中村悦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ18世紀のウィーンを舞台に、女性の自立を描いた児童文学。主人公が庭師を目指すというところは現代的だけど、そのほかの設定はオーソドックスで、モーツァルト少年が絡まなければ、地味な印象だったろう。当時の人々の服装や生活をきちんと描いているところには好感を持ったし、後味の良い小説で子供に薦めやすいかなとは思う。
しかし。パン屋の跡取り息子と結婚したら、パン屋のおかみさんとしての仕事が当然あるわけで、(当時としては)前衛的なデザインを売りにし、依頼主の庭を転々とする庭師の仕事と両立できるとは思えず、生活や風景描写がちゃんとしているだけに、その現実味のなさが浮いているように感じられる。そのあたりはいかにも現代の作家らしいとも言える。19世紀の作家なら、主人公は庭師を目指さず、修道院からの解放と恋愛の成就を前面に出してハッピーエンドとするだろう。
庭を描いた児童文学としては『秘密の花園』や『トムは真夜中の庭で』を思わずにはいられないが、そこまでの物語的面白さはない。昔の少女が自立して職業を勝ち取るという点では『アリスの見習い物語』の方が良い。
当時の様子や、モーツァルトの幼少時代の雰囲気(あくまで作者のイメージだが)が分かるし、ちょっとうまくいきすぎる感じはするが、こういうのもたまにはいいかもしれない。
中村悦子の表紙の絵がとても美しく、内容にも合っている。 -
Posted by ブクログ
18世紀のオーストリア、庭師の娘マリーは自分も庭師になりたいと思っている。しかし、この時代に女が庭師になる事はとんでもない事で、女は家事をするか、看護師になるか、そのぐらいの選択肢しかなかった。その上マリーの父親は、妻が亡くなってからというもの、ウツ状態になり、マリーは修道院へ入り看護の勉強をすることになっている。
そんなマリーの見方になってくれるのは、医者のメスメル博士。父親の病気を看てくれる一方で、マリーの庭師の才能に気付き、庭師への道を後押ししてくれる。
女の将来の選択肢が極端に少なかった時代に、新しい職業を選びとったマリーと、マリーを愛する周囲の人々。幸せな未来に安心感が残る。
幼いころのモーツァルトや、睡眠療法を考えてたメスメル博士など、実在の人物を登場させ、現実感を出している。