加賀乙彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
経済は破綻し格差は拡大する一方、将来への希望を持つことが難しい日本にあって、「幸せ」は遠のくばかりと感じている人は多い。
しかし、実は日本人は自ら不幸の種まきをし、幸福に背を向ける国民性を有しているのではないか―。
精神科医、心理学者でもある作家が「幸せになれない日本人」の秘密を解き明かし、幸福になるための発想の転換法を伝授する。
追い求めている間は決して手にいれることのできない「幸福」の真の意味を問う、不幸な時代に必読の書。
[ 目次 ]
第1章 幸福を阻む考え方・生き方(「考えない」習性が生み出す不幸;他者を意識しすぎる不幸)
第2章 「不幸増幅装置」ニッポンをつくったもの -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。
その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である―。
精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。
拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。
[ 目次 ]
はじめに 二十一 -
Posted by ブクログ
筆者は人間の弱さやずるさにつけ込み引きずり出すものを「悪魔のささやき」と呼ぶ。死を意識したり、犯罪を犯すとき、ポンと背中を押すような「ささやき」だ。
おかしいと思う政治の流れを食い止められないのは流されやすさだ。そこには「無意識の個人内情報操作」が働いているという。つまり「見たくないものは見ない」傾向だ。ネット情報から自分の望む情報だけを探し、私たち自身が自分をだますことは続いている。また、「自分と自分の周辺だけが大事」なミイイズムもはびこっている。未来に希望が見いだせないプリゾニゼーション(社会の刑務所化)によって関心の狭隘化が起きているのだそうだ。長い拘禁状態で長期囚が自分の生活以外の -
Posted by ブクログ
何か過ちを犯してしまったときによく聞く「悪魔にささやかれて」とか、「魔がさして」という言葉。その悪魔とはいったい何なのかを記した本。ただの言い訳としてではない現象として追求してみようっていう。ただ体験談のインタビューや犯罪の話で読者に刺激を与えるだけで終わらすんじゃなくって、第二次世界大戦前後の歴史から日本人の精神構造を分析したり、宗教としての悪魔も参考にしたりと、読み応えアリ。しかもわかりやすい。ちゃんと筆者が考えた対策までも述べられている。己の人格をちゃんと意識しろと、集団に流されない個をちゃんと持て、考えることを止めるな、逃げるな、ということですね。簡単そうに思えて、けっこう難しい。自分
-
Posted by ブクログ
「ヨーロッパでは科学が発達してくるのはルネサンスの頃ですが、もともと神の秘密を探るのが科学」だったということに驚きました。だからこそ、科学を「突き詰めて研究していくと結局『神』という概念に行き着いてしまうといいます」とのこと。科学には疎いですが、人間の体の精巧さを思うと、そこに創造者の存在を思わずにはいれない。
本の趣旨とは関係ないが、加賀乙彦の大学時代の教授が内村鑑三の息子、内村祐之だっということが嬉しかった。
もう一点。太平洋戦争時、3月10日の東京大空襲を指揮したルメイ将軍に、戦後航空自衛隊への戦術指導などの功績により、日本政府は勲一等旭日大綬章をおくった、ということに呆れた。