松岡和子のレビュー一覧
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ハムレット観劇のために。ハムレットはちゃんと読んだことがなかった。オフィーリアには憧れてきたけれど。
「いまの世のなかは関節がはずれている」
「ことば ことば ことば」
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」←生きるべきか死ぬべきかが有名ですが
これらのセリフもグッときますが、
ハムレットの魅力のすべてを表現したような…
「何を言う、俺は胡桃の殻に閉じ込められても、無限の宇宙を支配する王者だとおもっていられる」
とくに、母である王妃に対しての思いを独白する悩めるハムレットの何気ないひと言、
「すぐに(と言うだけなら簡単だ。)」
この短い台詞、舞台で確かめてまた胸にぐぐ -
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この本の最初のテーマは『ハムレット』なのですが、そこで語られる松たか子さんのエピソードはいきなり私の度肝を抜くものでした。著者の松岡さん自身も「血が逆流するって、あるのね。あれは私の翻訳家人生における最大の衝撃のうちのひとつだったと同時に、役者に対する敬意が頂点に達した瞬間です」と本書で述べていました。
この他にも山﨑努さん、蒼井優さん、唐沢寿明さんのエピソードが出てくるのですがどのお話もとにかく格好良すぎます。超一流の役者さんのすごさにただただ驚くしかありません。
2023年早々にものすごいショックを受けた作品でした。これはぜひぜひおすすめしたい名著中の名著です -
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アーデンの森で喜劇的なイベントが起こるこの感じは「夏の夜の夢」と似ているし、女性が男装をして思い人(パートナー)をだますという仕組みは「ヴェニスの商人」に似ている。
これらはすべて私が大好きな作品だ。そして本書「お気に召すまま」もその中に加えられた。シェイクスピアの戯曲なら悲劇より断然喜劇。二人の男女の恋愛がうまくいく過程が幸せすぎて顔がにやけてしまうのだ。
「ハッピーエンドよりもバッドエンドが好き」という人は死ぬほど見かけるが、本当か?もちろん私も余韻があったり、考察の余地が多いモヤモヤさせる作品は好きだが、この発言毎回気になってしまう。確かにバッドエンドものは劇的展開が多く、ストーリー -
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ちくま文庫版シェイクスピア全集第15巻。それぞれ事情のある男女たちがアーデンの森の中で繰り広げる恋愛喜劇。
シリアスな事情でアーデンの森に逃げ込んでくる若い貴族の男女と、もともと森に住むカップル未満の男女。男装するヒロインが彼らを煙に巻き、冒頭のシリアスさはどこへやら、スラップスティック・コメディ的な楽しさを提供してくれる。会話劇の面白さや、名言・名文句などの魅力が大きく、シェイクスピア作品の中でも原文で読むか舞台で楽しむということの意味合いがより強いタイトルに感じた。とはいえ、本訳はわかりやすい訳注もあるので楽しんで読めた。「この世界すべてが一つの舞台、人はみな男も女も役者にすぎない。…… -
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ちくま文庫版シェイクスピア全集第10巻。商業都市ヴェニスと架空の都市ベルモントを舞台に金と愛の取引を描く。
短いにも関わらず、いくつもの要素が混みいった構成になっていて、非常に密度が高い。商人のアントーニオが窮地に陥る「人肉裁判」がメインに思えるが、シャイロックを通してユダヤ教徒とキリスト教徒の関係性の問題が描かれていたり、「金銀銅の箱選び」や指輪のやり取りで結婚や夫婦関係の問題を扱っていたりなど、奥が深くて一読では消化不良となった。裁判の痛快さと喜劇の余韻を味わったあとは、何度も読み込んだり、他の解説や考察などに触れて思索を必要とする作品だと思う。しかしこの奥さんはちょっと恐いかもなぁ(汗 -
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ネタバレシェイクスピア四大悲劇のひとつ。日本人にも馴染みの深いゲーム、リバーシの商品名の由来元。黒と白は肌の色。
