ひこ・田中のレビュー一覧
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なりたて中学生三部作2冊目。
中学での”自分の立ち位置”を探ってゆく成田鉄男。
広報委員に入り学校の紹介をすることになった鉄男は、インタビューに持ち歩いたデジカメと録音セットの自分の考えも吹き込んでいく。みんなが部活動を決める中自分は決められなくて、とりあえずは中学ってものを考えてみる。
先生が授業ごとに違う意味は?社会科って何をするの?苦手教科を克服するか得意教科を伸ばすか?
悩める鉄男の目線で、中学校ってなんだろう?をわかりやすく書かれている本。
先生たちもわかりやすく”中学”を教えてくれるし、生徒たちは入御中にも遠慮なく先生にツッコミまくる、先輩たちは学校でやりたいことをみつけている。
鉄男は広報委員に入るのだけれど、広報委員と新聞部の違いはなんだろうとか、委員の意見ってどこまで入れていいのかとか、どのくらいの人が読んでくれているのか、読者が知りたいのはなにかなどを先生や保護者たちとも一緒に会議したり、かなり積極的な委員会活動をしていますね。
中学生ってこんなにしっかり”自分の立ち位置”を考えるのかーと思いながら読みました。 -
Posted by ブクログ
小学6年生にお勧めの本を探して出会った1冊。「なりたて中学生 中級編、上級編」の三部作の1冊目です。
6年生児童にもお勧め、親にもお勧めです。
舞台は関西(たぶん大阪)で、鉄男の一人称語りも、登場人物たちの会話も関西弁でポンポン進む、全体的に軽妙で読みやすくて楽しい。
成田は不安でもいじけてしまうことがあっても一人ボケツッコミなので、思春期の深刻な悩みであっても、まあくよくよ考えてもしょうがないというような前向きさも感じる。
隣の学区に引っ越した、というところが微妙で、全く知らない環境というわけでもない、隣だから小学校時代はお互いライバルだった別の小学校の生徒たちのなかに一人で突っ込まれてしまったという心境。
他の生徒たちもそれぞれ中学校生活を始めている。
小学校で仲良かった菱田や小谷もそれなりにスタートを切り、今後自分はどうやって立ち回っていこうかなんて考えたりする。
小学校同士で揉めていた瀬谷小学校出身の後藤は、鉄男がいるのでちょっとびっくりしつつ、まあ中学校では小学校同士の諍い引きずってもなあと適度な距離を保ったクラスメートになりそう。
たまたま知り合った女子二人組のアンリとツグミは、微妙な立ち位置にいる鉄男を丁度いいからかい相手と見定めたようす。
最初はみんな、小学校とは違う学校生活に戸惑いを覚えることもある。
生徒手帳が配られたときには自立の第一歩みたいでちょっと緊張した。
新しく始まる教科も色々ある。数学って算数とどう違うんだろう?技術・家庭科?美術?
鉄男も、小学校の行事にはもう参加できないんだなって思ったり、だから最後にランドセルを背負ってみたり、まだまだなりたて中学生でゆっくり進んでいこって思ったらなんだか楽しくなってきた。
出てくる大人である両親や先生や近所の人たちも鉄男たちのことを子供ではない、でもまだ思春期というほどでもない、ヤングアダルトとして扱ってくれる。
ボケツッコミでノリの良い母ちゃんの言葉もよい。
<中学生になったら、どんどん大きくなって、親にも腹が立つことがぎょうさん出てくる。先生や学校にも不満がでてくる。その不満は、正しい時も、間違っているときもある。けど心がざわついて、イライラしてくるのは、それでええ。
それでええ言うても、私は私が納得行かない時は、これまでどおりテツオを扱う。ただし、だんだん子供扱いをしないようになるから、今までより厳しくなるし、尊重もする。先生方もそうやろうと思う。みんな、中学時代を経験しているからな。P120> -
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さわやかな風が吹きぬけるオアシスのような作品。
たぶんこんな会話をする小学校5年生はいないだろうと思うけど、それだからこそ、本のなかでであってもそういう世界があるのは貴重。だからオアシス。
本を読むことを含めて、自分の居場所を見つけるというのがテーマのような気がした。体育館の裏の、金網とのあいだ、外の世界でもないし学校本体でもない、そのあわいのような場所。昔からいう「体育館裏」だけど、それをいじめの場所ではなく、ちょっとなじみきれない子たちの語らいの場所にしているのがいいな。
