齋藤勝裕のレビュー一覧
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刀剣の鍛錬技術は包丁や鋏といった刃物に。
毒ガスの生成技術は抗がん剤に。
自動車の開発技術は戦車に。
軍事技術が民間で平和利用されることもあれば、民事技術が軍用に流用されることもあります。
本書は、発展してきた技術がどのように利用されてきたか、軍民双方の視点から解りやすく解説しています。
従来から「軍事研究はしない」としていた日本学術会議も、その学長自身が「技術の軍民分離、つまり軍民を単純に二分することは困難」と発言しています。それは視点が違うだけだから。
人を活かすも殺すも、技術の使い方次第。そして「軍民両用」という柔軟な姿勢こそが、技術の発展を促すのかもしれません。 -
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ネタバレ水は、温度と気圧で沸点、融解温度が変わる。
気圧が低い中で温度を上昇させると、氷は直接水蒸気になる=昇華。フリーズドライの原理。
ドライアイスが二酸化炭素になる、タンスの防虫剤、など。
富士山の山頂では85度で沸点を迎える。それ以上の熱は、蒸発エネルギーとなって蒸発する。
圧力をかけると沸点は120度になる。
ウォーターオーブンは、高温の水蒸気で調理する。水は100度にしかならないが水蒸気は加熱できる。これが液体(水)に戻るとき、凝縮熱(気化熱の反対)で加熱する。
似たものは溶ける。砂糖と水は分子構造が似ているので溶ける。融けるは、氷が水になるように同じものの場合をいう。溶けるは、分子構造がバラバラになって取り込まれる。
小麦粉を水に溶かしても、水和はしない。溶液ではない。
塩基とは、アルカリの総称。水酸化イオンOHーを出すもの。酸は、H+を出すもの。
無菌豚とは研究用のもの。一般に無菌豚はSPF豚のこと。無菌ではない。
羊肉は1歳未満はラム、それ以上はマトン。
昔ウサギはトリと納得させて食べた。ウサギは一羽二羽と数えるのはそのため。
肉は、60度を超えると筋形質たんぱく質が凝固して堅くなる。65度を超えるとコラーゲンも堅くなる。75度を超えて煮込むとコラーゲンの分解が進行しやわらかくなる。長く煮るとコラーゲンがなくなって繊維だけが残る。
生ハムは豚のおもも肉の塩蔵品。もも肉そのもの。
ハムは、肉をゆでて完走したもの。
ソーセージは、肉塊ではなく細かくした肉を使ったもの。
コンビーフは塩漬け牛肉。日本と外国では違うもの。和製洋食品。
マグロカツオなどが赤身魚。青魚ともいう。
白身魚はサケ、マスも含む。
動物性油は固体=脂、植物性は液体=油。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い。
液体の油に水素を結合させると飽和結合になり固体になる。マーガリン、ショートニング、セッケンなど。接触還元という。
天ぷらの温度は180度。250度になると煙が出て匂いがする。340度になると自然発火する。
肥料は窒素、リン、カリウム、が3大栄養素。窒素はハーバー・ボッシュ法で空気中から作れるようになった。この方法で爆薬も作れるようになった。
βでんぷんを水と一緒に加熱すると、らせん構造が崩れて柔らかくなる=α化。このまま冷却するとβでんぷんに戻る。水分を飛ばすとαデンプンのまま。フリーズドライや焼き飯。
エジプトではパンを水につけておくとビールになった。パンの中のイースト菌が発酵する。現代では高温で加熱するためイースト菌は死んでいる。
ポストハーベスト農薬=収穫後農薬。防カビ剤、殺菌剤など。日本では食品添加物になる。
ポン酢はオランダ語のポンスから。最初はポンズ醤油だった。
甘酒と白酒は全く違うもの。白酒はアルコール。
ミルクと卵は完全栄養食品。ミルクは種によって多少違うだけ。
ミルクに脂肪があるのは、溶けているのではなくコロイド溶液だから。
コロイドは溶けてはいないが、粒子は沈まない(分離しない)親水コロイドと疎水コロイドがある。牛乳は疎水性。
化粧品の乳液、血液、魚の白子、マヨネーズはコロイド。
湯気は気体コロイド。
バター、パンは固体コロイド。
流動性があるコロイドをゾル、固体のものをゲル。シリカゲルは、二酸化ケイ素と気泡の固体コロイド。
