茂木健のレビュー一覧

  • 疫神記 上

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    上下巻感想。

    ある日夢遊病のように意識なく歩き続ける人々が発生、それは疫病か呪いかテロか。

    世界的にトレンドの疫病やAIだけでなく宗教や保守層の過激化などの問題も絡めて、今の米国で起こり得ると思わせる最新版のSFパンデミック物。

    上下巻1500頁のボリュームに怯みながらもなんとか読み終えたけど、かなり面白かった。

    こういう何が起きてるのか、今後どういう展開になるのか全く読めない壮大な小説は好き。

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    2023年02月04日
  • 落下世界 下

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    タイトルに惹かれたから読んでみました。
    ディストピアな世界で、主人公は前の記憶がないみたいで、ポケットに入ってたおもちゃの兵隊とパラシュートや写真を手がかりにしてパラシュートを修理する。
    食料だけは減っていく状況の中にいるので、軍が銃を使って小さい子供達を世界の縁へ落として虐殺するような場面を読むのは辛かった。
    「世界の縁」ってどういうこと?って思ったし、落ちれば下にはまた違う世界が待っているのでとても面白い設定だなと思いました。

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    2022年10月23日
  • 疫神記 下

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    上巻、怒涛の面白さで750ページを駆け抜けたあと、間髪入れずに挑んだ下巻。
    コチラも740ページ。

    謎の疫病にみまわれた世界の崩れていくさま、国が分断される様子にハラハラしながら、続きが気になって止められない面白さは上巻に引き続く。
    あまり詳しく書くとネタバレになってしまうんだけど、
    いやあ…ホントにTVドラマみたいで面白かったなぁ。
    最終的に自分の宗教観を振り返させられる感じがして、やられたなーと思った。

    こんな世界にもし自分がいたら、
    信じるものはなんだろう。
    信じたいものを信じるのか、
    縋りたいものを信じるのか。

    読み応え、満足感の高い読書になりました。

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    2022年10月21日
  • 疫神記 下

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    人工知能ブラックスワンの予測するパンデミックは、世界の破局を想定していた。未曾有の疾病になす術のないCDCの職員たち。世界はゆっくりと破局へ向かう中、最後の希望に縋って人々は、未来に希望をつなげようとしていた! 本作は、アメリカのドラマを見ているような雰囲気でした。最初は、夢遊病の謎解きから始まり、登場人物の群像劇へと物語が変わっていきます。ドラマ化されると面白いんじゃないかな?という作品でした。原題の「Wanderers」の方がしっくりくる作品でした。

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    2025年12月21日
  • 疫神記 上

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    2017年アメリカ、針をも通さないほど体が硬質化した夢遊病者が集団で群がって行進を始めた。しかも、この夢遊病者の行進を無理やりやめさせると、人体が爆弾のように破裂するのだ。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は謎の疾病の解明に乗り出したが、のちに起こる世界的パンデミックの始まりに過ぎなかった。 パンデミックを題材とした小説ですが、前半と後半ではがらりと雰囲気が変わります。最初は、夢遊病の謎に挑むCDCの職員の活躍が中心ですが…

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    2025年12月21日
  • 贋作

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    1950年代、オーストラリアから来た貧しい画学生エリーは、絵画の修復をしながら大学院の論文を書いていた。エリーの修復の腕を見込まれ、17世紀オランダの女性画家の絵画の複製を依頼される。しかし、それは本物を盗むための贋作作製だった。知らずに窃盗に手を貸してしまったエリー。絵をすり替えられた持ち主の弁護士は、探偵を雇ってエリーの存在を知る。
    2000年、シドニー大学でオランダ絵画を教えるエリーの元に、かつて自分が描いた贋作と本物と両方の絵が絵画展のためにシドニーへやってくる事を知る。そして本物は持ち主が直々に持参するという。エリーの心は揺れ動く。

    50年代アメリカと、17世紀のオランダ、2000

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    2022年02月01日
  • 完璧な夏の日 下

