世阿弥のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いつかは日本の伝統芸能である「能」に触れたいと思っていた。ただ、順を追ってそこに辿り着くことが大切である気がして、特に風姿花伝を読むことにも焦ってはいなかった。
読書会で扱った松岡正剛『日本文化の核心』を読んでいく中で、「まねび」と「まなび」を扱っている章があり、どうやら「学び」の本質は世阿弥が説いているらしい。「ものまね」から派生する「まねび」そして、「まなび」。つまり遡ると「学び」とは「物真似」であると。神や霊など目に見えないものを真似る。どうやらそれが「能」の世界らしい。今の自分は「学び」を生き方の中心に置いている。これは早めに読まねば。
手に取った本書は、現代語訳も読みやすく、さら -
Posted by ブクログ
ネタバレ■物狂
物ぐるいのまねぐらい申楽能でおもしろい芸能はない。物ぐるいの種類は多方面にわたるから、これが上手くやれるような達者のものは、結局なんでも上手にやれるわけだ。そこでくり返し工夫がいる稽古である。物のけが付いて狂わせるもの、例えば、神仏・生霊・死霊のたたりなどは、その付いているものの姿をまねてやれば、やりやすい手がかりがあるというものだ。ところが、親に別れ、子を訪ね、夫に捨てられ、妻に後れるというような、人情の悩みが原因で狂乱する物狂いは難しい。相当程度にうまい役者も、狂乱する原因が何かということをしかと突きとめないで、どれもこれも同じく通り一遍に狂いはたらいて見せるので、一向に見物人の感 -
無料版購入済み
表紙カバーのイラストがなんか気に入って試しに読んでみたけど、良かった
戦乱の世ならではの問題に向き合うキャラの姿勢に感動
描画もうまく、読みやすく歴史好きな方にはオススメ -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ初心忘るるべからずや秘すれば花などあまりにも有名な花伝書。白洲正子が能や仏像について語るとき「初心な心」という言葉を使っていたので、手に取る。
何度も読んだことがあった本であったが、ダンスをしているのであるいはエンターテイナーとしてパフォーマーとしての心得や芸の道を真摯に極める厳しい戒めが人としてのあり方をも示唆していて学びが多い。
世阿弥が義満の庇護なきあと政争に巻き込まれ佐渡へ71歳で配流となり佐渡で能が盛んであることを知り、芸術家とパトロンの関係の難しさを、ニジンスキーとディアギレフについて思った。
まごうことなき名著だった。 -
Posted by ブクログ
この本は世阿弥の書いた能の稽古、演じる際の心構えやポイントをまとめたもので、現在におけるビジネス書に近いと思う。内容で形而上学的なものはあまりなく、具体的に書かれ想像しやすくなっている。
私は、①本質をつかみ、本質から外れたことをしないこと②観客本位に考え、観客の嗜好に合わせること③珍しさがあること④慢心せずに稽古に励むこと⑤タイミングをつかむこと
という点を世阿弥が大切にしたと感じた。以上挙げた点では漏れがあるとは思うが、そこはご容赦いただきたい。印象に残った言葉として、「秘すれば花、秘せねば花なるべからず」がある。切り札は秘密にしてこそ切り札なのである。
600年ほど前に書かれた能楽 -
Posted by ブクログ
幽玄。言葉では表せない、奥深く微妙にして情緒に富むありさま。▼花は四季折々に咲く。時節を得ているからこそ、新鮮な感動を呼ぶ。能もその場の機を大切にすること。▼是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。▼能は、枝葉も少なく、老木おいきになっても、花は散らずに残る。 ▼舞台上の自分が他人からどう見えているか意識せよ。離見の見。世阿弥『風姿花伝』1400
※観世座。興福寺。
※観阿弥。足利義満の庇護。
※世阿弥。『風姿花伝』『花鏡』
****************
病に臥せる源頼光(らいこう)のもとに蜘蛛の化物がやってきて、無数の糸を吐いて、頼光をがんじがらめに -
-
-