「カルテル」を先に読んだけど、こちらの方が先に執筆されていたらしい。・・・なるほど。
妻子をテロで失った男性の復讐劇、と言えば凡庸に聞こえるがそこはドン・ウィンズロウ、あまたある同様の作品レベルを遥かに超えている。
傭兵部隊を組織しテロリストたちと戦う、という設定はアリステア・マクレーン(よりフレデ
...続きを読むリック・フォーサイス?)、ウェットな主人公の心情描写はジャック・ヒギンズを思わせる部分もある。
しかし、歯切れよく展開される物語はまさしくウィンズロウ節炸裂。特にアクションシーン(冒頭の飛行機テロの描写の恐ろしさ!)はスローを交えたような演出が目に浮かぶようにリアルだし、何より現代の近接戦闘戦のリアルな戦い方に手に汗握る。本当によく勉強もしている!
序盤で出てくる、”薬物とテロリズムは、21世紀の戦争というメニューの、スープとサンドウィッチだ”という文章がこの作品の執筆動機でもあるし、それがのちの大作「カルテル」に繋がってもいる。
しかし、(一部の例外を除いて)シリーズものを敢えて避けながら毎回このレベルの作品を、しかも精力的に執筆してくれるのは本当にありがたい!
この作品も「犬の力」&「カルテル」も視覚的な作品だから是非映画化してほしい。
一昔前だったら、ジョン・ミリアス監督、今だったらデビッド・エア監督あたりがいいかな?