有間カオルのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ハーブが人の心を救う
人生ハードモードな中学生の物語。
母を亡くした不倫の子で、親族からたらい回しにされる勇希。夏休みに一時的に伯父の家を離れなければならなくなり、その間は疎遠な別の伯父の家で暮らすことになる。
家族から愛されることがなく、嫌われて追い出されないよう、人の顔色をうかがう癖がついている勇希の姿には胸が痛くなる。
ところが、身を寄せた伯父はとても優しく、勇希の心はほぐされていく。
その伯父は魔法使いを名乗り、勇希に魔法の修行をすることを求める。伯父は勇希の「先生」となり、ハーブのことなどを教えてくれる。
舞台はハーブティーのカフェ。
様々な問題や悩みを抱えた人との出会いがあり、ハーブの力や先生の人柄の良さなどで解決へ導いていく。
物語には種々多様なハーブが登場し、文章を読んでいるだけでハーブの香りが鼻腔をくすぐるような心地よさがある。
ほっこりとしたヒューマンドラマかと思いきや、終盤にはドラマチックな展開も待つ。
カフェや畑の情景描写も綺麗で、読んでいて楽しい作品だった。 -
Posted by ブクログ
✾忘れ物は絵本の中に
✾有間カオル
✾実業之日本社文庫
ーーーーーー
貴方を作ってきた、
大切な絵本。
それはどんな1冊ですか??
ーーーーーー
私は『腹ぺこあおむし』かもしれません。
母がいつも保育園の時の私の話をするときに、
“ちょうちょになりましたって変身したのよ”と懐かしそうに話します。
私は覚えてないんですけどね(笑)
でもきっと私にとっては大切な絵本なんだと思います。
そんな、腹ぺこあおむしも本作に登場します☆
ーーーーーー
“これは子どもの美しい成長を願って描かれた絵本なのでしょうか”
“からっぽだった私の中が埋められていく。私は大丈夫。多分大丈夫。卵の殻だとしても。”
ーーーーーー
絵本1冊に込められた、
一人の人生。
人の思い。
どうぞページを開いて、
覗いてみてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家族っていうのはチームなの。お互いをフォローすべきなの。
母は恥をかいたと、一週間口をきいてくれなかった。深海に沈んだような一週間は、今でもはっきり覚えている。暗くて、冷たくて、重くて、誰もいない闇。
言うことを聞かないと、迷惑をかける。みんな不幸になる。
ただ心配しているだけよ。あなたのことを想っているから、心配しているのよ。
何度も言われ続けているうちに、自信がどんどん削られていった。
これは子どもの美しい成長を願って描かれた絵本なのでしょうか
作者の意図など、深く考えたことがなかった。アオムシがいろんなものをどんどん食べていく姿を見るのが楽しかった。
からっぽだった私の中が埋められていく。私は大丈夫。多分大丈夫。卵の殻だとしても。
ただ記憶を忘れるとか、覚えられないというだけでない。これは脳の病気。本来なら抑えられる怒りや悲しみなどのストッパーも壊れるのだと。
本心じゃない。ずっと抑えていたイラつきが爆発しただけだ。言葉のアヤだった。
おじいちゃんはよく絵本を読んでくれたよね。絵本を読んでもらっていた時の、幸せな気持ちは覚えている。
絵本そのものが、子ども時代に忘れてきたものを取り戻すための場所なのかもしれない -
Posted by ブクログ
装丁とタイトルが気になって取った一冊でした。
登場人物が絵本により、ある人は忘れていた幼少期の無邪気さや勇気を取り戻し、ある人は子供の頃の夢を取り戻していた。
絵本とは、幼少期に読むことで情操教育につながる。だが、それだけではない。これからの人生を時に彩り、導き、そして救ってくれる。そういう力もあると思った。
自分も幼少期に読んだ『バムとケロ』シリーズを久しぶりに読んでみたら、思い悩んで進めなくなっている自分が馬鹿らしくなってきた。
子供の頃の純粋な好奇心や感情によって動いていたこともオトナになって失いつつあったが、どうやら絵本から取り戻せそうだ。