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    下巻も面白かったです。オールドマンの目的がやっとわかりました。長かった。。
    フォッグは失踪してる間クララと一緒にいたのか、クララを探し続けてたのか。オブリヴィオンはずっとフォッグを想ってたのか…オブリヴィオンの気持ちを考えるとつらい。これまでずっと孤独で、これからもずっと孤独だね…ユーバーメンシュは不老不死みたいだから。
    ミセス・ティンクルの異能力も強い、時間を前後させるの。オールドマンの異能力は最期までよくわからなかった。
    〈完璧な夏の日〉の中にあるフォーマフト波動の発生装置、それは止められなかったばかりか、クララとフォッグによって夏の日は閉じられてしまった。浮動する参照点として発生し続けな

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    2021年09月10日
  • 完璧な夏の日 上

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    面白かったです。
    フォーマフト波という波動を浴びたことで異能力を持つようになった〈ユーバーメンシュ〉と呼ばれる人々は、その為に徴収され第二次世界大戦で死闘を繰り広げました。
    大戦が終わって随分経った現在、ユーバーメンシュのひとり〈オブリヴィオン〉は〈フォッグ〉と再会し、〈オールドマン〉という上司の下でフォッグはあの頃を回想する…というお話。
    オールドマンの目的は〈完璧な夏の日〉と呼ばれた女の子について情報を得ることみたいだけれど、フォッグと彼女の間には特別な感情が…恋愛感情か、あるようで。
    中心として描かれるのはフォッグなのだけれど、見ているものを全て描写する文章は、彼ら全てを見ている観察者視

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    2021年09月05日
  • 六つの航跡 下

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    クローン技術が定着した先
    AI技術が進歩した先

    これまでの物語に描かれたクローンは、「兵士」としてや「臓器スペア」としてなど、「本人」ではなかった。

    「マインドハッキング」と「クローン再生」で、治すより殺して再生した方が早い世界。
    こぞって自らクローン化を望む世界。
    生命とは何か、意識や感情とは何か、
    生命や意識をプログラムが可能となった世界では、切実な問題となる。

    役者も舞台も少ない中、それぞれのエピソードが語られていく……。
    ひとりひとりの過去が少しずつ交わっていくにつれ、ミステリ小説のように謎が明らかにされる……。

    ちょっと面白いSFでした。

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    2021年05月05日
  • 時間旅行者のキャンディボックス

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     シンプルに面白かった~!SFを主にしてミステリ要素もあり、ストーリー展開も楽しめた。

     舞台はタイムトラベルができる1960年代のイギリス。タイムトラベルという技術を独占し、管理するコンクレーブという巨大組織は悪なのか?正義なのか?コンクレーブ内の給与体系や所得税徴収における節税方法、組織内の法律など、ディテールも面白い。
     主人公は主に三人。殺人事件(2018年1月)をめぐって未来からその発生を知らされたルビー(2017年)と、タイムトラベルという技術を開発した元祖タイムトラベラー(しかしそれにより精神に支障をきたした)バーバラ、殺人事件の死体の第一発見者となりコンクレーブに就職して内部

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    2021年02月13日
  • 六つの航跡 上

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    ネタバレ

    恒星間移民船ドルミーレ号では乗組員が自分自身のクローンを作成しながら何世代にも渡って目的地を目指している。ある時、クローンが緊急に再生された。目覚めたクローンは、眼前の自分たちの死体に驚く。6名の乗組員で生き残ったのは船長のみ。ただし昏睡状態。AIはまともに動いていない危機的状況。宇宙船内の閉鎖空間で6人のうちの誰かが犯人であるのは明らか。そして乗組員は犯罪歴があり、罪を特赦してもらうのが目的なので、誰もが殺人を犯しそうな6人である。少しづつ乗組員の過去が明らかになる中、誰が何を目的に殺人などをしたのか。真相は下巻に続く。

    登場人物が少なくて読みやすい。日本人のヒロの性格は少し軽くて、日本人

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    2020年07月31日
  • 贋作

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    フィクションではあるけど実在の画家が出てきて、とてもリアルに感じる。平行して二人の女性の生が語られるけれど、ラストには深い感動が残る。サラの晩年が幸せに包まれたものでありますように、と願わずにはいられない。

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    2019年06月14日
  • 六つの航跡 下

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    乗組員たちの過去がハッキリしてくると敵対関係が明らかになる。それでも誰が自分たちを殺したのかが分からない。
    宇宙船というクローズドサークル。さらにクローン、そのためのマインドマップなどのSF要素がストーリーを面白くしている。
    最後はドタバタした感じではあるが、綺麗に纏められている。

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    2019年01月23日
  • 六つの航跡 下

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    遺伝子をちょびっと改竄して3Dプリンターでクローンを出力、記憶を移植してビョーキなんぞ発症しない若い健康体を手に入れたい!

