【感想・ネタバレ】知られざる鉄の科学 人類とともに時代を創った鉄のすべてを解き明かすのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

化学式の部分は理解できていないが、鉄の性質や活用など、幅広く触れられていておもしろかった。

■鉄の種類 
炭素含有量が多いと、硬くてもろい。
 銑鉄:溶鉱炉でつくられた鉄で、2~6%の炭素を含む。
 鋳鉄:銑鉄に比べてケイ素が多く、マンガンはスクナ。
炭素含有量が少ないと、鉄の純度が高く、柔らかく粘り強い。
銑鉄を転炉で加工して炭素分を燃やし、炭素成分を少なくする。
 鋼、鉄鋼:炭素量2%以下。
 
■製鉄
古代
鉄鉱石を木炭といっしょに加熱すると、鉄鉱石(酸化鉄)の酸素が木炭の炭素と反応し二酸化炭素となって除去される。これで銑鉄相当が得られ、ハンマーで叩いて不純物を火花として叩き出し、純度を上げる。

中世
高炉で石炭を使って銑鉄をつくり、鋳物にした。
コークス、石灰石、砕いた鉄鉱石を層になるように入れていき、熱風を吹き込んでコークスを燃やし、鉄鉱石を燃焼、融解させて鉄とスラグに分ける。鉄を取り出すのに炉を冷やす必要が無くか連続操業できるようになった。
コークス(炭素C)が鉄鉱石中の酸素と反応し、一酸化炭素になる。高温の一酸化炭素はさらに鉱石中の酸素と反応し、二酸化炭素となる。こうして酸化鉄(Fe2O3)から酸素を除き、鉄Feにする。

近代
反射炉で銑鉄から炭素を取り除く。反射炉は熱源の炭素と銑鉄が接触しないので、炭素が二酸化炭素となって取り除かれると、純度があがり融点が高くなって粘りが出た。
ここで板を挿し込んでこねまわし、得た鉄を錬鉄という。炭素分は0.1%程度。
錬鉄から鋼を得るには、炭素を取り除くために転炉が使われる。転炉に銑鉄を入れ、底の管から空気を吹き込むと、空気中の酸素が銑鉄中の炭素と反応して燃焼し、一酸化炭素や二酸化炭素となって酸素を除く。この反応は燃焼のため、転炉は加熱の必要がない。

日本のたたら製鉄は、磁鉄鉱である砂鉄を用いた。
間接製鉄法は、還元工程(酸素を除く)と徐炭工程(炭素を除く)を分離して行う。
直接製鉄法、けら押しとも呼ばれる、は鉄鉱石から直接鋼を得る技術で、中世では日本以外にはなかった。現代でも高度な職人技で詳細は明らかになっていない。

■合金
高融点のタングステンなどを、鉄との合金にすると、耐熱合金となる。
ジュラルミンやマグネシウム合金は、航空機や自動車の車体に使われる。

工具鋼は高硬度鋼という合金。
合金工具鋼:炭素工具鋼にほかの金属を添加したもの。
高速度工具鋼:最も硬いとされる鋼で、添加物の量が合金工具鋼より高く硬い反面、もろいので欠けやすい。
超硬合金:鉄合金ではなく、炭化タングステンに炭化チタンや炭化タンタルを添加したもの。

■結晶状態
温度によって結晶構造が変わると性質も変わる。

焼き入れ:炭素鋼を、炭素を追い出す時間を与えないほど急速に冷却すると、マルテンサイトという状態になり、非常に硬くなる。
焼きなまし:焼き入れした鉄を加熱しゆっくり冷やすと、炭素を追い出してパーライトという状態になり、軟らかくなる。

他にも、日本刀やダマスカス鋼、惑星誕生の過程、人体における鉄の役割など、魅力的な話題がたくさんあった。

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2021年07月14日

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