アーナルデュル・インドリダソンのレビュー一覧

  • 声

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    訳者あとがきにあったようにミステリでなく社会小説だと思う。今回も家族間の難しい関係が描かれており色々考えさせられました。

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    2022年06月19日
  • 厳寒の町

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    私が一番好きな北欧ミステリーがこの<エーレンデュル捜査官>シリーズ。邦訳五作目となる今作は、外国人の少年が刺殺体で発見された場面から物語が始まる。今回はアイスランドの移民問題という現在進行形のテーマに焦点を当てているが、肝心な事件の真相は些か精細を欠く。然しながら、それこそが今作唯一の救いだと述べるあとがきにはハッとさせられた。多文化共生は日本とて例外ではないが、私自身も外国人の同僚と相互理解を図る難しさを日々痛感している次第です。独特の情感が味わい深いこのシリーズ、次作の発売は果たしていつ頃なのだろう。

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    2022年01月23日
  • 声

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     アイスランドの首都レイキャビク警察のエーレンデュル捜査官シリーズ第3段(邦訳)です。

     本シリーズは、現地アイスランドでは既に1997年から2016年で既に15作品が刊行されて居り、邦訳の最初の刊は''湿地''(2012年)で現在迄に5作品が刊行されてます。邦訳作品は、ガラスの鍵賞やゴールド・タガー賞等を受した作品ですが、どの刊もとても面白いので是非に邦訳未刊行の作品の出版を心待ちにしてます。

     今回の事件は、レイキャビクのホテルでドアマンの男がホテル地下の住込み部屋で刺殺された。折下クリスマスで男はイベント用のサンタクロースの衣装だった。

     エ

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    2021年09月05日
  • 声

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    犯罪捜査官エーレンデュルシリーズ三作目。ホテルの地下で殺されたドアマンの捜査を進めていくと、驚愕の過去が明かされていく。主人公や、ホテルを取り巻く濃密な人間関係に拗さもあり、星3つ。

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    2021年06月20日
  • 緑衣の女

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    犯罪捜査官エーレンデュルシリーズ。込み入ったトリックや推理を楽しむものでは無いが、数十年前の白骨死体の謎が、丁寧に解き明かされていく。アイスランドの空気感も楽しめる北欧ミステリー。

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    2021年05月05日
  • 湖の男

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     湖が干あがったために発見された一体の白骨。殺害されたことを示す頭蓋骨の穴と、体に結び付けられたソ連製の盗聴器。この死体は誰なのか、なぜ殺されたのか、姿を消した失踪者から辿ろうとエーレンデュルたちの捜査が始まる。
     現在進行の捜査活動の叙述の間あいだに、アイスランドから社会主義の理想を信じて東ドイツ、ライプツィヒの大学に留学した学生の生活が挟み込まれる。時はハンガリー動乱直前。そのときの何がが、この白骨死体に関係しているのか。

     本作は時代背景が重要なポイントとなっているが、冷戦時代のアイスランドの国際政治的な位置について、初めて知ることが多かった。

     主筋のストーリー自体はもちろん、主人

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    2021年01月17日
  • 緑衣の女

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     ミステリを通して社会を描く。最近のミステリの傾向だが、北欧ミステリはマルティン・ベックシリーズを筆頭にそうした傾向が強く、捜査官エーレンデュルを主人公とする本シリーズも同様の指向性を持っている。

     冒頭、人骨が発見される。一点、夫から妻に対する暴力の描写。
     骨の主は誰なのか、どうして埋められたのか、事件性はあるのか、捜査活動が進んでいく。一方で凄まじい家庭内暴力。人が人に暴力を振るい屈従に追い込んでいく様子がこれでもかと描かれる。
     そしてまた、捜査の責任者、主人公エーレンデュルの痛々しい過去が少しずつ明らかにされていく。破綻した家庭生活と捨ててしまった子供たち。ドラッグに身を持ち崩した

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    2021年01月05日
  • 緑衣の女

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    なぜ憎い夫と赤ん坊を同じ穴に埋めたのか。そこだけ違和感。
    まあ母親はろくに動けなかっただろうし子供達で穴を二つ掘るのは無理だっただけかも。

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    2020年07月19日
  • 湖の男

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    シリーズ邦訳四作目。アイスランドの湖底で発見された白骨死体と冷戦下の東ドイツへ留学した学生の追想が交錯する作品構成は「緑衣の女」とほぼ同じだが、ここに外交問題と政治思想、シュタージ傘下の監視社会が絡み合い過去作以上に複雑な様相を呈する。無駄のない物語の運びに哀愁漂う人間ドラマ、そしてラストシーンの情景が醸し出す余韻といい、今作もシリーズの持ち味が存分に発揮されている。恐らく過去パートはこれでもまだ描き足りないのではなかろうか。ロマンス的な展開は非常に苦手なのだが、今作の心情描写は何とも優美で穏やかだった。