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    2018年12月08日
  • 六つの航跡 上

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    ネタバレ

    #日本SF読者クラブ 読むときのポイントは次のとおり。[1]クローンは、実質的に「延命」、「不死」のために使われている。[2」クローン体にインストールされるマインドマップ(要は人格とか記憶)は、改竄できる(違法だが)。ここを押さえるとストーリーが飲み込めると思う。ヒューゴー賞、ネビュラ賞候補作だけあって、読みごたえがある。

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    2018年11月19日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    ゴールドラッシュの米国、殺し屋兄弟の物語。

    なにごとにも速い兄と、なにかとトロい弟、典型的な2人組でありながら、
    ドライで深い人生観がチラホラ顔を出し、単なる物語では終わらない。
    気楽に読めて、考えさせられる、なかなかよく出来ている。

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    2018年11月14日
  • 贋作

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    一枚の絵がある。十七世紀初頭のオランダ絵画だが、フェルメールでもレンブラントでもない。画家の名前はサラ・デ・フォス。当時としてはめずらしい女性の画家である。個人蔵で持ち主はマーティ・デ・グルート。アッパー・イーストに建つ十四階建てのビルの最上階を占有する資産家の弁護士だ。絵はニューヨークがまだニュー・アムステルダムと呼ばれていた頃オランダから渡った先祖が蒐集したコレクションの一つで夫婦の寝室に飾られていた。

    それが、パーティーの最中に盗難にあう。しばらく盗まれたことに気づかなかったのは、本物そっくりの贋作と入れ替わっていたからだ。マーティは私立探偵を雇い、犯人を見つけようとする。変人ながら腕

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    2018年07月08日
  • わたしの本当の子どもたち

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    一気読み。ジャンルとしては、歴史改変ものとか幻想ものに入るんだろうけど、そうと意識させないジョー・ウォルトン独特の雰囲気がある。「図書室の魔法」のモリと同様、ここでもパトリシアに肩入れしながら読まずにいられない。

    ある決断を境に、パトリシアの人生は二つに分岐する。二つの世界で彼女自身の人生は大きく異なるが、世界のありようもまたかなり違っている。それは私たちの「現実」と重なる所もあり、違うところもあり、そこに見え隠れする痛烈な文明批判も読みどころの一つだろう。

    しかし、何と言っても読ませるのが、二人のパトリシアの歩みだ。どちらの世界でも、彼女は必死に生きる。過ちを犯したり、悩んだりしながら、

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    2018年06月13日
  • わたしの本当の子どもたち

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    二通りの女性のそれぞれに過酷な人生が描かれているが、波乱万丈とはいえ普通にありえる人生。それを読ませるリーダビリティは翻訳の良さもあるんだろうな。

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    2018年05月11日
  • わたしの本当の子どもたち

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    パトリシアという女性の一生を描いた物語。ただし2人分。
    パットとトリッシュで分けられた彼女の人生は、世界ごと全く違う道を歩んでいく。
    ひとつの名前に愛称が複数ある海外の名前の特徴をうまく使っていておもしろい。やはり名前は人生を決定するほどの力を持つのだ…。
    と思っていたが、どちらにしてもパトリシアはパトリシアだった。それは本人もそう言っていたし、最終的に2つの人生が彼女ひとりに収束していったことからもそうなのだろう。薔薇という花はその名前でなくても同じ香りがするのだから。

    パトリシアはどちらの人生においても意志が強く、活動的で、聡明な女性である。確かにパットの方が一見幸せに見えるけれど、トリ

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    2018年02月10日