マイケル・サンデルのレビュー一覧
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けっこう前に出た本だが、普遍的なテーマを扱っているので、今読んでもいろいろと考えさせられる。
これまで価値のなかったものに値段がつけられ、需要と供給が生まれたケースは、今も増え続けていると思う。
本の中で扱われた列への割り込み、命名権などは、今日本でもそれほどの忌避感もなく受け入れられているような気がするし、自分自身、ユニバーサルスタジオでファストパスを買うことや、映画館で少し高い値段を払って周りの人が気にならないボックス席をとることを、それほど疑問には思わずに過ごしている。けれど、それがもともと無料の、慈善事業コンサートなら同じことは思わない。似た事柄でありながら、その溝は以外に深い。裏を返 -
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ネタバレ哲学ってなんやねん…小難しいし何の役に立つねん…私には無理無理!
って思っている人におすすめ。
初めから、ものすごく分かりやすい例を挙げて、この場合はどう?どっちが正しい?とサンデル教授がハーバードの学生相手に討論を繰り広げていく。
ハーバードの学生のレベルがすごいんで、まず、よくこんなこと理路整然と発言できるなぁと感心せざるを得ない。
結論、1+1=2みたいな答えはないんだと思う。
哲学にはいろんな宗派みたいなものがあるし、考え方も違う。ただ、この問題をどう考えていくのか、今の世界や政治ができているこの過程も、ものすごく哲学の影響を受けているんだなぁと。
哲学を身近に感じられてすごく -
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「実力も運のうち」が面白かったので、サンデル教授の過去本を読んでいます。
お金と道徳という問題。お金で買う・売るという行為が入ってくることで、道徳的な「善」が失われてしまう。
腎臓、幼児、入学試験、爵位、スポーツ選手のサインなどなど。名誉とされるものも売買対象になると。。。
チケットを転売する。腎臓を売る。物事の解決策として「市場」を用いる経済学者。経済学的には全員がハッピーだが、人間の道徳・心では引っかかる。。
その引っかかる部分を主張すると古いと言われてきたのが、この30年、市場万能の新自由主義時代だったのかと思いました。この市場万能主義に翳りが見え、最後の学歴万能への警鐘が、新刊「実力も -
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「ハーバード白熱教室」「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サランデルの経済と市場と倫理の話
何度も読み返したり、読み直したり、考えたりしすぎてなかなか読み終わらなかったけどやっと読み終えた~というか読んだだけなのかもしれん。
私たちの生活に密着した「市場主義」
世の中にお金で買えないものはない?ある?
買えるもの
・刑務所の独房 1晩82ドル
・インドの代理母による妊娠代行サービス6250ドル
・絶滅の危機にあるクロサイを射撃する権利15万ドル
・主治医の携帯電話の番号 年に1500ドル~
あとは、逆にもらえる方法
・ダラスの学校で1冊本を読むと2ドルもらえる
・体のどこかに広告 -
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【感想】
われわれはなぜ転売ヤーを疎ましく思うのだろうか?
転売ヤーへの批判は、主に次の2通りに分けられる。
1つ目は、転売を挟むことで価格がつり上がり、供給者から転売ヤーに利潤が吸い上げられているという批判。2つ目は、転売によって本当に欲しい人に品物が届かなくなるという批判だ。
しかし、この2つとも有効な批判とは言えないだろう。
1つ目の批判に対しては「自由主義的」な観点から擁護できる。モノを売る会社の一方的な値付け価格では、市場価値が正確に反映されていない。買い手の需要と売り手の供給とが合致した結果としての「転売価格」が、むしろ正統な値段であるという擁護だ。
2つ目の批判に対しては、「 -
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2012年の作品。「これからの正義の話をしよう」が大ベストセラーになった、サンデル教授の1冊。こちらも面白いですね。
行きすぎた市場主義。本来は道徳的に、社会規範的に取引の対象になってはいけないはずの物事にまで、市場主義の影響が及ぶ。取引可能な汚染許可証、貴重な野生動物の狩猟権、血液や臓器の売買、公共財の命名権、生命保険の売買によって人の死までもが取引の対象に。。
リーマンショックで、行き過ぎた市場主義に警鐘が鳴らされたはずなのに、トランプ政権的な流れの中でまた、社会正義は軽視されるようになり、そしてまたバイデン政権で揺り戻しが起きようとしている。サンデル教授は、どこまでが市場主義が入って -
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1.最近になってますますお金の重要性が増してきた現代ですが、豊かな人ほど「お金は必要ない」と言っています。なぜここまで貧富の差が激しくなったのか、なぜお金が人の心を惑わせてしまうのかが気になったからです。
2.市場主義が浸透し、すべてが市場原理に委ねられ始めた昨今ですが、それに伴って大きな問題が2つあります。まず、公平性の問題です。本書では行列に並ばなくてもプレミアムを払うことで先に行けるシステムが導入されています。それによって、金銭に余裕がある人は進んでそれを支払うことで、生活に余裕を持たせていきます。一方、貧しい人は永遠に待つことになります。これにより、本来は業道で会ったシステムが崩れて -
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帰結主義者は行為の帰結に道徳性を求める。
行為の帰結ではなく、行為の内在的な性質が道徳的に重要と考えるケースもある。
懐疑主義=道徳に関する議論は無駄。しかし理性はそこに留まれない。
費用便益分析は功利主義の理論を実践したもの。
ジョンスチュアートミル=満足したブタより不満足な人間がいい。
リバタリアリズム=自由原理主義。個人の自由が重要と考える。家父長主義(パターナリズム)は不当と考える。シートベルト、道徳的な立法、分配は認められない。自己所有の原理=功利主義が破綻した理由。
フリーライダーを防ぐためには、最小限国家になるべき。
アーカンソーの「セーラム消防会社」
民主政治と衆愚政治 -
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大学で哲学を専攻しようものなら、周囲の人に「なんの役に立つの?就職できるの?」と心配される……
若い頃は哲学に対して、そんな印象が強かった。
思考をこねくりまわすのは嫌いじゃないので、一般教養の授業はけっこう楽しかったが、この年になって、
「哲学は、すべての社会の基本である」
ということが、ようやく腑に落ちるようになった。
サンデル教授の「政治哲学」の講義は、私たちが古代ギリシアの時代から哲学とは無関係に生きられなかったのだと、圧倒的な説得力をもって教えてくれる。
ハーバードや東大の優秀な学生さんみたいに、全部が全部ついていけるわけではないけれど、自分もこの社会の、そして哲学の主体者であるとい -