あらすじ
あなたたちがいたから、家族になれた。
学校でいじめにあっている長男・翔(11歳、小学五年生)は、家では不機嫌。自分が欲しがって飼った犬の散歩にも行かない始末だ。息子を心配するママ・小絵(38歳、専業主婦)は、家庭の事情にまったく関心をしめさないパパ・真太郎(45歳、会社員)にあきれ果て、テニスコーチと不倫に走る。思春期の長女・穣(17歳、高校二年生)も同じ高校に通う問題児とつき合いだした。
今にも崩壊しそうな中山家。
一家の一大事に、ペットの三毛猫ミケ(2歳・メス)とコーギーのタロウ(1歳・オス)が立ち上がる。果たして一家の命運は?
『万寿子さんの庭』の注目作家が描く、愛と絆の物語。
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Posted by ブクログ
前回読んだ「万寿子さんの庭」がとってもおもしろかったので、
同じ著者のこの本を読んでみた。
やっぱりこの人は、人の微妙な心情を言葉で表現するのがとっても上手だなと思った!読み終えるのが惜しい気持ちになったのは久しぶり。
崩壊寸前の家族をなんとか立て直そうと、ひと肌もふた肌も脱ぐ飼い犬のタロウと飼い猫のミケ。
猫の会合の様子や二匹の会話、ミケの視点で描かれる文章や家族からみた二匹の愛らしい姿がたまらない。
動物たちってほんとにこういうことを考えていて、
動物同士でも会話をしているんじゃないかなって思う。
タロウはかわいらしい少年のようなキャラクターがぴったりなのだけど、
見かけに反してどっしりクール系なところにギャップがあって、
泣かせてくれる~
Posted by ブクログ
まじめなおとうさんと綺麗なおかあさんと
高校生の姉と小学生の弟のごく普通の家族の物語。
小学生のいじめ問題あり、高校生の性の悩みあり、
妻の浮気あり、夫の仕事の悩みあり、
色々なことがてんこもりで展開していく物語。
そして、大切な登場人物がこの家で飼われている
猫ちゃんとわんちゃん。猫ちゃんが主人公かも。
視点がそれぞれの登場人物に代わって物語が展開
するので、とてもわかりやすいし、
どうなるんだろうって先を読みたくて
あっという間に読んでしまった。
(特にねこの視点の部分が好きだった)
最後もすっきり爽快、後味の良い物語。
この作者はあとは読者におまかせっていう余韻のある
(読者からするともどかしい)書き方ではなく
最後まできちんと書いてくれるので、いつも後味が
良くて好きだ。
Posted by ブクログ
コーギーと猫が寄り添っている表紙に惹かれて購入。
それぞれ困ったことを抱えている家族だけど、自分も含めてみんなのことが大好きなコーギーがたまらなく愛おしくなりました。ほのぼのだけじゃない、生き物としての悩みもあり事件もあり、先が気になり一気読み。
Posted by ブクログ
父母姉弟犬猫。
そんな家族がどんどんばらばらになっていく…
家族それぞれの視点(猫含む)から家族崩壊をどう捉え、立て直していくのか。
猫視点のある物語久しぶりに読んだな。
Posted by ブクログ
コーギーって申し訳ないけど短足胴長で鈍臭くておバカなイメージだったけど、タロウの勇姿を読んで感動して見方変わった。ピットブルは辺り構わず噛み付くバカな犬かとも思ったけど主人が残念すぎるからだ。あの子も被害者だ。最初の方はタロウが虐待されてるのかと思った。(踏みつけられてとか)それでも健気に家族を迎えるのはさすが犬。冷たくてそっけないイメージの猫だけどミケは優しい子。猫の集会はちゃんと会議してると思うとおもしろい。最後の集団の呪いはいいぞもっとやれと思った。
2017/07/11
Posted by ブクログ
平凡なんだけど、ネコ目線、犬目線で見るから、伝えたい人に伝わらないもどかしさが、もしかしたら普段何気なく横を通り過ぎるネコ達にもあるのかな・・・?
Posted by ブクログ
崩壊しそうな家族をネコと犬のペット達が救う・・・。そんな帯を読んで,わくわくするおとぎばなし風な作品を想像して購入した。
しかしその期待はかなり外れたものとなった。なんとなく不思議なのは,外れて特別がっかりしたわけでも,逆にとってもうれしい感じでもないということだ。
パパとママと高校生の姉と小学生の弟・・・。それぞれがそれぞれの生活の中で,ちょっと素直に口に出せないような気持ちを悶々と抱えている。そしてそれをなんなとく気恥ずかしかったり,面倒くさかったりという気持ちから,家族にも誰にも言わないまま抱えてすごすうち,悪意や故意があるわけではないのに,次第にそれぞれの気持ちはずれていく。
そしてそのうちのペットであるネコと犬も,別に家族と特別に語り合ったり,家族を救いたいと積極的にタッグを組んで計画的に動き始めるというわけでもない。ただ,それぞれの気持ちを大事にしつつ,黙々と生きている。
なんか別に「心踊らない」しかし「妙にリアル」な話だ。もちろんネコや犬が語り手になって進んでいく話なんだから実話のわけはない。しかしなんだかリアルに感じるのはなぜだろう。
それはきっと,それぞれの登場人物が普通だからだ。特別に優等生であったり,すごい能力をもっていたり,とっても極悪人であったり,奇抜な展開があったり・・・というわけではなく,普通にまじめで,普通に照れて,普通に怒って・・・と,どこにでも普通にいる発想とこうどうをするからではないだろうか。
個人的にはママのとった行動が一番破戒的であったようには思うが,ともあれ最終的にはみんながそれぞれに一皮剥けて落ち着くところに落ち着くという家族みんなそれぞれの成長譚となっている。
多少の温かみを感じながら,静かにほっとしつつ読み終える。・・・そんな読後感である。
実は,先日「万寿子さんの庭」を読んだ。不思議な読後感のある作品であった。実は同じ作家の作品であるとは知らずにこの本を買った。同じトーンという感じもしなかったが,どこか似た肌触りがあるといわれればそんな気もする。
とても,登場人物に対してクールな目をむけ,淡々と描写するタイプの作家なのだろう。
(今この作家の作品を見ていたら「長生き競争」もこの人の作品だった。意外と読んでいるぞ,この人の著作。。。。)