青木創のレビュー一覧

  • 偶然の科学

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    面白かった。
    もちろん訳者の方の力もあるだろうが、とても読みやすい。

    著者ダンカン・ワッツが説く「スモールワールド」という概念は知っている人も多いと思うが(世界中の人と人の間には平均6人存在する)、この本はそれにも言及しつつ、もっと広く社会学を語っている。
    物事には明確な理由がなく、複雑な要因が絡まって結果がある。
    常識の脆さ、因果の複雑さ、予測の困難さ、それを一つ一つ説いていく。
    自分が認識している世界に対し懐疑的な視点を持ちたいならこの本を読むべきだ。

    しかしながら人が常識に頼ったり予測をしたり因果を単純に理解したがるのは、自己防衛でありリスクヘッジだ。
    それらが不可能になれば、社会は

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    2020年10月04日
  • 葬られた勲章(下)

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    ウクライナから来た謎の母娘と、サンソム下院議員を繋ぐ歴史の糸とは何か。
    国防総省から持ち出されたメモリースティックには、どんなトップシークレットが残されていたのか。
    ニューヨーク市中を舞台に繰り広げられる、リーチャーとさまざまな敵とのスリリングな攻防が、
    英米でも高く評価された傑作ミステリ!

    都市にまつわる蘊蓄が楽しい。
    下巻の帯は見ない方がいいかも。

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    2020年09月03日
  • 葬られた勲章(上)

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    深夜、ニューヨークの地下鉄。ジャック・リーチャーの目前で絶命した女は、国防総省に勤める民間の事務員だった。事情聴取を終えて、弟の警官と死の真相に迫ると、副大統領候補への指名も噂されているサンソム下院議員の存在が浮かび上がる。謎が謎を呼ぶ展開に一気読み必至の傑作アクション・サスペンス。

    あいにく、シリーズ第1作しか読んでいないのだが、マイクル・コナリーと一緒に並んでいたので、購入。これは当たりかもしれないと思いつつ、下巻へ。

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    2020年08月30日
  • 偶然の科学

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    世の中は予測可能な事象と不可能な事象がある。

    物理学や数学は誰からみても同じ普遍的な法則があって、予測可能な事象ですが実社会は予測不可能な事象で、常識と思っていることでも偶然の結果が殆ど。

    したがって現実社会を扱う社会科学系の学問は、普遍的法則を追っかけるのではなく、中範囲の法則や測定と迅速な対応による戦略によって法則を導き出すべきと提言した著作。

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    2020年08月29日
  • 葬られた勲章(下)

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    リー・チャイルド『葬られた勲章(下)』講談社文庫。

    ジャック・リーチャー・シリーズの第13作。2009年の作品。

    さすがに11年前の作品だと電子モバイル機器などの描写に古さを感じる。また、この時代だからこそ重大な秘密情報も今となれば、さほどの情報でもないだろう。出来ればリアルタイムで読んで、面白さをさらに味わいたかった。

    自ら火中に飛び込むかの如く巨大な陰謀の渦に巻き込まれていくジャック・リーチャー。深夜のニューヨーク地下鉄でリーチャーが何もしなければ、これだけの死者は出なかったのではとも思う。

    自殺した国防総省の事務員スーザン・マークが盗み出した秘密情報は、やはり下院議員のジョン・サ

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    2020年08月18日
  • 潤みと翳り

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    ネタバレ

    オーストラリア発のミステリーは、数が少ない割に面白いものが多いと思っています。
    自然の容赦の無さも独特ですが、オーストラリアものは人間関係のドロドロ具合が濃い印象。

    謎解きのある『ピクニック・アット・ハンギングロック』…といった感じかな。

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    2019年10月18日
  • 潤みと翳り

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    私は好きだった。女性の描き方にはイラッとしたけど、実際にマウントしたい人とか、集団の中でも個を主張する人とか、いるんだよね、と共感出来た。謎解きの面ではご都合良く‥と思った。

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    2019年10月12日
  • 渇きと偽り

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    初めてのオーストラリア発ミステリー。

    日本で生まれ育った者としてはなかなか考えにくいのだが、オーストラリアでは干魃は珍しくなく、十年から二十年に一度は大規模な干魃が起こりそんなときに起こる山火事は大惨事になるらしい。
    日本のように毎年どこかで豪雨や台風の災害が起こる国とは真逆だが、これもまた自然が起こす災害だ。

    原題は「THE DRY」。だが邦題ではそこに「偽り」が加わる。
    その「偽り」とはどんな「偽り」なのか、それは読んでいくうちに分かっていく。

    主人公は普段はメルボルンで仕事をしているアーロン・フォーク。主に経済犯罪を担当する連邦警察官だ。
    その彼が生まれ育ったキエワラという田舎町を

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    2019年10月10日
  • 潤みと翳り

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    シリーズ第2作。職場の研修キャンプで山に入った5人の女性が遭難し動きが取れなくなり、1人が姿を消す。そのキャンプの様子と捜索する刑事たちのパートに分かれる。キャンプでなにがあったのか。それぞれに対する不満、苛立ち、追い込まれていく心理状態。そのなかにある伏線。謎解きの面白さとそれぞれの駆け引きの面白さ。次第に女性たちの本音が見えてくる。その怖さも読み応えがある。

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    2019年08月23日
  • 偶然の科学

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    "人間の社会的行動を科学の目で分析する。そんな一見出来そうもないことに挑んでいるのが本書。
    社会科学をアカデミックに学びたくなる。"