成分無調整牛乳とは、牛乳の季節ごとの成分を調整しないもの。
黄身の凝固温度は70度、白身は80度。65~68度のお湯に30分漬けると温泉卵ができる。
薄力粉、中力粉、強力粉はたんぱく質の量の違い。
ケーキ天ぷらには薄力粉、うどん、お好み焼きには中力粉、パン、中華麺には強力粉。
びっくり水は、麺の表面からのデンプンの溶けだしを防止して、中まで煮えるようにするため。
冷水でしめるのは表面を冷やし、内部は熱が残るためやわらかくなるため。
伊勢うどんは、1時間ゆで続ける。小麦はたんぱく質が少ないものを使う。
緑茶は、葉を蒸して揉んだもの。
甜茶は、葉を蒸して揉まないもの。臼で引くと抹茶。
ウーロン茶は、蒸さないで揉んで途中まで発酵させたもの
紅茶は、蒸さないで揉んで、最後まで発酵させたもの。
ブドウ糖を発酵させるとアルコールになる。
体積%がアルコールの度数。アルコールの比重は0.8なので重量%ば2割程度小さくなる。
醸造酒を蒸留して蒸留酒が作られる。蒸留の精度を下げるほうが、お酒として味がでる。純粋な蒸留はエタノールになるだけ。制度の低い蒸留、アルコール以外の成分を残す。
甲類焼酎は連続蒸留法で作られる。乙類は蒸留は一回だけ。
加熱しないで水分を蒸発させるには、気圧を下げる。フリーズドライの原理。 -
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ネタバレ化学式の部分は理解できていないが、鉄の性質や活用など、幅広く触れられていておもしろかった。
■鉄の種類
炭素含有量が多いと、硬くてもろい。
銑鉄:溶鉱炉でつくられた鉄で、2~6%の炭素を含む。
鋳鉄:銑鉄に比べてケイ素が多く、マンガンはスクナ。
炭素含有量が少ないと、鉄の純度が高く、柔らかく粘り強い。
銑鉄を転炉で加工して炭素分を燃やし、炭素成分を少なくする。
鋼、鉄鋼:炭素量2%以下。
■製鉄
古代
鉄鉱石を木炭といっしょに加熱すると、鉄鉱石(酸化鉄)の酸素が木炭の炭素と反応し二酸化炭素となって除去される。これで銑鉄相当が得られ、ハンマーで叩いて不純物を火花として叩き出し、純度を上げる。
中世
高炉で石炭を使って銑鉄をつくり、鋳物にした。
コークス、石灰石、砕いた鉄鉱石を層になるように入れていき、熱風を吹き込んでコークスを燃やし、鉄鉱石を燃焼、融解させて鉄とスラグに分ける。鉄を取り出すのに炉を冷やす必要が無くか連続操業できるようになった。
コークス(炭素C)が鉄鉱石中の酸素と反応し、一酸化炭素になる。高温の一酸化炭素はさらに鉱石中の酸素と反応し、二酸化炭素となる。こうして酸化鉄(Fe2O3)から酸素を除き、鉄Feにする。
近代
反射炉で銑鉄から炭素を取り除く。反射炉は熱源の炭素と銑鉄が接触しないので、炭素が二酸化炭素となって取り除かれると、純度があがり融点が高くなって粘りが出た。
ここで板を挿し込んでこねまわし、得た鉄を錬鉄という。炭素分は0.1%程度。
錬鉄から鋼を得るには、炭素を取り除くために転炉が使われる。転炉に銑鉄を入れ、底の管から空気を吹き込むと、空気中の酸素が銑鉄中の炭素と反応して燃焼し、一酸化炭素や二酸化炭素となって酸素を除く。この反応は燃焼のため、転炉は加熱の必要がない。
日本のたたら製鉄は、磁鉄鉱である砂鉄を用いた。
間接製鉄法は、還元工程(酸素を除く)と徐炭工程(炭素を除く)を分離して行う。
直接製鉄法、けら押しとも呼ばれる、は鉄鉱石から直接鋼を得る技術で、中世では日本以外にはなかった。現代でも高度な職人技で詳細は明らかになっていない。
■合金
高融点のタングステンなどを、鉄との合金にすると、耐熱合金となる。
ジュラルミンやマグネシウム合金は、航空機や自動車の車体に使われる。
工具鋼は高硬度鋼という合金。
合金工具鋼:炭素工具鋼にほかの金属を添加したもの。
高速度工具鋼:最も硬いとされる鋼で、添加物の量が合金工具鋼より高く硬い反面、もろいので欠けやすい。
超硬合金:鉄合金ではなく、炭化タングステンに炭化チタンや炭化タンタルを添加したもの。
■結晶状態
温度によって結晶構造が変わると性質も変わる。
焼き入れ:炭素鋼を、炭素を追い出す時間を与えないほど急速に冷却すると、マルテンサイトという状態になり、非常に硬くなる。
