アーナルデュル・インドリダソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アイスランドの作家アーナルデュル・インドリダソンの長篇ミステリ作品『緑衣の女(原題:Grafartogn)』を読みました。
アーナルデュル・インドリダソンの作品は5年前に読んだ『声』以来なので久し振りですね。
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2003年ガラスの鍵賞、2005年CWAゴールドダガー賞受賞
男の子が拾った人間の骨は、最近埋められたものではなかった。
発見現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。
付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。
封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。
CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。
世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。
訳者あとがき/文庫版に寄せて=柳沢由実子
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2001年(平成13年)に刊行された作品……エーレンデュル警部シリーズの第4作で、翻訳された作品としては2作目のようです。
幼い男の子が住宅建設地で拾ってきたその骨は、なんと人間の肋骨の一部だった……レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、親からの通報を受けて急ぎ現場に駆けつける、、、
だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった……考古学者によると、その骨は埋められてからすくなくとも50年は経っているらしい。
現場近くにはかつて数件のサマーハウスが建っていて、付近にはイギリスやアメリカ軍のバラックもあったらしい……サマーハウスに住んでいた誰かのものか、、、
それとも軍の関係者か……エーレンデュルら捜査陣が調べていくと、付近の住人の証言の端々に緑のコートの女が現れる。
そして、封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに……人はなぜここまで酷くなれるのか、そしてなぜここまで毅くなれるのか。
土の中に埋められていた骨の主の正体を追うレイキャヴィク警察の捜査、ある家族のドメスティック・バイオレンス、そして、娘エヴァ=リンドの危機をきっかけに語られるエーレンデュルの過去……物語は3つの方向から語られます、、、
閉ざされた家の中で夫が妻に向かって振るう暴力シーンの凄まじさ……殴られ、蹴られ、精神が壊れていく様は目をそらしたくなるほどですが、その心理状態の描写がリアルで納得感がありましたね。
そして、エーレンデュルが自らの過去を振り返りつつ、限られた証言や証拠を一つひとつ丹念に確認し、過去に起こった事件を再現していく展開に、ぐいぐいと物語に惹き込まれました……全体的に暗いトーンの物語で陰惨な場面もあるのですが、それでもページを捲る手を止めることができない、そんな作品でした、、、
家族の在り方、そして、夫婦とは、親子とは……考えさせられることの多い作品だったと思います。 -
Posted by ブクログ
アーナルデュル・インドリダソン『印』創元推理文庫。
レイキャヴィク警察シリーズ第6弾。
サマーハウスで起きた首吊り自殺の謎だけではなく、主人公であるエーレンデュルの家族や過去と共に30年前に起きた失踪事件を描くことで、ストーリーに重厚感が増しているようだ。焦ってはいけない。これは、ゆっくりとじっくりと味わうべきミステリーなのだ。
歴史学者のマリアがサマーハウスで首を吊って死んでいるのをマリアの友人のカレンが発見する。マリアの夫によると、数年前に母親を癌で失ってから彼女は精神的に不安定になり、死後の世界に興味を持ち、降霊術師の元に出入りしていたらしい。
マリアの死は自殺とされ、荼毘に付される。マリアの自殺に疑問を抱いたカレンは犯罪捜査官のエーレンデュルに相談する。エーレンデュルは捜査するうちにマリアの死に疑念を抱く。
やがて明らかになる悲痛な過去。
本体価格1,260円
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Posted by ブクログ
ネタバレ家族を持つ前に二の足を踏む男。家族を持ちたかったが、それが叶わず身を投げる女。家族になったが、それを自分で壊してしまった主人公。作者が〝子供を大切にし、愛すること。それだけが親の責務である。“と訳者に力を込めて語ったという、その親の責務が果たせず、家族を粉々に打ち砕き破壊し尽くす父親。人骨発見を機として、それぞれの家族が交差しながら、重いテーマであるドメティック・バイオレンスが、言葉を尽くして書き切られていく。女性に対しての暴力の描写がリアルで、同じ女性として、読み手を辛くさせる。
今日もどこかに、身を守るために敵を屍にして穴に埋めざるを得ない状況にいる人が、心の中で握ったナイフに力を込めたり、緩めたりして苦しんでいるのかもしれない。
殺しが単なる犯人探しの謎解きに終わらないのが、テーマが重い北欧ミステリーの醍醐味である! -
Posted by ブクログ
ネタバレエーレンデュル捜査官シリーズの第三弾。
ホテルの小部屋に住み込んでいたドアマンが殺された。
ひっそりと暮らしていた男は、
子供のころ天使のような声、
ボーイ・ソプラノの持ち主だったことがわかる。
2枚だけ作成されたレコードが残っていたが、
そのレコードが動機なのか?
