黒野伸一のレビュー一覧
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本書は、第70回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞他を受賞した、ウベルト・パゾリーニ監督・脚本の『おみおくりの作法(Still Life)』(2013)をベースに、倉持裕さん脚本の映画『アイ・アム まきもと』(2022)を、黒野伸一さんが書き下ろした小説版です。
主人公の牧本壮は48歳、市役所福祉課おみおくり係職員。飲み込みが遅く、ピントがずれているのですが、仕事に対する態度は真面目で手抜きをしません。最大の武器は「共感力」なのでした。
不器用だけど、優しさと決してめげない牧本の行動が、やがて身を結び…、でも最後はとても切ないです。詳細は是非ご一読あれ!
200p程度で読みやすく、通勤・通学途中、隙間時間等にピッタリです。個人的に、今秋公開された映画を観ていないのですが、主演・阿部サダヲさんの、滑稽でどこか哀愁の漂う様子が目に浮かぶようです。
本小説・映画の元になった『おみおくりの作法(Still Life)』も恥ずかしながら観ておらず、機会を見つけ是非視聴したいと思いました。それにしても、この邦題はいただけませんなあ…。
あと、なぜか本作を読みながら、黒澤明監督の名作映画『生きる』を思い浮かべていました。こちらも観直してみようかな。 -
Posted by ブクログ
現実的かどうかは別として、素敵な話でした。
ワンピースを買いに行くくだりが好き。
年をとっても女だなぁって。
さすが汚物まみれの介護ってのは、するのもされるのも大丈夫なものか疑問だけど。
そこにまさかの友情が生まれていたってことのエピソードとしてね。
徐々に認知症が発動するのはやっぱりさみしい。
深い目をする時間が増えていくのは悲しい。
認知症になってしまったら、精神的には死んだも同じかもしれない。
もしも安楽死制度があるなら、このタイミングでそれを選択する人はけっこういると思う。
最後にこんな若い友達ができたこと、幸せな事だと思いました。
ほのぼの。
京子ちゃんの恋愛サイドストーリーも何気に楽しめました。
どっちにするか悩むなぁ。 -
Posted by ブクログ
「となりの革命農家」と同じ内容。
東日本フーズでの権力闘争に負けた上司に巻き添えをくらった上田理保子は、地方農業法人アグリコジャパンに出向させられた。そこで、農業会社を運営する。オランダの高収量のトマト生産を本社に提案するが、損益計算が甘いと却下される。農業会社のノウハウを生かして、新規参入企業をサポートするアグリパークを作るという。ふーむ。企業が参入するというのは、食品会社であれば、なんとかなるかもしれないが、なぜ農業に参入するのかの位置づけがいるだろう。農地を確保できることで、不動産業を企むというのがオチかもしれない。
有機農業をやりたいという亡夫の遺志を継いだ木村春菜。有機農業については、あまり知らないが、まだら認知症の義母が、スイッチがはいった時に、有機農業の指導をする。何をしていいのか?わからない和也は、春菜に巻き込まれ、有機農業に突き進んでいく。有機農業だから美味しいわけでもない。また、虫が多いのは窒素過剰である証拠でもある。
自然農法のおじいさんに宇宙と繋がるということを聞いて、有機肥料だからたくさんやればいいというわけではないのだと理解する。
1年もしないうちに、美味しい野菜ができちゃうには、出来過ぎだ。
有機農法の説明が、こなれている。
「人間は植物なしには生きられないけど、植物は人間なしでも生きられる。なぜなら、植物は、自分で無機物から有機物を合成できるから。「動物、植物を問わず、生物が生命を維持するためには、有機物が不可欠である」植物や動物が死ぬと、体を構成していた有機物は、速やかに無機物に分解される。つまり、朽ち果てる。その役割を担っているのが分解者である。」「植物の栄養である二酸化炭素や無機塩は、分解者が生み出す」
慣行農法は、人間が主役で、人間が野菜を支配する農法。有機農法は野菜が生育するのを人間が手助けしてやる農法。あくまでも、主役は野菜である。野菜に寄り添わなきゃ、うまい野菜は育たない。 -
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止村のある幕悦町に、TODOMEモール21というショッピングモールができる。地上3階の建物に、野菜や土産物の直売所、雑貨店、スーパー、百円ショップなどが入居。庶民的なフードコートと高級レストランがあり、スマートアグリの野菜工場と農産物加工場。ベジタ坊のアミューズメントがあり、若者に人気のアパレルのマライヤが入る。とにかく、何でもありのごった煮の施設。農水省のいう6次産業を体現したモールなのだ。このモールを企画しているのは、佐藤という人で、多岐川優の友人。ファンドの投資と嘉悦町役場によって構成されている。いわゆる第3セクター。
その人たちによって、幕悦町駅前の商店街に駅前開発が行われようとしている。
一方で、コミュニティカフェ琴カフェは、老人たちで賑わっていた。またそこで働く長谷川健太、そして遠藤つむぎ。また、多岐川優の嫁、美穂は、夫の止村の集落株式会社の拡大戦略に反対して、飛び出し琴カフェで、主任として働く。シャッター通りになっている商店街を活性化させるために、地元食材を生かした料理教室を始める。小さな地域おこし。
ハゲタカ資本主義と草の根資本主義の対決という図式で、物語は発展する。農民は少し出てくるが、農業はほとんど出てこない。まぁ。テーマは、地域コミュニティ作りということなのかな。
この中で、引きこもり若者たちが「求められる快感、頼りにされる優越感、感謝される満足感」のなかで、変化して行く様が、上手く描かれている。ワークショップのためのテキストブック作りはいい視点だ。コミュニティ作りの物語ですね。 -
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日本全国には限界集落が1万カ所以上あるという。
限界集落とは、過疎化などで人口の過半数を65才以上の高齢者が占める地域であり、公共機能が低下している地域をいう。
無医村、公共交通機関、教育機関の廃止、郵便局や生活必需品を買う施設もない。
いわゆる「ないないづくし」の状態になっている地域が限界集落である。
黒野伸一著『限界集落株式会社』は、そんな限界集落を舞台にし、農業で村おこしを目指す物語だ。
都心のIT企業を辞めて、祖父の家がある限界集落に戻った主人公が村人を動かし、
村の存続を目標に、農業を軸に復興と活性化を行っていくストーリーはなかなか痛快である。
小説の世界とはいえ、地方を取り巻く今の行政のあり方にも一石を投じる内容であり、なかなか読ませてくれた。 -
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私は年配の男性も女性も好きではないので、始めに万寿子さんに主人公があんな嫌がらせされた時点で相当腹が立ったし、恐ろしくて自分だったら絶対にも石段を使わず通勤して早々に引っ越しします。
京子のようにそこから更に一歩踏み込んだ関係になるのは、ちょっと考えられないです。
万寿子さんは普通の人とかなり違うので、自分で言うように老人という感じはしませんでした。
でもそれを知るには一歩踏み込んだ関係にならないといけなくて、やっぱり私には到底無理、と思いました。
楽しんでさらさら読めましたが、この作家の他の作品も読んでみたい!と思う程ではなく.といった感じでした。