青木創のレビュー一覧
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「世界の人々から選んだ任意の二人の距離は実はそう遠くはない」というスモール・ワールド理論を提唱した社会学者ダンカン・ワッツが、様々な場面における「常識」の持つ不確かさを説く。
邦題の「偶然の科学」というタイトルは少しわかりにくいと思うが、原題はこうなっている。「Everything is Obvious-Once You Know the Answer」、直訳すれば、全ては明白である-いったん正解を知ってしまえば。この原題のタイトルの方が遥かにわかりやすい。つまり我々は日常生活において、何かしらの判断を毎日行っていくが、その判断を後から振り返る-正解を知っている状態-と、あたかもその判断が自 -
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あのとき自分の気持ちを素直に言葉にできていたら、
失敗したとしても、お互いの思い違いを修正するため、追いかけて、追いすがってでも時間を作っていたら
ありえたはずの未来を、他人の家庭を見守るのではなく
自分の世界にできたはずなのに。
初恋の少女の思い出と面影、ありえたはずの未来。
捨てた故郷と過去、すれ違う馴染みで親友、
若き日に光を浴びる反逆者の挫折、
爪はじきにされた者の真相。
現在の殺人事件の謎解きとして読めば、
途中に散りばめられる仄めかしと、その否定でで、
ありがちな物語だが、本当に芯になるストーリーは
過去の(謎解きではなく)
彼が歩んだ大人になるために費やした時間、代償、
青春の挫 -
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良著でした!
原題は"Everything Is Obvious (Once You Know the Answer)"
『全ての未来は明白だ(答えを見た後ならば)』と言うと当たり前だが、知らず知らずのうちにこんなことにも気づかず、物事を理解した気になっていることがある。
同じ状況を何度も試せるならいいが、現実世界の多くの場合は一度きり。
予測することは本来不可能であることを認めなければいけないんじゃなかろうか。
ナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』や、ダン・アリエリーの著作に似たものを感じる社会派な一作。
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Memo:
p79
「Xが起こった -
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「悪の勝利に必要なのはただ……善人が何もしないことだ」(トルストイ『戦争と平和』)
9.11とアル・カイーダ殲滅作戦のあとのアメリカに、旅客機が落ちる。
テロであることをひたすら隠そうとする政府に対し、家族を失った元特殊戦闘員がプロの傭兵集団を使って独自にテロ組織を追い詰める。
ウィンズロウには珍しく、王道の冒険小説だ。
『ナヴァロンの要塞』など、個性的なメンバーを率いた戦闘物は、既にたくさんの作者に書かれている。
それでも、
「貪るように」、ドン・ウィンズロウの本を読む感覚は変わらない。
やはり、「アベンジャーズ的」なものは考えて読んではいけない。
これまでも、この後も、さまざまな小 -
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ネタバレ・あらすじ
インドのコルカタで警察をしていたが捜査したボリウッドスター殺人事件の結果懲戒されたカミル
ロンドンへ渡りインド料理屋のウェイターとして働いていたが、そこでインドの大富豪の殺人事件に巻き込まれて…
・感想
インド(とイギリス)舞台のミステリーは4冊目
インドの騒がしい雑多な町並み、スパイス香る独特な雰囲気が良い!
腐敗した警察組織はまぁどこでも有りがちだし、コルカタのスター殺人事件と大富豪殺人事件に巻き込まれたカミルの立場と最後の決断は中々考えさせられた。
過去の事件と現在の事件が交互に書かれ、どちらも話が進んでいく中で陰謀が発覚する。
謎解きは堅実なタイプで奇抜なトリックとかは -
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ネタバレシリアルキラーと検視官(本作では解剖学者か)の話はよくあるが、シリアルキラー側が簡単に検視官のプライベートに立ち入ってくるのがいつも嘘っぽいなあと思っている。
本作ではその点が最後のお楽しみみたいに構成されていて、すんなり驚かされてしまった。
2度目の驚きは結末だが、続編があるとはどこにも書かれておらず、こんな終わり方でよく本になったなと…いや、ちゃんと続編が予定されてるならいいんですけどね…。
あれだけの怪我を負った主人公が後遺症もなくトラウマもほとんどなく、という荒さはあるし、登場人物の背景もほとんど無いのは残念。
だが、殺人鬼の残虐さは魅力的だし、物語がすいすい進むので逆に枝葉がなくてよ -
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アレイナ・アーカート『解剖学者と殺人鬼』ハヤカワ文庫。
有料チャンネルの海外ミステリー連続ドラマのような大味な展開は読み易いと言えば読み易いのだが、読者を惑わそうとするような緻密な計算は見当たらず、ミステリーとしての面白さは希薄だ。
連続殺人鬼が解剖学者に突き付けた挑戦状。その対決の行方は……
ヒロインがかつて連続殺人鬼に拉致されながら、生き延びるというのは『ジェシカ・コラン・シリーズ』などでもお馴染みのよくある設定。そして、そして、寸分違わずの思った通りの結末。最初からシリーズ化を狙っているのが見え見えだ。
舞台はルイジアナ州ニューオリンズ。
冒頭から連続殺人犯のジェレミー・ロー -
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イギリス出身でオーストラリア在住の作家「ジェイン・ハーパー」の長篇ミステリ作品『潤みと翳り(原題:Force of Nature)』を読みました。
イギリスの作家の作品が続いていますね。
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CWA賞受賞『渇きと偽り』続篇!
企業の研修キャンプで森に入った同僚女性5人が遭難。
4日後にやっと森から出てきたとき、5人の中の一人、「アリス」が忽然と消えていた。
手がかりは、連邦警察官「アーロン・フォーク」の携帯電話に残された、「アリス」からの「あの子を苦しめて……」というボイスメッセージ。
遭難か、事件か。電波の届かない森の中で、何が起こったのか。
オ -
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ネタバレインドを背景としたミステリー小説は初めて。
異なる舞台や時系列を行き来する構成はたまにあるけど、自分はあまり好みじゃない。話に引き込まれてきたタイミングで中断されちゃうし、前の話を思い出すのが若干負担に感じる。
でもこの話は、そこまでストレスなく読み進められたかも。わりとこまめに場面が切り替わってたし、中盤くらいから話が密接に繋がって、登場人物も共通してきたからかな。
インド警察として格闘する主人公の悩みや葛藤を興味深く読んだ。
全体的に、話の結末や登場人物の会話内容とか、とにかく現実的。「正義とは何か」ってテーマは重いよね。主人公がまだ若くて未熟なせいか、悟り方もいまいち納得感ないし、結