どうも物足りなさを感じているのは、
なんだかもっと強烈な北欧ミステリーを読んだことがあるせいかもしれない、
という気がしてきた。
凄惨な殺人現場とか、苛烈な暴力性や、
刑事を含む関係者の破滅的な生活や人生とか。
それらを読みたい訳ではないのだが。
でも、誰にも打ち解けず孤独に暮らしていたかに見えた被害者に、
急に友人らしき人物が登場したり、
というよりかは彼の人物像がどうもよくわからないところや、
ホテルの抱える闇がはっきり描かれなかったり、
同僚が抱えていた児童虐待事件も真相が尻切れトンボになったり、
他にも食い足りなさを感じるところはあるのかも。
そして、情報を提供してくれる元上司との関係もいまいちよくわからない。
一応、エーレンデュルと娘はまだ親密さを取り戻しつつあるし、
過去の弟の遭難事故のことを、
捜査で知り合った研究所助手の女性に離すこともできたし、
話が進んでいる感はあるけど、
もうちょっと面白くなってほしい。
今回面白かったのは、
レコードを集める趣味の世界では、
日本人がネットに情報を載せ、世界中に出向いて買い占めている、
レコード蒐集家の間では有名な話だ、
というくだりかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエーレンデュル捜査官シリーズの第二弾。
子供の誕生日会が騒々しく盛り上がる最中、
人骨が発見される。
人骨は古いもので、発掘部隊がゆっくりと骨を取り出していく。
遺体は近くのサマーハウスに住んでいた家族の誰かなのか、
フィアンセを残して行方不明となった女性なのか。
いわゆるコールドケース、
過去の事件を掘り起していく筋立ては好きだし、
過去と現在を行ったり来たりする構成にもついていけるのだが、
何か入れ込めない。
妊娠中のエーレンデュルの娘とはせっかく心が通じたと思ったのに、
また家を出て行ってしまい、
発見した時には胎盤剥離で胎児を失い彼女自身も意識不明となったり、
そのせいで離婚した元妻に罵倒されたりと、
私生活がひどいからか。
同僚のオーリも同棲している恋人がいるか、
結婚に踏み切ることができず、
もう一人の同僚は、病室にいた老人に質問を繰り返し、
酸素マスクでかろうじて生きていたその老人を死なせてしまうと、
誰にも感情移入ができないせいか。
前作で意味ありげに登場していた昔の上役は出てこないし、
エーレンデュルが幼いころ、
吹雪の日に弟とはぐれ失ってしまったことが語られ、
霊能者と出会うが唐突。
もちろん、事件とは関係ない。
アイスランドでは爆発的な人気らしいけど、
どうも自分にはその魅力が判らない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ続けて読みどっぷりアイスランドに嵌まった。アーナルデュル・インドリダソンの三冊目。この本のテーマは社会主義国とそこの若者達という感じ。旧ソ連の影が色濃く差す東ドイツに留学した学生たちの重い青春記とも。
東ドイツのライプツィヒ、ベルリンの壁崩壊以前の大学生たちの若さが痛々しく、先頃発見された殺害されたが遺骨の捜査と交互してストーリーは展開してゆく。
お馴染みになった刑事たち、二作目からここまでまた月日が経ったようでそれぞれの身辺少しずつ変化している。
情けないオヤジのエーレンデュルは相変わらず娘、息子と関係は築けてない…。
翻訳者の解説によると、北欧ではこのシリーズ15作目まで出版されてるとのこと!
先月発刊された文庫、早速本屋さんへ予約しに走った!
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Posted by ブクログ
ネタバレ家族の件など、個人的な苦悩を抱えながらも、捜査官として事件の真相を黙々と追い求めるエーレンデュルの静かな力強さが良い。捜査の進展と並行してある家族の物語が語られますが、描写こそ淡々としているのに、その悲惨さがひしひしと伝わってきて、読んでいてしんどいのだけど目が離せなかった。
ただ捜査していた2つの可能性のうち、片方の√が終盤で割とあっさり無関係とわかってフェードアウトしたのは少し拍子抜け。あと『湿地』のときも思ったけど、締めのラストシーンだけがなんだか妙にメロドラマっぽい。あのラストも、今作を読めば決して安易な結末でない(むしろ人間そんなに簡単には生まれ変われないよ、という事を残酷な形で突きつけている)のはわかるのですが、なんとなく最後の締め方がそれまで語られてきたことに比べてサラッとしてるというかまたかー的な感じ。でも、もしかしたらそれが狙いなのかも?という気がしなくもないです。
トータルではとても面白かったです。
このシリーズはひととおり読みたいと思います。