできない「幸福」の真の意味を問う、不幸な時代に必読の書。
[ 目次 ]
第1章 幸福を阻む考え方・生き方(「考えない」習性が生み出す不幸;他者を意識しすぎる不幸)
第2章 「不幸増幅装置」ニッポンをつくったもの(経済最優先で奪われた「安心」と「つながり」;流され続けた日本人)
第3章 幸福は「しなやか」な生に宿る(不幸を幸福に変える心の技術;幸せを追求する人生から、幸福を生み・担う生き方へ)
第4章 幸せに生きるための「老い」と「死」(人生八十五年時代の「豊かな老い」の過ごし方;死を思うことは、よく生きること)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。
その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である―。
精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。
拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。
[ 目次 ]
はじめに 二十一世紀の日本を蝕む悪魔のささやき
第1章 悪魔はいかにして人を惑わすか
第2章 日本人はなぜ悪魔のささやかに弱いのか
第3章 人間を嘲笑い破滅させる、ささやきの正体
第4章 豊かさを餌に太り続ける現代の悪魔
第5章 いかにして悪魔のささやきを避けるか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
筆者は人間の弱さやずるさにつけ込み引きずり出すものを「悪魔のささやき」と呼ぶ。死を意識したり、犯罪を犯すとき、ポンと背中を押すような「ささやき」だ。
おかしいと思う政治の流れを食い止められないのは流されやすさだ。そこには「無意識の個人内情報操作」が働いているという。つまり「見たくないものは見ない」傾向だ。ネット情報から自分の望む情報だけを探し、私たち自身が自分をだますことは続いている。また、「自分と自分の周辺だけが大事」なミイイズムもはびこっている。未来に希望が見いだせないプリゾニゼーション(社会の刑務所化)によって関心の狭隘化が起きているのだそうだ。長い拘禁状態で長期囚が自分の生活以外の興味関心をもたなくなるように。
悪魔を避ける方法として、考える主体を「私」に置き、視界を360度に広げはるか遠くを見はるかすことなど、いくつかの提案がされている。
結局、本を読め、想像力を働かせよ、人格を磨けetc……という基本的なことに尽きるのだ。
作成日時 2007年08月12日 11:33
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Posted by ブクログ
何か過ちを犯してしまったときによく聞く「悪魔にささやかれて」とか、「魔がさして」という言葉。その悪魔とはいったい何なのかを記した本。ただの言い訳としてではない現象として追求してみようっていう。ただ体験談のインタビューや犯罪の話で読者に刺激を与えるだけで終わらすんじゃなくって、第二次世界大戦前後の歴史から日本人の精神構造を分析したり、宗教としての悪魔も参考にしたりと、読み応えアリ。しかもわかりやすい。ちゃんと筆者が考えた対策までも述べられている。己の人格をちゃんと意識しろと、集団に流されない個をちゃんと持て、考えることを止めるな、逃げるな、ということですね。簡単そうに思えて、けっこう難しい。自分も非常時にはどうなってしまうのか、ちゃんと自分を保てるのか、悪魔にささやかれないか自信はありません。
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Posted by ブクログ