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    2020年05月11日
  • 湖の男

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    アーナルデュル・インドリダソン『湖の男』創元推理文庫。

    レイキャヴィク警察シリーズ。主人公のエーレンデュルが地道な捜査により過去に起きた殺人事件の真犯人を特定するというストーリー。読むのに苦労した割りには得る物が少なかったというのが正直な感想。

    干上がった湖の底で発見された白骨死体は頭蓋骨に穴があき、体にはソ連製の盗聴器がくくり付けられていた。エーレンデュルの捜査の結果、過去に農機具のセールスマンが婚約者を残して失踪していた事実が浮かび上がる。

    事実を1つずつ丹念に紐ほどき、少しずつ真実に迫る過程は面白いが、誰もが見逃していた過去の国家の歴史が絡む事件の真相にまで辿り着き、真犯人を特定し

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    2020年05月07日
  • 声

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    作中の『アイスランドは小さな国なのにみんなと同じでなければ許されない』という台詞は社会生活を営む人間が直面する問題に国境はないと教えてくれる。これまでのシリーズ作品中最も地味な展開ながら、そのドラマ性が高く突出しているのは【家族の在り方】というテーマが万国共通だからだろうか。改めてこのシリーズは海外版社会派ミステリーなのだと実感する。前二作に比べ開けた作風で、クスッと笑える場面にすら出会すが、その分些か通俗的になった印象は否めず。但し、優美なラストシーンを含め、作品の完成度自体はシリーズNo.1だと思う。

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    2020年03月22日
  • 緑衣の女

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    新興住宅地で発見された人骨、エーレンデュルに降りかかる家族問題、そしてとある一家の記憶。序盤から前作「湿地」を凌ぐ仄暗さが漂う今作もアイスランドが歩んだ歴史に端を発する哀しい因果の物語。前作の警察小説然とした犯人捜しと打って変わり、埋もれた白骨遺体の身元捜索という地道な展開だが、現在と過去、そこにエーレンデュルのアイデンティティをも絡めた人間ドラマの構築がお見事。勿論、ミステリーの妙もしっかりあるし、ラストシーンが醸す余韻も味わい深い。ローカルで陰鬱な世界観だが、漆黒の暗闇に射す一縷の光は読者の心を打つ。

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    2020年03月22日
  • 声

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    孤独な生活を送っていたドアマンがホテルの地下室で惨殺される。
    かつて男は、美しい歌声で人々を魅了したことがあった。だが、避けて通ることのできない変声のため、スポットライトを浴びた初舞台で、一瞬にして「ただの少年」へと変わったのだった。厳しく指導し息子に期待を懸けていた父親。失望と嘲笑、果ての転落。以降の人生はもはや「余生」に過ぎなかった。人々との関係を絶ち、人畜無害となっていた男を殺害した動機とは何か。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、私生活でのトラブルを抱えつつも、濁りきった事件の底に沈殿する鍵を求めて、再び水中深くへと潜り込んでいく。

    インドリダソン翻訳第三弾。「家族」を主題と

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    2018年08月23日
  • 声

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    ネタバレ

    シリーズものの3作目だということを知らずに買ってみた。
    そのせいなのかどうなのか、主要な登場人物のキャラクターが序盤の会話や描写からイマイチつかみにくい。
    根底にある文化の違いという側面を置いといたとしても、訳文にはもう少しローカライズ的な発想があってもいいのでは、と思った。
    家族とは、と読者に問いを投げ掛けつつ展開されていくプロットは練り上げられており、読み応えがあった。

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    2018年07月20日
  • 声

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    うーむ。読み始めから、雰囲気が暗いなあ、と。この作家さんの作品は全てそんな感じですが。誰も救われないまま、事件が解決して終わったという感じ。明るい要素が無さすぎるのも、読み進めるのがつらくて、ああ終わってほっとした。

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    2018年05月26日
  • 声

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    4月-1。3.5点。
    ホテルのドアマンが、ホテルの地下室で殺害される。
    少年時代、ソプラノ歌手だった被害者。

    哀しい人生。この作家、事件と言うよりは被害者の人生の描き方が珠玉。背景が哀しく、はまれる。

    次作も期待。

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    2018年04月07日
  • 声

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    アーナルデュル・インドリダソン『声』創元推理文庫。

    シリーズ第5作で、邦訳作品としては第3作。事件に面白味がある訳でもなく、展開が静か過ぎて好みではなかった。

    クリスマスシーズンのホテルの地下で、元ドアマンだった男がサンタクロースの扮装でめった刺しにされた。捜査官・エーレンデュルは捜査を進めるうちに被害者の驚愕の過去に触れていく。

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    2018年02月04日