兵頭二十八のレビュー一覧
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ゆかりある町の名前がタイトルに載っていたので、そこに惹かれて購入。
内容は日本が核攻撃を受けた際のシミュレーション。
核攻撃による被害はどれくらいか、中国の核戦略、核攻撃で狙われる日本の都市はどこか…など、ページ数の割に内容満載で夢中で読んでしまった。
特に、核攻撃で狙われる日本の都市の章。
軍事基地や原子力施設の立地、放射性物質が拡散する風向きや経済的打撃といった、
核の時代の地政学ともいえる観点から分析が行われており、斬新な視点にゾクゾクした。
筆者は「地下鉄・地下駐車場は戦時避難先となるため、都市の地下インフラを更に増やすべき」として、そのための具体策(税制の優遇や公共施設の -
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ナゴルノカラバフの戦訓からいかに日本の陸上戦力を整備していくかという提言。
2020年のナゴルノカラバフ紛争を史上初めてUAVが制空権を握ったと評価し、アゼルバイジャンが活用したバイラクタルやその前に各国で開発されSEADに使われてきたUAVを紹介。そして尖閣防衛において陸自の砲兵や対戦車部隊が遊兵化することがないよう、尖閣諸島の地理的条件や陸自の装備の射程などを勘案して大胆に装備を刷新することを提言している。それでも他国に比べたら三番手以下の小改革に過ぎないと。
貴重な戦力資源である若い自衛官を時代に合致しない装備で訓練するのがいかに甚大な損失になっているか。サンクコストの誤謬で、過去に財務 -
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2018年発売の本を再読。
ウクライナ戦争の状況進行中の必見は 第二章 ロシアの暴走が世界大乱の導火線となる です。著者は2018年の段階で1番危険なのはプーチンのロシアと喝破。その頃の我が国の主流権力者群は北方領土を返してもらおうとプーチン大統領に媚びてた時分か。もはや思い出したくない黒歴史ね。
さすがは現代の軍学者。そこらのプロ外交官やプロ政治家とは見てるものも考えてる事も違いすぎる。
ロシア軍の弱さも、ロシア国内がプロパガンダに染まり情報的な異空間になってる事も、開戦前から続く米軍のウクライナ支援とその効果も、ロシアが核を恫喝外交の道具にすることもがっつり予見。
そして恐ろしい事に先制 -
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この本で取り上げられているのは、日本史の謎とされている事件・戦争について、地政学の観点から解説をしています。さらにそれが起きた時期の気候変動についても併せて述べています。
日本史を、地政学や気候変動、地政学上の利点がそうでなくなる条件(技術革新など)は何かを、具体的な事象をあげて説明してくれており目から鱗のような気分になりました。
また普段見慣れている、日本を中心とした地図も、相手との関係を考える場合、その国から日本はどう見えているか、具体的には、中国から見た地図を見てみることも大事だと感じました。
以下は気になったポイントです。
・九州南部の日向灘からいまの静岡県が面する遠州灘にかけ -
ネタバレ 購入済み
乱世に生きた男達
一部ご紹介します。
・板倉重宗「物事を事前によく工夫して準備することが、武士らしくないとか兎兵法などと言う者もいるが、
現実には兎兵法でなければ絶対に役には立たないし、その方が不覚悟というものだ」
・伊丹泰勝「鼠を素手で生け捕りにするように、圧力を加減せよ。
即ち、鼠をあまり強く掴めば、鼠は圧死してしまう。
あまり弱く掴めば、鼠は手を噛むものである」
・武田信玄「最善の戦勝とは、敵に、何をやっても勝てないと思わせ、あとあとまで、戦争を仕掛けようという気持ちを起こさせないように仕向けることだ」
・徳川光圀「子供は子供のようなのがいい。強く折檻するのは逆効果だ。
だいたい生まれつき -
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かの国からミサイルが日本へ数回、向けられた2017年に購入した本です。
タイトルにある地名の“所沢”が特に気になったんです。
私は所沢住民ではありませんが、同じ埼玉県民なので、「なぜ?なぜ?なぜに所沢?」と、読みはじめからターゲットは所沢で読んでました。
所沢が明示されていた理由は今となっては頷けます。
もしも、日本国内のある都市にミサイルが落ちたら、被爆した重症患者を治療するために運ぶ場所、爆心地から逃げるのに避難するべきふさわしい場所というものがある。
それを著者の兵頭氏は被害を最小化する方法として提言していますが、日本に住んでいるからには知っておくべきだと思います。
1945年にアメ -
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陸軍中心に記述。石原完爾論に相当の頁を費やしている。
石原完爾と言えば、言わずと知れた満州事変の計画立案・実行者。背景には日蓮宗思想からの日米決戦論があると論じる。
石原が失脚しなければ、日米戦はあの時点ではあり得なかっただろう。満州にアジア人の知恵を結集して、対米戦に備える。八紘一宇により、満州で五族協和を実現することが必須で、それを遂行できるのは日本のみで、そのための場所は満州をおいて外にあり得なかった。
そういう脈絡からは、長城以南の漢人の土地に、幾ら挑発されたからと言って手を出すのは間違いであり、その点から河本大作の所行は非難されるべきと思うが、その辺がちょっと調子外れだった。 -
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