加賀乙彦のレビュー一覧

  • 科学と宗教と死

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    精神科医で作家でキリスト教徒である著者が、死を見つめて宗教のことや科学のことについて思うところを述べた軽い読み物。死刑囚との接触やキリスト教改宗、第二次世界大戦の記憶なんかから、東日本大震災後の日本に宗教は大事なんじゃないかと。祈りの気持ちや宗教的感動を思い出させてくれた。

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    2012年10月29日
  • 不幸な国の幸福論

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    80過ぎてもなお自分の目標を持つ人の唱える幸福論。

    話が漠然としすぎててピンと来ない。
    あと、参考になる部分は数多くあれど、中々真似できない感じ。

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    2012年09月06日
  • 科学と宗教と死

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    ネタバレ

    内容的には過去の作品の内容と同じ物が多い。
    3.11以降の日本について書かれている、よく戦後と似ているという話を聞くが、戦争を体験した人が語るのはまた重みが違う。

    80歳過ぎの人が未だに色々と考えているのには勇気づけられるし、戦後すぐの物の少ないじだいでのモーパッサンのエロさについての述懐はなんだか嬉しい。

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    2012年07月13日
  • 悪魔のささやき

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    「意識と無意識のはざまでふわふわとした状態の時、人は悪魔にささやかれる。」これは一つの比喩だけど、この本を読んでる最中に非常に近い感覚を持った。
    実際に行動に移すことは無かったけれど、恐らくその瞬間に、歯止めになるような人やことが無かったら自分も悪魔のささやきに過ちへと導かれていったかもしれないと今ではゾッとしてる。
    個人的には首をかしげるような主張も多かったけど、人間というものが持つ様々な面を観察されていると思った。善悪二元論なんて簡単な話なんか無いやね。

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    2012年06月20日
  • 不幸な国の幸福論

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    読書再開。

    日本という国は、特殊とよく言われるが、では普通の国とはどんな国なんだろう?

    欧州のそれが、グローバルスタンダードだとしたらそんなのはクソくらえだ。

    その国の人の考えや、風習を画一化できはしない。一部の情報をさも、常識のように扱うのは個人的には好きではない。

    ただ、それが受け入れられているから、この手の本が人気なのかもしれない。

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    2012年05月10日
  • 不幸な国の幸福論

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    実家にあったので。あるがままに受け入れる、自分の幸せを見つける。以降は本からの引用です。/不幸な国の幸福論
    外見の方が簡単かつ正確に把握できるため、内面への関心や内面を見ようとする努力が失われつつあること。見られる自分に対する意識の強さと、悩み抜く力の欠如…。考えずに受け入れることが当たり前になっている。あるがままのその子を受け止め愛するのではなく、誰かとの比較でまるやバツをつける。快楽の踏み車。プライバシーの権利への要求…自我意識を発達…。子供の秘密を暴いてはいけない。KYという同化圧力。自分の評価を他人にゆだねてしまっている。社会保障は先進国で最低基準。先進六カ国より多い公共事業費。権力者

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    2012年04月01日
  • 科学と宗教と死

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    精神医学者であり作家の加賀乙彦先生の死についての随筆。
    著者は人生を通して死に多く触れてきた人物。少年期は第二次大戦期を生き抜き、精神医学者となって以後殺人など重犯罪者を対象とした犯罪学研究に尽力。留学先フランスでの落下事故、奥様の死、自らの臨死体験。それだけに著者は死に対して考えつくされた不抜の理念を持った方なんだなという印象をもった。
    タイトルについて。「科学」は医療と原発があげられる。医学の究極の目標は不老不死なのか。されば死なない人間は幸福か。医療とは治すことだが、本書を読んで直すことなんだなと感じた。つまり寿命を全うするという本来の人間の生き方へ戻してやるということである。また、原発

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    2012年03月12日
  • 悪魔のささやき

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    人間は本人すら後になって自分は何故こんな行動を?という行動をとってしまう。
    まるで悪魔にささやかれるように。
    というようなことを精神科医でキリスト教徒といった著者の視点から書かれている。

