あらすじ
本書は、幕末の館林藩家老・岡谷繁実が16年の歳月をかけて、日本近世の“個性的な武将”192人のエピソードを選りすぐった『名将言行録』の抄訳。欧米列強の脅威が迫るなか、日本が国家を保つためには、いったいどうすればいいのか? ――岡谷は、応仁の乱後から徳川3代将軍家光の世に至る日本国内の〈人材〉の在り方に注目した。人材こそが国家を盛んにし、また衰えさせもしたのである。「『最後は斬る』のが武士の本質だ!(内藤昌豊)」「『徳川攻め』を最優先の事業にさせるな!(徳川家康)」「『弱敵』を恐れぬ将は、勝ちを貯蓄できない(黒田孝高)」「『平常通り』こそ武家政権の危機管理だ(阿部忠秋)」「『害を避けること』の害を知れ(本多正信)」「『覚悟』があれば、身体は勝手に反応する(堀直政)」など、名将たちの強烈な生き様から、現代人の不安を打ち砕く生き方の極意を浮かび上がらせる。『[新訳]名将言行録』を大幅増補し、改題。
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乱世に生きた男達
一部ご紹介します。
・板倉重宗「物事を事前によく工夫して準備することが、武士らしくないとか兎兵法などと言う者もいるが、
現実には兎兵法でなければ絶対に役には立たないし、その方が不覚悟というものだ」
・伊丹泰勝「鼠を素手で生け捕りにするように、圧力を加減せよ。
即ち、鼠をあまり強く掴めば、鼠は圧死してしまう。
あまり弱く掴めば、鼠は手を噛むものである」
・武田信玄「最善の戦勝とは、敵に、何をやっても勝てないと思わせ、あとあとまで、戦争を仕掛けようという気持ちを起こさせないように仕向けることだ」
・徳川光圀「子供は子供のようなのがいい。強く折檻するのは逆効果だ。
だいたい生まれつき律儀といわれるような子は、成人すると大抵愚かでだめだ」
・細川忠興「一人で何でもできる部下など、どこにもいないと思え。
一人で全てがわかっている者ならば、組織の中で働きなどしない。
そこを分かっている者が、主君たるべき人である」
・前田利家「私は乱世に生まれた。敵対するものを殺したが、それは全て必要だったからだ。
だから、地獄で責められるような無駄な人殺しをしたことはない。
仮に閻魔大王に責められることがあっても、先に死んだ家来たちと共に、地獄の連中を打ち負かす。
だから、死後のことは何も心配することはないのだ」