焼きなまし:焼き入れした鉄を加熱しゆっくり冷やすと、炭素を追い出してパーライトという状態になり、軟らかくなる。
他にも、日本刀やダマスカス鋼、惑星誕生の過程、人体における鉄の役割など、魅力的な話題がたくさんあった。 -
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画期的なテクノロジーの多くは軍事技術からの転用です。人を殺傷するための毒物や爆薬は医薬品を発展させ、兵站機能は輸送手段や保存方法などの向上に寄与しています。また、コンピューター技術は敵の暗号解読から始まり、スマホや人工知能へと繋がっていきます。
技術的革新はコストと手間がかかり、民間での研究だけでは予算的にも限界があります。その点、国の存亡をかけた戦争という大義名分があれば、堂々と金をつぎ込めるわけです。
そうした技術の発展を俯瞰したのが本書です。
章立ては大きく分けて、刀剣銃砲、爆薬化学、移動手段、情報通信、衣料食糧、原子力、人体改造、その他に分類して軍産品が民生品へといかに進化していったのかを説明しています。
以下、面白かったポイントのみ列挙します。
・刀をつくる鋼の鍛錬は、加熱して2つ折りにし、また加熱して直交する角度で2つ折りを1工程とし、それを15回繰り返すと3万3千枚の層に強化される
・自転車が戦争で使われたのはボーア戦争での英国軍とオランダ軍が最初
・イージス艦とは、200以上の目標を追尾し、その中の10個以上の目標を同時攻撃できる高度なシステムを備えた軍艦
・ドイツのUボート潜水艦の探索のために開発された音波を利用したソナーは、今では超音波検査やエコー検査に応用されている
・米空軍が開発したGPSシステムは、(今も)米国の意思で米軍以外での受信では数十メートルの誤差を生じさせることができる
・兵站に不可欠な食料保存は、瓶詰め、缶詰、フリーズドライの開発を促した
・電子レンジは日本軍によって開発が開始された
・食品用ラップは銃弾や火薬の湿気を防ぐために転用されたもので、それに気づいた奥さんたちの名前、サラさんとアンさんの名前から「サランラップ」と命名された
相変わらず、縦横無尽に広がる話がイケてます。 -
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下戸でもよくわかるお酒の話。
アルコール度数は容量中のエタノールの割合で決まる(例えば10度は、1ℓのお酒に0.1ℓのエタノールを含んでいること)
蒸留を行えば、理論的に100%エタノール酒を造れる。
お酒の種類:
醸造酒(ワイン、日本酒、ビール、紹興酒)、蒸留酒(ウィスキー、ブランデー、テキーラ、ラム、ウォッカ、焼酎、泡盛)、浸漬酒(リキュール)、カクテル
ワインの種類:
スティルス(非発泡性)ワイン;赤・白・ロゼ
スパークリング(発泡性)ワイン;シャンパン、スパークリングワイン
フォーティファイド(酒精強化)ワイン;シェリー、マルサラ、ポートワイン、マティラ
フレーバード(香味付け)ワイン;ヴェルモット、サングリア
ワインの甘口辛口は、発酵の長さ。
日本酒の分類:
醸造酒;にごり酒、清酒(アルコール度数22度以下)
蒸留酒;焼酎
リキュール;梅酒など度数22度以上
米にも困る食糧危機の時代に、エタノールを3倍入れて量を増やす増醸酒があった。
ビールの種類:
生ビール、ラガービール、エールビール、自然発酵ビール。
さらに細かく分けると、チェコ産(ピルスナー)、ドイツ産(ドルトムンダー、アルト、ケルシュ、バイツエン)、英国産(エール、ポーター、スタウト)、ベルギー産(トラピスト、ランビック、グーズ)、米国産(ライト)
ブランデーの熟成期間が長い方から、エクストラ、XO、ヴィエイユ・レゼルヴ、ナポレオン、レゼルヴ、VSOP、VO、トロワゼトワール
ブドウ原料のブランデー仏産(コニャック、アルマニャック、マール)、ペルー産(ピスコ)、イタリア産(グラッパ)、スペイン産(オルーホ)
ウィスキーの種類:
モルト、グレーン
個別に詳細な説明もされており、「お酒の糖質量とカロリー一覧などの図表をふんだんに使っているのでわかりやすい。
また、杜氏について、ワイン瓶の種類、毒蛇酒の作り方、信長が浅井長政の頭蓋骨で作った酒杯など面白ネタも満載です。