安西徹雄のレビュー一覧
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ここまで悲劇的な終幕が許されて良いものかと衝撃を覚えてしまった……
別に何もかもが運命の悪戯や悪魔的な采配による不幸ではない。それぞれに少しずつ罪が有ったり落ち度が有ったりする。しかし、だからといって罪を悔い改めて己を見つめ直せたかもしれない者や、心優しき者まで犠牲になる終幕は容赦が無さすぎて唖然とさせられる
歴史的には本作が上演される際にはハッピーエンドに改作されたものがお決まりだったらしいけど、それが頷けるくらいに本作からは救いや幸福感は容易には感じ取れない
では、何を本作は訴えてくるかといえば、人間は地獄と紙一重の世界で生きているのだと、それでもより良い人生を得る為に最良の未来へ手を伸ば -
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『ハムレット』には、Q1、Q2、Fという3つのバージョンがある。通常『ハムレット』と言う時には、Q2かF、あるいはその折衷版。Q1は「海賊版」としてあつかわれてきた。
しかし、このQ1、登場人物や筋書きは通常版とほぼ同じなのに、驚くほど読みやすい。長さは通常版の半分強で、上演時間も2時間ほど。観劇するには最適な時間だ。すっきりしていてコンパクト、まさに着飾るまえの「素」の『ハムレット』ではないか。
Q1の出版は1603年。Q2は1604年か05年、Fは1623年。Q1は一番古いのだ。なのに、なぜ「海賊版」と言われてきたのか? オリジナルバージョンの可能性はないのか? 「解題」の担当は小林章夫先 -
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シェイクスピアといえば、泣く子も黙る世界最高峰の文学者の一人だが、「リア王」はその中でも四大悲劇の一つとして名高い。残りの三つはいうまでもなく、「ハムレット」「オセロウ」「マクベス」だ。
「リア王」は4大悲劇の最後を飾る作品で、黒澤明監督の「乱」では、日本の戦国時代を舞台に映画化された。
ストーリーは単純といえば単純だけれども、実際読んでみるとかなり複雑。シェイクスピアの作品はいずれも有名だからあらすじはなんとなく知っているような気がするけれども、いざ読んでみるとかなり込み入っていて波瀾万丈で、それがまたおもしろい。
この光文社古典新訳文庫の目的は、古典を現代の言葉で翻訳し直そうというも -
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ネタバレ【本の内容】
裕福な貴婦人ポーシャへの恋に悩む友人のため、貿易商アントニオはユダヤ人高利貸しのシャイロックから借金をしてしまう。
担保は自身の肉1ポンド。
商船が難破し全財産を失ったアントニオに、シャイロックはあくまでも証文どおりでの返済を迫るのだが…。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
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ネタバレ最初にこの本を手にとったときは、
てっきり、シーザーの暗殺で
すべてが終わると思っていました。
だけれども、ある意味いい意味で
裏切られることとなりましたね。
メインとしては、シーザーの信頼していた
ブルータスです。
彼は彼の怠惰さに
疑問を覚え、なすがままにシーザー暗殺へと
加担していくこととなります。
しかし、その後に待っていたのは
彼らの意図する事柄ではなかった、ということ。
そして、人を束ねる存在は
苦心をするものの、
それを享受する側の心は変わりやすい、
ということ。
それがアントニー側の人間の発言のくだり。
人とは何なのでしょうね。 -
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【本の内容】
デンマーク王が急死し、王の弟クローディアスが王妃と結婚して王の座に就く。
悲しみに沈む王子ハムレットはある日、父の亡霊と会い、その死がクローディアスによる毒殺だと知る。
ハムレットは狂気を装い、復讐を誓うのだった…。
シェイクスピア四大悲劇、最大の問題作。
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Posted by ブクログ
良識と思慮にかけた王様と、狡猾で身持の軽い長女次女。そして不器用で天然の入った三女。
この親子の中で誰に感情移入するかに寄って、善悪が入れ替わってしまう作品だと思う。最初は王様のあまりの放埒ぶりに、長女次女の方に利があるように見える。しかし正しさを身につけると人は残酷になってしまうもので、王様への仕打ちは悪役のすることに変わってしまう。
最終的に親子の誰も幸せになれなかったできなかったけれど、彼らの誰もが問題を抱えていたので、どうにも同情しきれない。むしろ振り回されたあげくに、両目を失い死に絶えた家臣の方に、落涙を禁じえない。忠誠心溢れる彼の物語はサブプロットでもメインを喰うほど輝い -
Posted by ブクログ
有名な「ブルータス、お前もか」が書かれていて、世界史に対して興味が湧きました。
■歴史は繰り返す■
聴衆の恣意性、政治家判断基準の不確定性がカエサルを殺す悲劇となったのかもしれない。結果、優秀な皇帝がいなくなり、ローマ人にとっての悲劇をも呼んだのかもしれない。もちろん、このローマ人の恣意性というファクトだけが、今の世界史教科書を作っているというわけではないものの、それ(聴衆の恣意性、政治家判断基準の不確定性)がいかに世界を変えうるかという点で興味深かった。
日本人の政治的無関心、政治家のばら撒きをはじめとするパフォーマンス政治が連想された。"Gulliver's Tr -
Posted by ブクログ
超資産家の老人が「もうそろそろ資産をすべて譲渡し、子どもたちに面倒を見てもらおうと思う。そのために子どもの君達が資産を譲る対象にふさわしいかテストします。資産を譲るから私は私で好き勝手に生活させてもらう」、と言ったら現代のリア王ができあがりますよね、たぶん。(家族全員が死ぬかどうかは別にして)それは別にして、読んでいると劇を見てみたくなります。
マクベスは魔女、ハムレットは親父の亡霊という、ふつう現代社会にはない想像しにくく、言ってみれば突然に悲劇がふって湧いてきます。しかし、リア王は身から出た錆というか、自分自身のふるまいが原因で悲劇が始まります。ふつうに現代社会にも似たような話が起こり得