青木創のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「世界の人々から選んだ任意の二人の距離は実はそう遠くはない」というスモール・ワールド理論を提唱した社会学者ダンカン・ワッツが、様々な場面における「常識」の持つ不確かさを説く。
邦題の「偶然の科学」というタイトルは少しわかりにくいと思うが、原題はこうなっている。「Everything is Obvious-Once You Know the Answer」、直訳すれば、全ては明白である-いったん正解を知ってしまえば。この原題のタイトルの方が遥かにわかりやすい。つまり我々は日常生活において、何かしらの判断を毎日行っていくが、その判断を後から振り返る-正解を知っている状態-と、あたかもその判断が自明のことであったかのように錯覚してしまう。このような人間の思考パターンは様々な種類があるが、そうした思考パターンの持つ危険性をダンカン・ワッツは明らかにする。
本書が扱う人間の思考パターンの癖は様々な種類に及んでおり、世界に対する新たな視点を与えてくれる。なおかつ、語り口は極めて平易でユーモアにあふれており、一級の知的興奮を与えてくれる充実した一冊。 -
Posted by ブクログ
あのとき自分の気持ちを素直に言葉にできていたら、
失敗したとしても、お互いの思い違いを修正するため、追いかけて、追いすがってでも時間を作っていたら
ありえたはずの未来を、他人の家庭を見守るのではなく
自分の世界にできたはずなのに。
初恋の少女の思い出と面影、ありえたはずの未来。
捨てた故郷と過去、すれ違う馴染みで親友、
若き日に光を浴びる反逆者の挫折、
爪はじきにされた者の真相。
現在の殺人事件の謎解きとして読めば、
途中に散りばめられる仄めかしと、その否定でで、
ありがちな物語だが、本当に芯になるストーリーは
過去の(謎解きではなく)
彼が歩んだ大人になるために費やした時間、代償、
青春の挫折として読むと、とても胸が苦しくなる。
HMとあるが、ミステリーではなく、
きわめて感傷的(で、自分の好物)な青春小説です。
自分はストレートだと認識しているが、
かなり早いうちにソレがらみが鍵になると嗅ぎつける
自分の感覚が悩ましい。 -
Posted by ブクログ
良著でした!
原題は"Everything Is Obvious (Once You Know the Answer)"
『全ての未来は明白だ(答えを見た後ならば)』と言うと当たり前だが、知らず知らずのうちにこんなことにも気づかず、物事を理解した気になっていることがある。
同じ状況を何度も試せるならいいが、現実世界の多くの場合は一度きり。
予測することは本来不可能であることを認めなければいけないんじゃなかろうか。
ナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』や、ダン・アリエリーの著作に似たものを感じる社会派な一作。
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Memo:
p79
「Xが起こったのは人々がそれを望んだからだ。人々がXを望んだとなぜわかるかというと、Xが起こったからだ」
p138
これらは結果そのものがわかってからはじめて組み立てられる主張なので、ほんとうに説明になっているのか、それとも単に事実を述べているだけなのかけっしてわからない。
p141
現実には同じ実験を二回以上おこなうことはけっしてできない。
p143
あと知恵バイアス
p144
サンプリングバイアス
p221
しかし、予測モデルの批判者がよく指摘しているとおり、われわれが重視する結果の多くは、通常時でないからこそわれわれの興味を引く。
p237
経営理論家のヘンリー・ミンツバーグは、従来の戦略計画では、計画者はどうしても未来の予測を立てなければならず、誤りを犯しやすくなるという問題を熟考し、計画者は長期的な戦略動向を予測することよりも、現場の変化に迅速に対応することを優先すべきだとすすめた。
p248
「予測とコントロール」から「測定と対応」への変化は、テクノロジーのみにかかわるのではなく心理にもかかわっている。未来を予測する自分たちの能力はあてにならないと認めてはじめて、わえわれは未来を見いだす方法を受け入れられる。
しかしながら、測定能力を向上させるだけでは、必要な情報が得られない状況も多い。
(測定だけで終わらせるな、実験せよ)
p253
重要になってくる唯一の広告は、境界線上の消費者、つまり製品を買ったが、広告を見ていなければ買わなかった人を動かす広告である。この効果を見極めるには、広告を見る人と見ない人を無作為に決めた実験をおこなうしかない。
p258
学者や研究者が因果関係の細かな点を論じ合うのは結構だが、政治家やビジネスリーダーはしばしば確実性が欠けた状態で行動しなければならない。