そしてルカは、本のなかにもそういう居場所を見つける。しかも親の本なのに親と感想を話しあうのはいやで、本好きの転校生カズサとまるで読書会のように語らっている。すごく幸せな展開。
いじめがあったり、親が死んだり、事件があったりという、児童書にありがちな展開のない物語。こういう本があってもいい……っていうか大歓迎なのであった。 -
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実にクールな物語。主人公のコトノハ、パル、700の三人は教室でのグループから外れたからなんとなく一緒にいる。コトノハの住むマンションはショッピングモール、デパート、駅と直結し、裏にはオタク街もある都会のど真ん中。両親はゲームクリエイターと作家。朝両親がいない(起きてこない)時は、近所のお店で朝食を済ます。今まであまり見ない環境設定なのです。
そこで大きくなったコトノハにとって、人が多く賑やかな場所は日常。お店の人とも仲良くなり会話も交わし、でもべったりな関係ではない。
それはコトノハ、パル、700の三人の関係性にも現れており、たまたまグループからはみ出たもの同士という間柄。友達なのかと問われれば、そうだと即答もしかねる。でも一緒にいて心地好く、この関係は何だろうと考える。
そうコトノハはいつも考えます。一緒にいる相手のこと、両親のこと、初めて会う人のことも。自分と相手の関係性を自分で決めているように見えます。
これは大人でもなかなかできないこと。そのため冷めた子どもと見えることもあろうかと。
そんな三人の元に現れたレトロなゲームソフト。中古屋のパルの父親からもたらされたゲームは三人に何を語りかけるのか。それはパルの父親のメッセージなのか。
イマドキのクールな小6を描いた物語。三人は自分で考え、自分の言葉で語り、自分で行動します。それがイマドキ感を高めているのかもしれません。そこには作者のイマドキの子どもを見つめる(見守る)目を感じるのです。 -
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ドラマチックな事件は起きないが、読んだ本の世界から、または転校生を含む友だちとのやりとりから、主人公ルカの発見や驚きが伝わってきて、本当に楽しかった。
私が子どもの頃読んだ二冊を、ルカがその時その時感じたことを呟きながら、読み進めていく。自分も通った道をルカも通っていく。けれど、大人になってしまったことでそのお話の道を忘れてしまったこともあって、ルカの発見や疑問も新鮮で、不思議でおもしろい感覚だった。
ご両親とルカとの会話もステキだ。
頭をなでられるのを嫌がるところ、我が家もただ今全く同じ。大人になっていくっていうことね〜
そういう細かな所も含めて、楽しかった。
子どもの頃に読んだ本を、再度読んでみたくなった。 -
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ネタバレ各アニメの第1話のチェックは欠かせない僕にとっては,この本は待望の一冊。児童文学者という第三者から眺めるサブカルの社会的評論。マンガや小説だけではなくて,ゲームや児童文学(作者のホームグラウンド)をも射程に入れているのが素敵。個別の作品に変に熱くなっていないのもいい。この分野に興味があれば,面白く読める。
個人的にすごく感動だったのが,僕がなぜガンダム(そしてその子孫的作品のエヴァンゲリオンとかにも)にはまらなかったのかについての理由を見つけられたこと。ひと言で言えば,成長の味を探してしまうから。マニアックな作品世界にはあまり興味がないから。僕は元来アニメ志向というより,ゲーム志向。ガンダムの血を受け継いているはずのワタルをピンポイントで受け入れたのも,同作品がRPG的要素を持っているから。RPGでさえ成長が見えなくなっている今,僕のゲームに対するスタンスが微妙になっているのもここに理由があるのかもしれない。
ただ,ちょっと残念なのは,この本には触れられていない部分があること。それは「スポーツ」ものや「部活」もの。これらのカテゴリーの作品は,最終的に負けることがあっても,今でもなお成長(勝利)抜きで語るのは難しい。今でも健在なカテゴリーだけに,作者の見解を聞きたい(聞きたくなってしまう)。