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Posted by ブクログ
▼「葬られた勲章」上下、リー・チャイルド。初出2009年。青木創訳、講談社文庫。リー・チャイルドさんの名探偵ジャック・リーチャー・シリーズの第13作。このシリーズは見事なまでに「どの話から読んでも楽しめる」ように作られているので、第何作というのがあまり受取手には意味が無いんですが。
▼導入はエンタメとして非常に素敵でした。ニューヨーク、深夜の地下鉄。リーチャーは自分の目の前の女性が「自爆テロを行う人物の特徴」を全て兼ね備えている佇まいであることを見て取って、声をかける・・・。するとその女性は突然拳銃で自分の頭をぶち抜いてしまい・・・。その女性は国防省で働いていた。
▼毎度同じくなんですが、リーチャーと個人的には全く関わりなくとある陰謀が進行している。そこに途中から「予想不能偶然因子」としてリーチャーが乱入してきて、目の前のてがかりからじわりじわりと真相に近づいていく。このあたりのミステリ構造は「新宿鮫」だってチャンドラーだってそうなんです。この黄金パターンは分かっていても楽しめるんでしょうね。
▼このシリーズの特色は、割とこの「葬られた勲章」が典型かもしれませんが、そこに国家安全レベルの闇が関わってきます(主人公が元軍人ですからね)。そして途中も、クライマックスも、血まみれのバイオレンスアクションで、それこそがリーチャーさんの十八番だ、という。
▼ネタバレですが、最後はマンハッタンの夜を「異国テロリスト」たちとリーチャーさんの孤高の対決になって、一応は当然ながらハッピーエンド。ただアメリカの国際的な「正義」という宗教自体はリーチャーは別段信じちゃい無いという虚無を残して非常に個人的な解決で終わっていきます。さすが、作者がイギリス人。
▼それにしてもこのシリーズのもうひとつの特色は、原題が「どの作品がどのタイトルでも全然構わないものになっている」こと。邦題の方がまだしもです。この作品はGone Tomorrowですが、他にもThe Enemy,Worth Dying For,Die Trying,Nothing To Lose…などなど。このあたりも意図的に「具体的過ぎないほうがいい」という007の映画的な論理があるのかしらん。
Posted by ブクログ
深夜、ニューヨークの地下鉄。ジャック・リーチャーの目前で絶命した女は、国防総省に勤める民間の事務員だった。事情聴取を終えて、弟の警官と死の真相に迫ると、副大統領候補への指名も噂されているサンソム下院議員の存在が浮かび上がる。謎が謎を呼ぶ展開に一気読み必至の傑作アクション・サスペンス。
あいにく、シリーズ第1作しか読んでいないのだが、マイクル・コナリーと一緒に並んでいたので、購入。これは当たりかもしれないと思いつつ、下巻へ。