p269
自分の心臓を止めることができないのと同じで、常識に基づく直観を抑えることはできない。しかしながら、常識にあまり頼らず、測定可能なものにもっと頼らなければならないと覚えておくことならできる。
p277
ハロー効果(後光効果)
p280
問題は、結果から過程を評価するのがまちがっているということではない。たった一度の結果から過程を評価するのはあてにならないということである。
p287
金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人はさらに貧乏になる
p318
いったいなぜ、そのすべてが説明可能な一連のルールを書き出せるなどとおこがましくも考える者がいるのだろうか。
p329
実社会はそのような法則におそらく支配されていない -
Posted by ブクログ
「悪の勝利に必要なのはただ……善人が何もしないことだ」(トルストイ『戦争と平和』)
9.11とアル・カイーダ殲滅作戦のあとのアメリカに、旅客機が落ちる。
テロであることをひたすら隠そうとする政府に対し、家族を失った元特殊戦闘員がプロの傭兵集団を使って独自にテロ組織を追い詰める。
ウィンズロウには珍しく、王道の冒険小説だ。
『ナヴァロンの要塞』など、個性的なメンバーを率いた戦闘物は、既にたくさんの作者に書かれている。
それでも、
「貪るように」、ドン・ウィンズロウの本を読む感覚は変わらない。
やはり、「アベンジャーズ的」なものは考えて読んではいけない。
これまでも、この後も、さまざまな小説を繰り出す、ウィンズロウの物語たちのことは、巻末にある杉江松恋氏の解説で良くわかる。
色々楽しませてくれる、やはりお気に入りの作家です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
インドのコルカタで警察をしていたが捜査したボリウッドスター殺人事件の結果懲戒されたカミル
ロンドンへ渡りインド料理屋のウェイターとして働いていたが、そこでインドの大富豪の殺人事件に巻き込まれて…
・感想
インド(とイギリス)舞台のミステリーは4冊目
インドの騒がしい雑多な町並み、スパイス香る独特な雰囲気が良い!
腐敗した警察組織はまぁどこでも有りがちだし、コルカタのスター殺人事件と大富豪殺人事件に巻き込まれたカミルの立場と最後の決断は中々考えさせられた。
過去の事件と現在の事件が交互に書かれ、どちらも話が進んでいく中で陰謀が発覚する。
謎解きは堅実なタイプで奇抜なトリックとかは無かったけど犯人めっちゃ意外だった…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリアルキラーと検視官(本作では解剖学者か)の話はよくあるが、シリアルキラー側が簡単に検視官のプライベートに立ち入ってくるのがいつも嘘っぽいなあと思っている。
本作ではその点が最後のお楽しみみたいに構成されていて、すんなり驚かされてしまった。
2度目の驚きは結末だが、続編があるとはどこにも書かれておらず、こんな終わり方でよく本になったなと…いや、ちゃんと続編が予定されてるならいいんですけどね…。
あれだけの怪我を負った主人公が後遺症もなくトラウマもほとんどなく、という荒さはあるし、登場人物の背景もほとんど無いのは残念。
だが、殺人鬼の残虐さは魅力的だし、物語がすいすい進むので逆に枝葉がなくてよかったのかな。 -
Posted by ブクログ
アレイナ・アーカート『解剖学者と殺人鬼』ハヤカワ文庫。
有料チャンネルの海外ミステリー連続ドラマのような大味な展開は読み易いと言えば読み易いのだが、読者を惑わそうとするような緻密な計算は見当たらず、ミステリーとしての面白さは希薄だ。
連続殺人鬼が解剖学者に突き付けた挑戦状。その対決の行方は……
ヒロインがかつて連続殺人鬼に拉致されながら、生き延びるというのは『ジェシカ・コラン・シリーズ』などでもお馴染みのよくある設定。そして、そして、寸分違わずの思った通りの結末。最初からシリーズ化を狙っているのが見え見えだ。
舞台はルイジアナ州ニューオリンズ。
冒頭から連続殺人犯のジェレミー・ローズが2人の被害者を監禁するシーンから物語は始まる。狡猾で極悪非道なジェレミー。一体何故、ジェレミーが普通の人を拉致し、弄んだ末に殺害するのかは一切明かされない。
一方で法医病理学者のレン・マラーがジェレミーによる犠牲者と思われる遺体を解剖するシーンが描かれる。犯人が作為的に遺した『食屍鬼』というタイトルのペーパーバック。勿論、レンには犯人の正体は不明で、遺体に遺された痕跡から犯人の正体に迫ろうとする。
ジェレミーとレンの2人の視点で交互に綴られ、ストーリーは展開していく。ジェレミーを追い詰めたと思ったレンだったが、逆に追い詰められていることに気付き、愕然とする。
本体価格1,360円
★★★