最近の人はよくキレる。いや最近の人に限らず、昔から人はよくキレていたんじゃないかとも思う。何よりまるで他人が世間がキレる様な言い方をする私自身だって、怒りに頭が真っ白になる事(これをキレると言うのかどうかは置いておいて)はある。以前より怒りやすくなったかなと自分の中であれば過去の自分と比較できるから、たんなる歳のせい、我慢が効かなくなったと片づける事もできるのだが。ニュース報道からは毎日信じられない様な凶悪事件のニュースが飛び込んでくるし、若者同士のイジメが発展して簡単に人を殺してしまう、死に至らしめてしまうなんて事もザラにある。私の記憶にもまだ新しいオウム真理教が引き起こしたサリンによるテロ事件(地下鉄サリン事件)は確かに戦後日本の犯罪史の頂点に君臨する様な凶悪事件であり、その首謀者・共犯者たちは次々と死刑になった。その頃有名になった言葉「マインドコントロール」は当時の若者たちの心の隙間を狙った、正に悪魔のささやきの様な行為に感じるし、現実、悪に手を染め多くの死傷者を生み出した、その後の悪魔の行為に繋がった。
人は誰しも悩みや苦労や悲しみや淋しさを生きている限り、社会の中で抱えている。兄弟のいない一人っ子の寂しさ、親が共働きでポツンと家に取り残された心細さ(私はこれに該当するか)、周囲の人間と比較され、より良い学校に、より良い地位に登る事を強いられた生活。老後の生活など先が見えない不安、政治家や大企業のトップが繰り返す私腹を肥やす様な行為への怒り。数え上げたらキリが無く、常に自分の心に強い負担を感じながら誰もが生きている。社会のせいなのか、人間の本性のせいなのか、運の様なものに大きく左右されるのか、何故そうまでして生きているのかわからなくなった先に、自ら命を終わらせる人もいる。
今はインターネットやSNS、最近はAIまで情報化社会が極端に進化しているから、以前と比べフェイクを含めたさまざまな情報に直ぐに簡単にアクセスできる。だから余計に凶悪犯罪に目が届くだけで、実際は歴史の中で今が際立って凶悪犯罪が多いわけではないのかもしれない。キレる人が増えているといった統計上の集計結果もあるわけじゃないだろうし、そもそもキレて犯罪を起こす、その「キレる」ワード自体がよくわからない。ただよく分からないけど結果的に犯罪を引き起こし刑務所に入る人も沢山いるのは間違いない。
本書はそうした刑務所の精神科医も務めたことのある筆者が、そうした凶悪犯罪の背景にある「よくわからないきっかけ」をタイトルの通り「悪魔のささやき」と表現し、現代社会の中に潜む原因分析を行なっていく内容となっている。様々な凶悪事件の死刑囚たちと向き合い、会話した中から感じた悪魔のささやきの存在。魔が刺すと言う言葉が示す通り、普段は真面目で大人しい人が、他人を殺める。そこには本人も表面的な日常の中では出てこない負の感情があり、まるで膨らんだ風船に針を突き立てる様に、手に針を持った悪魔が近づいてくる。その様な悪魔が近づく隙が人にはあって(前述した負の感情を抱いた状態か)、退けられなかった先に本人にも理解し難い犯罪が待ち受けている。決して犯罪者を擁護したり、社会の中に責任を押し付けようとするのでは無く、薄氷の上に立つ様に、社会も人の心も脆いものである、と言うことへの気づき。今はまだ真面目に?会社に行って、仕事して、大好きな本を読んで、食べて寝る、そんな普通の暮らしを送る私の周りにも、悪魔は沢山潜んでいる。平常心なら退けられる自信はあるが、強いストレスや脅迫概念に晒されたらわからない。自信たっぷりに絶対に大丈夫とは言えない。
先ずは社会にはそうした悪魔が囁きかける状況がいくらでもあり、それを退ける魔除けの強い心があっても、それは万能じゃない事を知らなければならない。打ち勝つ一つの方法である宗教への理解や学びも必要だと、改めて感じた一冊。 -
Posted by ブクログ
「ヨーロッパでは科学が発達してくるのはルネサンスの頃ですが、もともと神の秘密を探るのが科学」だったということに驚きました。だからこそ、科学を「突き詰めて研究していくと結局『神』という概念に行き着いてしまうといいます」とのこと。科学には疎いですが、人間の体の精巧さを思うと、そこに創造者の存在を思わずにはいれない。
本の趣旨とは関係ないが、加賀乙彦の大学時代の教授が内村鑑三の息子、内村祐之だっということが嬉しかった。
もう一点。太平洋戦争時、3月10日の東京大空襲を指揮したルメイ将軍に、戦後航空自衛隊への戦術指導などの功績により、日本政府は勲一等旭日大綬章をおくった、ということに呆れた。このことを知っている人はどのくらいいるのだろう。