    個人的には、オウム事件の有名大学を主席で卒業した人々が何故あんな稚拙な思想に動かされたのか?に対して退屈を理由に挙げている点

    フロイトの「タナトス」の概念により攻撃性を説明されている点は面白く読めた。

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    2012年03月04日
  • 科学と宗教と死

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    ① 今回の厄災が、集団の不幸という戦争中の不幸に似通った面をもつ

    ② 義は山岳より重く、死は鴻毛より軽し

    ③ 人間は生きている限り、何かに興味を持つことによって救われると思う。何かに熱中すること、何かを好むこと、何か人と違ったものに向かうこと、それが人間に幸福をもたらします。

    ④ 死を遠ざけたことによって、逆に生をも遠ざけてしまったと言えるでしょう

    ⑤ ところが日本人は宗教を忘れてしまいました。宗教の力がないところに、科学の力だけがのさばっている。ここに私は危険を感じるのです。科学や技術を学んだとしても、それをどう生かしていくのか、どのように人間の幸福や豊かさにつなげていくのか。そこに

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    2012年02月26日
  • 科学と宗教と死

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    「死は鴻毛より軽し」
    という話から始まり死を見つめ、精神科医として犯罪者を多く見た著者の話で印象に残ったのは死刑囚と無期懲役囚の精神状態の違い。無期懲役の方が緊張が無く抜け殻のようになるのだろうか?

    親しかった死刑囚がキリスト教徒になり、著者も後にキリスト教徒になる。著者はその時目から鱗が落ちたような気分になったらしいが、いかんせん話を読むだけではどのようにその瞬間を感じられるのかがわからないのが少し残念。これは著者の文章に問題があるのではなく、自分自身がその気になって神父から話を聞かねばわからないことだろう。

    さて、戦争を経験した著者にとって先の震災は重なるものがあったらしい。それは大勢

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    2012年02月20日
  • 科学と宗教と死

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    加賀乙彦先生がご自身の人生をふりかえり、語りかける。先生はクリスチャンで、宗教的な思想が根底にあり、個人的には相入れない部分もあったが、政府や財界が考える豊かさの定義に疑問を投げかけているのは正しいと思った。
    最後は福島原発についても触れているが、生まれてから戦争の中で育ち、陸軍幼年学校在学中に終戦を迎えた戦争体験者が語る生と死は重みが違う。原発、原子爆弾がなくなったのを見てから死にたいど語り、原発を廃炉にして、全部お寺にしたらいいとは、内田先生と通じる考えをお持ちでした。

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    2012年02月19日
  • 悪魔のささやき

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    再読本。
    改めて以下の点を考えさせられた。
    人間、ここで著者が言う「悪魔に囁かれた」という瞬間は存在する。
    自分だけは大丈夫という自信を持ちすぎない。その歯止めは決して自分たちが思っているようなスチールのようなものではない、波打ち際の砂の城のように脆いものなのだ。

    大事なことは、自分で物事を考え、自分の好きな道を見つけ、個人として生きていくことをないがしろにしないこと。
    そのためには、広い視点をもつこと。自分とまわりさえよければ良いという考えをやめること。
    著者の分野より宗教の部分の話もあるが、改めて大切なことは自分だ、ということを再認識した。

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    2012年02月09日
  • 科学と宗教と死

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    キリスト教徒である加賀さんの、3・11を踏まえた人生観が分かる一冊。
    キリストに凝り固まらずに、他の宗派の良いところをきちんと認める加賀さんの姿勢こそが、日本人に合った宗教観なのかなと思ってしまう。
    そして変わらない非戦の思い。
    「戦争で死ぬ」という言葉のおかしさ、死ぬということは自分の意思で死ぬように捉えられてしまうが、戦争による死は他者に対して殺されることだから、「戦争で殺される」が正しい、にはその通りだと感じる。
    また当然ながら原発は反対のスタンスです。

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    2012年02月08日
  • 不幸な国の幸福論