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    2018年10月28日
  • 渇きと偽り

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    ネタバレ

    馬鹿な酔っ払い1人のせいで、どれだけ大勢の人間が人生を狂わされたことか…
    可哀想なエリー、アーロン、そしてルークもグレッチェンも。
    殺人事件の方の犯人も意外すぎてビックリ!!
    ぱっと見のイメージより読みやすくておもしろかった。

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    2018年02月15日
  • 渇きと偽り

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    現代で起きた一家惨殺事件と20年前の殺人事件が交差しながら展開していく。テンポもよく、とても面白かった。あとがきをみると次回作もあるとのこと。期待。

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    2017年11月22日
  • 愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める

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    それなりに興味深く、悪者とされてきた感情をむしろ活用することを勧める書とされるが、これまでの行動経済学とのちがいがさほどみえず、焼き直し感があった。こちらの読解力の問題かもしれない。

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    2017年11月09日
  • さよなら、ブラックハウス

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    重かった 表紙の絵の雰囲気からは程遠い どろどろ展開

    大学生時代のフィンの行状があまりにもひどい 自分のイケメンに胡坐をかいてるクズ男 クズ過ぎる
    女は産んだら100%我が子だけど、男はDNA検査せんとわからんもんね ざまーw でも、このクズ男フィン、転んでもただでは起きない ラストでそうきたか… 

    乱暴者アンガスが障碍者カルムにまさかのリアルエンジェル対応 それも20年間毎週? いやいや、そんなことしてたらとっくに村中の噂になってるやろ おかしいって モヤモヤ

    伝統食文化を外野が抗議する 抗議団体の方々にお聞きしたい ”おめーらは霞でも食って生きてるのか?”

    当初はイギリスでは版元が

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    2017年08月02日
  • 愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める

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    行動経済学の本を読むと、感情で物事を決めるのはよくない風に書かれていることが多いが、この著者は、「賢い人は感情で決める」と説く。研究事例も多く、著者の体験も多く、楽しめるし、考えさせられる。

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    2017年07月13日
  • 渇きと偽り

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    まず邦題が秀逸だと思った。
    旱魃によってより一層疲弊してしまった田舎町・キエワラ。
    その町に20年振りに帰郷するアーロン・フォーク。
    「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた。」という手紙と共に。
    ルークの事件の真相、そして20年前フォークが町を出なければいけなくなったエリーの死の真相。
    過去と現在を行き来しつつ話は進む。
    ミスリードに嵌りなかなか真犯人がわからなかった。
    そして何回か登場する「火災の危険度→極度に高い」という表現。
    旱魃の水分がなく暑さだけが残るカラカラした風景、そして疲弊した町の人々の心中。
    読んでいてなんだかこちらまで疲れて来た。
    いつかこの町に纏まった雨が降れば良いのにと

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    2017年07月11日
  • 忘れゆく男

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    ここはどこだ、なぜ自分は家ではなくここにいる?重度の認知症のケアをする施設に入ったトーモッド。孤独な彼のもとを元刑事フィンが訪れる。フィンはトーモッドの娘の元恋人だった。その頃、泥炭地からは身元不明の遺体が発見されていた。被害者はトーモッドの血縁関係者だという。フィンは事件を調べ始めるが、明らかになったのは、家族も知らないトーモッドの秘密だった…忘れゆく男の記憶と想いをめぐるミステリ。

    前作「さよなら、ブラックハウス」も印象に残る作品だったが、今作はそれ以上かもしれない。スコットランドのルイス島の風景描写が今回も良い。そして実に切ない結末。

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    2016年04月11日
  • 報復

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    いやもうすさまじい。「ストリートキッズ」のリリカルな世界から遠く離れて、これは「犬の力」をしのぐ血と暴力にまみれた物語だ。

    元デルタフォース隊員の主人公デイブは、飛行機事故で妻子を失う。それはイスラム過激派によるテロだったのだが、政府により隠蔽され「事故」とされる。そのことを知ったデイブは「世界最強の傭兵チーム」とともに、自らの手で報復する決意をする。

    と、こういう紹介を読んで、これって政治的な陰謀がどうとか利権がどうとか、そういう話なのか(あんまり好きじゃない)とちょっと思っていたのだけど、いやそっち方面にはまったく行かない。ほぼ全篇、デイブと仲間たちが、テロリストを追い標的を追い詰めて

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    2016年02月27日
  • 報復

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    久しぶりのドン・ウィンズロウの邦訳。珍しいミリタリー・サスペンス。2014年の作品らしい。ストーリーは極めて単純であり、タイトルと冒頭を読んだだけで結末が予想出来る。ウィンズロウの過去の作品のレベルからすると、中の上くらいの評価だろうか。

    元デルタフォース隊員のデイヴ・コリンズは航空機テロで妻子を失う。絶望の淵から蘇ったデイヴは憎きテロリストを葬るため、元兵士らを集め、自ら闘いの中に身を投じる。

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    2015年12月29日
  • さよなら、ブラックハウス

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    寂しい島だった。だがそこには支え合った友がいた、愛し合った恋人がいた―エディンバラ市警の刑事フィンは、イギリス本土から離れた故郷に望まぬ帰還をする。惨殺体となって発見された島の嫌われ者をよく知っていたからだ。フィンは事件を解決し、島から出たかった。袂を分かった親友と別れた最愛の恋人に再会する前に。少年時代に経験した儀式「鳥殺し」の記憶から逃れるためにも…。息苦しくせつない青春ミステリ。

    風景描写が強く印象に残る。

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    2015年07月26日