あらすじ
地球を離れ、新天地をめざす恒星間移民船内で起こった惨劇。もし再び殺されれば、二度とクローン再生できない完全な死となってしまう。しかし真相究明の手がかりとなる記録も記憶も、すべて消されてしまっている……。全員が訳ありの過去を抱える乗組員たちは、互いに疑心暗鬼に陥りつつも、協力を余儀なくされる。やがて彼らの過去から、クローン医学や記憶移植を利用した生命延長技術をめぐる、数世紀にわたる人間とクローンの対立の歴史が浮かびあがり……。船内の状況が緊迫する中、彼らは真相を突き止め、自らを窮地から救い出せるのか?/解説=渡邊利道
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Posted by ブクログ
6人の乗員とAIのイアンの過去が明らかになっていく。自分たちの全世代のクローンを殺害した犯人捜しをするのだが、恒星間宇宙船の中の出来事なので、完全なクローズドサークルかと思う。ただそこはSFの自由度というか想像されたテクノロジーのおかげで厳密なクローズドサークルにはしてもらえない。事件の真相が徐々に明らかになっていくストーリーテリングの巧みさがあり、やはりミステリというよりはきっちりとしたSFというジャンルの中でエンタメを感じられる。一時はクローンを作成できない状況に陥ったが、解決方法が想像の斜め上で面白い。上下巻合わせてずっとドキドキしながら読み終えた。続編があっても面白そうだ。
Posted by ブクログ
何故自分たちは殺されたのか。それを探索する乗組員たち。そして誰かが犯人なのだ。読んでいて誰が犯人かという緊張と、クローンと人間の間の葛藤が感じられる。六人の乗務員全員が訳ありの過去を持っている。クローンだったので百年以上の人生を生きてきたので、さまざまな経験とスキルを持っている。船内では各自の過去を明かすことはご法度。疑心暗鬼にかられる乗務員たち。面白かった!クローン技術が進むとこのようなことも可能か?ただ、心と体の二元論は否定されているけどね。
Posted by ブクログ
地味に見えて、
ダイナミックな展開が待っている傑作
宇宙船の中でクローンとして目覚め、他のクローンも殺された状態で目覚めた六人。記憶がなく、宇宙船のAIや機器も制御不能、クローン再生も不可能なSF要素全開の中で本格ミステリーが展開する。
海外ドラマの「LOST」で登場人物が過去を思い出す場面の様に、この本も登場人物が過去にどんなことをして今宇宙船にいるのかが描かれながら点と点がつながっていく。
誰が?どうやって?何故?
(全員記憶なし)で引っ張ってくのですが、クローンが普及した世界で起こる犯罪や思想の対立の背景も描かれてなかなか濃い。
毎回クローンやゾンビとか、冒険小説の脇役で適当に殺されてしまう人々とか「死の重み」をどう描くかが読むとき気になってしまうのだが、死の形が変わり、感じ方も変わってる事や、謎に夢中になってたせいかそんなに気になる要素もなく面白いまま読み終えた。
Posted by ブクログ
宇宙船で目覚めた6人のクローンたちが見つけたのは、自分たち自身の死体。
自分の死体を自分で調べるなんてミステリーでは絶対にあり得ないけど、SFミステリーならクローンが存在することで普通に成り立ってしまうところが面白い。
ミステリー感はそんなに強くないので、『そして誰もいなくなった』のような疑心暗鬼の緊張感やドキドキはあまりない。
それよりもSF特有の自由な設定と、マンガみたいにキャラが立った登場人物たちが楽しい。日本人も主要メンバーで登場する。
クローンとは何なのか、自分ならどう考えるだろうとふと考えたり、最後まで飽きずに面白かった。
陰湿さがなくて、悩んでいても前向きに突っ走る、アメリカ特有のカラッとした明るさが大好き。
久しぶりの読書だったけど、たまにはこういう楽しめるSFミステリーもいいな。
表紙の上下巻の並びが気持ち悪くなってしまった。並べ替えたいけど、プレミアムじゃないとできなくなったのね(;_;)
※ひまわりめろんさんに教えていただいたおかげで、プレミアムじゃなくても並べ替えできました!
Posted by ブクログ
クローン技術が定着した先
AI技術が進歩した先
これまでの物語に描かれたクローンは、「兵士」としてや「臓器スペア」としてなど、「本人」ではなかった。
「マインドハッキング」と「クローン再生」で、治すより殺して再生した方が早い世界。
こぞって自らクローン化を望む世界。
生命とは何か、意識や感情とは何か、
生命や意識をプログラムが可能となった世界では、切実な問題となる。
役者も舞台も少ない中、それぞれのエピソードが語られていく……。
ひとりひとりの過去が少しずつ交わっていくにつれ、ミステリ小説のように謎が明らかにされる……。
ちょっと面白いSFでした。
Posted by ブクログ
乗組員たちの過去がハッキリしてくると敵対関係が明らかになる。それでも誰が自分たちを殺したのかが分からない。
宇宙船というクローズドサークル。さらにクローン、そのためのマインドマップなどのSF要素がストーリーを面白くしている。
最後はドタバタした感じではあるが、綺麗に纏められている。