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    以前はわりと、大人/子供の二項対立で世界を見ている部分があったのだけど、もう来年で成人だし。まあそのくせ学生で。なんだかこの二項対立では収まらない位置に来てしまってる。ということで最近はそういうものの見方はしていません。でも、年を重ねることが自分の良い部分を増やしていくこととイコールであればなあと思う。
    この本の著者は、本当に美しく年を重ねたのだと思った。年長者であること、自分よりずっとずっと人生の先輩であること、が、そのままこの人の言葉の重みに繋がっている。こんな風に生きれたら、と素直に憧れた。

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    2011年11月04日
  • 不幸な国の幸福論

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    ネタバレ

    <概要>
    前半部では、欧米諸国と比較をしながら日本の現状やその原因などについて書かれている。
    後半部では、主に1人の人間としての幸福とは何か、どのように考えたらいいのかなど、少し自己啓発系の内容になっている。

    私としては、前半部分の方が知らない事が多く、発見が多かった。
    *日本の障害者自立支援法が実際は障害者の方達にとって働きやすい環境作りなどの支援により、むしろ自己負担が大きくなってしまっていること。

    *日本の公共事業の額が一時は50兆円を超え、日本の特別予算の4分の1を〆ていたこと
    →地方の人々の多くが土木産業に関わっており、なかなか手が引けないという現状があること
    →社会保障に関連す

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    2011年05月30日
  • 帰らざる夏

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    戦争を美化したり、正当化したり、そうじゃなくて、
    本当に信じていた時代の、少年達の話です。
    内容的に好き嫌い分かれるのだけれど、好きとか嫌いとかではなく、
    個人の史実だと思って読んだ方がいい。
    現代の価値観ではなく、過去の価値観を知ることは必要だと思う。
    それが正しいとかどうかは別として、
    価値観や常識や善悪など普遍ではないのだから。

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    2009年10月04日
  • 悪魔のささやき

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    口述筆記ということもあって、わかりやすく平易な文章です。
    「悪魔のささやき」としか言いようのない、心理的な動きはありますね。
    拘置反応やプリズニゼイションなど、なるほどなと思わせてくれる記述もありました。
    悪魔の誘惑を避ける方法で、自分の考え方を持つと言うのがありましたが、別の言い方をすれば大衆であり、愚衆であるということかなと思いました。
    大衆は流されやすく、自分を見失いやすく。
    だからこそ、おろかであると思うのです。
    加賀乙彦氏の言わんとすることろは理解できますが、万人に期待することは不可能な気がする。
    歴史は繰り返さざるを得ないということです。

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    2009年10月04日
  • 悪魔のささやき

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    この情報の海の中で、自分が欲しい情報だけでなく必要な情報をも捉えるアンテナとバランス感覚を持ち、自分で考え判断していく力がないと悪魔の思う壺ということでしょうか。

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    2011年10月11日
  • 悪魔のささやき

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    犯罪者が事件後によく口にする「悪魔にささやかれて・・・」という言葉。本当に悪魔がるのかいないのかは、わからないところだが、誰しもがふっと心の隙を疲れる可能性はあるのだ。

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    2009年10月04日
  • 悪魔のささやき

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    凶悪犯罪、自殺等を起こす瞬間、人間に囁く”悪魔”について書かれた本。
    つい先ごろ「悪魔に命令された」という理由で犯罪を行ったケースがありましたが。
    そこまで明確な存在として認識される場合でなく、”魔がさす”や”なんとなしに”といった虚ろな状態での話。
    だから命令ではなく囁き。もっと曖昧なもので誰もが起こり得る状態について扱っている。
    人間は昔から善にしろ悪にしろ影響力をもつ自分ではない”何か”の存在を感知するようで。
    自らの言動を外的要因にする心の構造…とか読めたらいいなと思いましたが、ちょっと違った。
    本当に悪魔の存在を肯定する本でもないですが、罪に対する言い訳ではない”悪魔に取り付かれたよ

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    2009年10月04日