アーナルデュル・インドリダソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アーナルデュル・インドリダソン『湖の男』創元推理文庫。
レイキャヴィク警察シリーズ。主人公のエーレンデュルが地道な捜査により過去に起きた殺人事件の真犯人を特定するというストーリー。読むのに苦労した割りには得る物が少なかったというのが正直な感想。
干上がった湖の底で発見された白骨死体は頭蓋骨に穴があき、体にはソ連製の盗聴器がくくり付けられていた。エーレンデュルの捜査の結果、過去に農機具のセールスマンが婚約者を残して失踪していた事実が浮かび上がる。
事実を1つずつ丹念に紐ほどき、少しずつ真実に迫る過程は面白いが、誰もが見逃していた過去の国家の歴史が絡む事件の真相にまで辿り着き、真犯人を特定してしまうというのは余りにも出来過ぎではないだろうか。
本体価格1,360円
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Posted by ブクログ
読み終わってレビューを読んで、あ、シリーズ物だったんだ、と知る。
以前読んだ翻訳ミステリー大賞がかなり良かったので、引き続き購入。
鎌谷悠希の「少年ノート」という漫画をふいに思い出した。
最終話まで読んでいないのだけど、音の描き方が素晴らしくて、芸術だなーと思わせる作品です。
その中に登場するボーイソプラノ達を、この小説のグドロイグルに重ね合わせた。
グドロイグルの声が持つ稀有な美しさ。
けれど、それは父親の管理下だからこそ発揮され、変声期を迎えたことで貶められ、果ては家族としての居場所を失ってしまう。
そんなグドロイグルの死を追う警察官エーレンデュルにも、家族としての居場所を求める娘エヴァの存在が描かれる。
そして、父親からの虐待を疑われる事件を担当するエリンボルグのカット。
それぞれのシーンが上手く切り替わりながら進んでいくのだけど、シリーズ物だからか、割と終わり方は雑な印象。
んー。まあ続きを読むにはちょうどいいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
孤独な生活を送っていたドアマンがホテルの地下室で惨殺される。
かつて男は、美しい歌声で人々を魅了したことがあった。だが、避けて通ることのできない変声のため、スポットライトを浴びた初舞台で、一瞬にして「ただの少年」へと変わったのだった。厳しく指導し息子に期待を懸けていた父親。失望と嘲笑、果ての転落。以降の人生はもはや「余生」に過ぎなかった。人々との関係を絶ち、人畜無害となっていた男を殺害した動機とは何か。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、私生活でのトラブルを抱えつつも、濁りきった事件の底に沈殿する鍵を求めて、再び水中深くへと潜り込んでいく。
インドリダソン翻訳第三弾。「家族」を主題とする著者の主張がより明確となり、前面に出てきている。本作では、親と子の関係性を問い直す三つのケースを扱い、マイノリティに関わる現代的な問題も絡めている。その中心となるのは、世捨て人同然となった男の半生なのだが、挫折の容量は重いとはいえ、人間の業に思いを馳せるような悲劇性は高くない。捜査を主導する主人公エーレンデュルの家族関係とのリンクを一層深めているため、軸となる事件自体の強度が弱められた感じだ。テーマを深めるためのメッセージ性が過多となり、肝心の物語が薄くなってしまっている。前2作「湿地」「緑衣の女」に比べてプロットの構成力も弛緩しているは残念だ。