松岡和子のレビュー一覧
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ネタバレシェイクスピアの描く人間模様は 時代を超えてドキッとさせられるところばかりですが、このお話はユダヤ人差別、白人至上主義がいやらしいほど!
ですが、そこは目をつぶってまずはお話の面白さを楽しみました
ヴェニスの商人アントーニオは、財産の全てをいくつもの商船に投資中。
そこへ親友パサーニオがベルモントのポーシャという美しく素晴らしい女性に求婚するため、金を貸してほしいとやってくる。ポーシャは父親からの遺産を相続し、あまたの権力者たちが求婚にやってくる。彼らと渡り合うには財がいるというのだ。
とにかく友情にかけて愛情深いアントーニオは、今は財産は船の上、ひとまず自分の信用のもと、ユダヤ人金貸しの -
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ネタバレ『リア王』は子どもの頃、お子様向けの読み物で読んだ記憶がある。三姉妹の父であるリア王が、一番優しいはずの末娘の言葉に怒り、追い出してしまう、その悲劇の顛末。…あたりは割とよくある昔話にも似たストーリーで、微かに記憶に残ってた。だが、シェークスピアのこの原作(翻訳であることは大前提として)はさらにグロスター家の父と息子たちも登場。元になった史実はあるみたいだけど、それにも増して、シェークスピアならでは(イメージです)の皮肉や性的なジョークも散りばめてある作品だった。
自分の財産を娘二人に分け与えた後、それぞれのところに代わりばんこに寄宿し世話になろうというのは、今も(というか今なら尚更?)トラブ -
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ネタバレハムレットの孤独と悲劇が胸に苦しく残る。
とにかく、ハムレットがずっと一人ぼっちなのが気になった。父親の亡霊から復讐をとげろと命じられるのも辛いし、母親はその場の空気に流されやすくハムレットのことをあまり考えていないように見える。叔父のクローディアスはハムレットの暗殺を命じ、学友とされるローゼンクランツとギルデンスターンも、友とは名ばかりであっさり暗殺の命を実行にうつそうとする。孤独は深まり続け、最終的には唯一の友であるホレイショーの制止も振り切って悲劇の試合に身を投じていく。
「前兆なんか気にしてはいられない。雀一羽落ちるにも天の摂理が働いている。いま来るなら、あとには来ない。あとで来な -
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大昔に読んでいたが、再読。国王引退に際して国を三つに分割して娘たち(長女と次女に関しては娘婿)に渡すことを決意したリア王。渡す前に「親への愛を語れ」と娘たちに大喜利させるが、姉たちの歯が浮くようなおべんちゃらが使えない程に率直かつ純真だった末娘のコーディリアを勘当、国外追放とする。
リア王は長女ゴネリル、次女リーガンの家を行ったり来たりの余生を考えていたものの、リア王親衛隊も含めた素行の悪さ・態度の大きさもあって、2人に邪険にされ、台風の中追い出され、狂っていく。
当時どういった感覚でリア王の言動が捉えられていたのか分からないが、現代の感覚からすると親としては完全なる失格とは思う。しかし、 -
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とても読みやすく、物語の流れも分かりやすい。シェイクスピアといえば多くの登場人物に、複雑な人間模様……という感じだが、その源流こそ見えども登場人物たちの動きが(他のシェイクスピア作品と比較して)認識に容易いな、という印象。
主人公ハムレットは、父王を殺し、父王の妻(ハムレットにとっての母、そして女王)と再婚して王冠を手にした叔父(父王の兄弟)に復讐を企てる、という物語。
ハムレットといえば「狂乱」という言葉がついて回る。ハムレットは父王の亡霊に暗殺の真実を伝えられて復讐を決意するが、周囲の目を欺くためか自身は狂乱を演じる。果たしてハムレットはその言葉通りに狂気を演じていたのか、はたまた本当 -
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・松岡和子「すべての季節のシェイクスピ ア」(ちくま文庫)を読んだ。まづ書いておかねばと思ふのは、「文庫版あとがき」のちくま文庫版=松岡版シェークスピア全集誕生に至る、言はば裏話である。これを一言で言へば何と運の良い人だとでもなる。とにかく次から次へと運に恵まれて文庫版の全集が誕生した。具体的にはかうである。この人はテネ シー・ウィリアムズから始まつてゐるらしい。初めはさうした現代劇に関はつたり訳したりしてゐたのだが、ある日、串田和美や東京グローブ座からシエークスピア翻訳の依頼が来る。続いて蜷川幸雄を紹介されたことから「ハムレット」訳 の依頼が来る。ここで筑摩書房に訳した3冊だけでも出してもら
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英語の戯曲をどうやって日本語に訳すか。
具体的な分析を通してシェイクスピアの本質に迫ろうとする本。
語られる内容は英語の専門的な話が多く、シェイクスピア初心者には難しいところ、ピンとこないところもありましたが、文章自体はインタビュー形式で読みやすかったです。
リア王の「この世」と「ここ」の違いなど、シェイクスピアの意図をどのように理解して、日本語に訳す作業をどのように行っているかが具体的に書いてあり、面白かったです。この一言にどんな狙いを込めたのか。それによって、観客がセリフから受ける印象はどう変わるか。翻訳とは、それらを分析・想像して答えを導きだしていく作業なのだなと思いました。
ロミオ -
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ユング心理学をベースとした心理療法家の河合隼雄先生と、シェークスピアの翻訳第一人者の松岡和子さんの対談本。
対談で取り上げられたシェークスピアの作品は、『ロミオとジュリエット』『間違いの喜劇』『夏の夜の夢』『十二夜』『ハムレット』『リチャード三世』。この6作品での対談が、当初新潮社から出版されたそうで、ここでお二方は意気投合されたようだ。その事は、対談を読んでいても読者に伝わってくる。
その後、更に『マクベス』『ウィンザーの陽気な女房たち』『お気に召すまま』『リア王』で、対談が繰り広げられ、電子書籍で私が読んだものでは、その内容も収められていた。
さらには、河合先生が亡くなる前に編まれた -
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ネタバレシェイクスピアによる「4大悲劇」に含まれていることは予備智識として知っていたが、じっさいに読んでみるとなるほどたしかにこれは悲劇である。しかも、これ以上ないくらいの。何しろタイトルになっている「リア王」はもちろん、その娘たち3人とも最終的には亡くなってしまう。これではあまりにも救いようがない。せめてコーディリアだけでも生き延びてほしいというのが、多くの読者の願いではないだろうか。しかし、この悲劇は元はといえば、リア王が理不尽にコーディリアを勘当したところから始まる。そう考えると、この悲劇は誰にも止める術がなく、はじめからこのような結末を迎えるしかない運命だったのであろう。「邪知暴虐の王」は、か