アーナルデュル・インドリダソンのレビュー一覧
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一見救いようのない世界
それでも「生きる」ということ……
珍しく冷戦時の社会を背景としており、他の北欧ミステリーのよう。
「フォード ファルコン」1960年代北米フォードの自由の象徴。この車とソ連製の盗聴機の組み合わせが、冷戦時代のアイスランドの混迷を匂わす。
湖の水位が下がったことで見つかった白骨死体のなぞ。
冷戦時の東ドイツへ留学した若き社会主義者達日常。
二つの物語が交錯しながら進む。
湖の底に隠れた過去の出来事は、決して消え去ったわけではなかった。
ダム湖が干上がって底に過去の生活の痕跡があらわになること、また、見つからないと思って投げ込んだ過去の負の出来事がヘドロのなかから顔を -
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アイスランドの作家アーナルデュル・インドリダソンの長篇ミステリ作品『緑衣の女(原題:Grafartogn)』を読みました。
アーナルデュル・インドリダソンの作品は5年前に読んだ『声』以来なので久し振りですね。
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2003年ガラスの鍵賞、2005年CWAゴールドダガー賞受賞
男の子が拾った人間の骨は、最近埋められたものではなかった。
発見現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。
付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。
封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。
CWA -
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アーナルデュル・インドリダソン『印』創元推理文庫。
レイキャヴィク警察シリーズ第6弾。
サマーハウスで起きた首吊り自殺の謎だけではなく、主人公であるエーレンデュルの家族や過去と共に30年前に起きた失踪事件を描くことで、ストーリーに重厚感が増しているようだ。焦ってはいけない。これは、ゆっくりとじっくりと味わうべきミステリーなのだ。
歴史学者のマリアがサマーハウスで首を吊って死んでいるのをマリアの友人のカレンが発見する。マリアの夫によると、数年前に母親を癌で失ってから彼女は精神的に不安定になり、死後の世界に興味を持ち、降霊術師の元に出入りしていたらしい。
マリアの死は自殺とされ、荼毘に付 -
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ネタバレ家族を持つ前に二の足を踏む男。家族を持ちたかったが、それが叶わず身を投げる女。家族になったが、それを自分で壊してしまった主人公。作者が〝子供を大切にし、愛すること。それだけが親の責務である。“と訳者に力を込めて語ったという、その親の責務が果たせず、家族を粉々に打ち砕き破壊し尽くす父親。人骨発見を機として、それぞれの家族が交差しながら、重いテーマであるドメティック・バイオレンスが、言葉を尽くして書き切られていく。女性に対しての暴力の描写がリアルで、同じ女性として、読み手を辛くさせる。
今日もどこかに、身を守るために敵を屍にして穴に埋めざるを得ない状況にいる人が、心の中で握ったナイフに力を込め -
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ネタバレエーレンデュル捜査官シリーズの第三弾。
ホテルの小部屋に住み込んでいたドアマンが殺された。
ひっそりと暮らしていた男は、
子供のころ天使のような声、
ボーイ・ソプラノの持ち主だったことがわかる。
2枚だけ作成されたレコードが残っていたが、
そのレコードが動機なのか?
どうも物足りなさを感じているのは、
なんだかもっと強烈な北欧ミステリーを読んだことがあるせいかもしれない、
という気がしてきた。
凄惨な殺人現場とか、苛烈な暴力性や、
刑事を含む関係者の破滅的な生活や人生とか。
それらを読みたい訳ではないのだが。
でも、誰にも打ち解けず孤独に暮らしていたかに見えた被害者に、
急に友人らしき人 -
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ネタバレエーレンデュル捜査官シリーズの第二弾。
子供の誕生日会が騒々しく盛り上がる最中、
人骨が発見される。
人骨は古いもので、発掘部隊がゆっくりと骨を取り出していく。
遺体は近くのサマーハウスに住んでいた家族の誰かなのか、
フィアンセを残して行方不明となった女性なのか。
いわゆるコールドケース、
過去の事件を掘り起していく筋立ては好きだし、
過去と現在を行ったり来たりする構成にもついていけるのだが、
何か入れ込めない。
妊娠中のエーレンデュルの娘とはせっかく心が通じたと思ったのに、
また家を出て行ってしまい、
発見した時には胎盤剥離で胎児を失い彼女自身も意識不明となったり、
そのせいで離婚した