テーマは「嫉妬」。シェイクスピアの他作品に比べると物語の構造は比較的単純で、わかりやすい話ではある。あらすじだけ見ても面白くないかもしれない。しかし実際の会話文に触れていくと読者にもドズ黒い感情が喚起され、嫉妬からくる苦悩という恐ろしい体験に巻き込まれてゆくところが、シェイクスピアのすごいところなのだろう。クライマックスに到るまでの盛り上がりが激しく、結末自体はおおよそ予想がつくものの、ラストのセリフでは予期しなかった感動を目の当たりにすることになる。
天才的な悪知恵であるイアゴーへの -
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ネタバレシェイクスピア四大悲劇の一つ。リア王と三人の娘たちの話、グロスター伯爵とその二人の息子たちの話が交差する。
冒頭、ちょっと言葉が足りないだけで、いきなり激高するリア王には面食らった。甘言の心地よさに惑わされ、最も愛ある娘の真意を読み取れぬ浅はかさ。切り捨てられても愛と忠誠を貫く娘と家臣の気高さ。親を裏切る息子、勘違いを受けて好機を待つ息子。そういった様々な人間の思惑、言動が胸にしみる重厚な物語だ。単に悲劇的なだけではなく、人間の愚かさと高潔さが、彩り濃く描かれていることが非常に印象深い。全滅エンドではなく、これだけの悲劇がありながら、わずかに希望を感じさせる終わり方をするのがすごく良かった。 -
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ネタバレ2021年に個人での完訳を達成した松岡和子による『ちくま文庫版シェイクスピア全集』第1巻。1996年刊行。
あまりにも有名なタイトルなので、以下ネタバレあり。
王子が復讐を誓うところから物語は始まるが単純な復讐譚とはならず、陰謀や不運が重なってまさかの全滅エンド。そこに至るまでの経緯の複雑さと謎の多さ、結末の絶望感のインパクトが深く心に残る。格言めいたセリフが多く、それらを単発で抜き出しても味わい深い。日本語訳ではどうやってもわかりづらい言葉遊びなどもこの翻訳では注釈が詳しいので助かる。
1600年頃に書かれて以後繰り返し上演され続け、日本での翻訳も多数である文学史上の傑作『ハムレット -
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ネタバレ複雑なジェンダーの仕掛け、
有名な台詞、密度の濃くなっていく反復や掛け合い等、
ポイントが多く読み応えがある作品。
訳者あとがきに挙げられた反復や掛け合いの台詞読後全て確認。
ほとんどが読めば思い出せるもので、
舞台映えしそうだと感じた。
この部分だけでも他の訳や原文が読みたいと思った。
追放された兄弟、男装するヒロイン等
おなじみのモチーフの数々は実家のような安心感。
シーリアのお相手は誰になるのだろう?と読み進めていたら
まさかの人物で笑ってしまう。これはずるい(笑)
男装する前からジェンダーの垣根を越えるように
生き生きとしているロザリンドが大好き。 -
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ネタバレシェイクスピアおなじみの「思い込みによる悲劇」の上、
登場人物が少なく企みの中心には
常にイアゴーがいるのでとても読みやすかった。
イアゴーが自身を積極的に悪役としている姿勢はリチャード三世を思い出させる。
誰が見ても立派な軍人であるイアゴーが
鬱屈したものを抱え込んでいるというのが熱い。
四大悲劇の中では『オセロー』が一番好きかな。
ハンカチを盗むのに関与していなければ、
エミリアを純粋にデズデモーナの忠臣として見ることができたのだが……
自分のした事が主人の災いになるというのが
悲劇性を増すのだろうか?
ともかく、オセローはじめ主要な登場人物が顛末を把握した上で終幕となる展開は好み。 -
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本屋でたまたま目についた。常々シェイクスピアをコンプリートしたいと思いつつ、いつも他の本の誘惑に負け、シェイクスピアが後回しになってしまうことを気にしていたからか。
シェイクスピアの戯曲のうちの11作について、翻訳者の松岡和子氏が原書での言い回し等を例に出しながら様々な質問を投げかけ、それに対し河合隼雄氏が登場人物の心情等を心理学的に説明する等々…とてもバラエティにとんだ対談集。
まず、各戯曲がうろ覚えの私は、河合祥一郎氏「あらすじで読むシェイクスピア全作品」で各戯曲の流れや登場人物を再度頭にいれてから、各章に突入。シェイクスピアの裏話ではないが「そういった見方もあるのね‼︎」というような -
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