あらすじ
中学校の卒業式を終えた日、ひと気のない海辺で自殺を図った少女・琥珀。
次に意識を取り戻した彼女が目にしたのは、会ったこともない赤毛で身体の大きな男性。「ここは、あの世?」と困惑する琥珀に、子供のように無邪気な笑顔を浮かべた男は、自らを「アルケミスト」(=錬金術師)だと名乗る。
彼から「ホムンクルス」だと紹介された白髪の青年・月読を含めた三人で不思議な共同生活を送ることになった琥珀は、次第に、その頑なな心を溶かしていく……。
『魔法使いのハーブティー』の有間カオルが新たに贈る、美しくも切ない感動の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自殺を図った中卒の女の子が、自称錬金術師の男の人に拾われて救われるお話
そこにはホムンクルスと紹介された色素の薄い月読という男の人も住んでいる
なんだこの僕の好きな設定満載の話は
タイトルと冒頭はファンタジーっぽいのに、内容はリアル路線
「魔法使いのハーブティー」と同じように、錬金術といっても現実でできるもの
錬金術師のファウストは物質の錬金の先のステージ、魂の錬金という表現をしている
魂の錬金って、エドとアルが聞いたらどう思うんだろうな(笑)
やってることは詐欺師の手口なんだけど、それでも人が救われるからいいよな
まぁ、お守りや占いと同じように、対象者が事象の要因をそれに帰結するのであればそれは本物ってことでいいんじゃなかろうか
同じものでも一般的な価値と、自分にとっての価値は違う
大事にしてきたものや想い入れのあるものは、たとえ他の人にとって価値はなくともそれでいいんだよな
作中でもファウストが言っている
『愚かな凡人たちは宿っている魂を見つけることができず、無慈悲に物を捨ててしまう。ここにある物は、かつては誰かの宝物で、誰かを勇気づけたり幸せにしたり悲しみを溶かしたりしていた美しく輝ける魂を持った物なのだ。吾輩は黄金に輝く魂を取り出して、錬成し、新しい金に生まれ変わらせるんだ。これが現代の錬金術師の尊い仕事さ』
娘が子供の頃にくれた石とかアクアビーズを今でも持ってるけど、将にこれだね
あと、自分で作ったいびつな陶器とかね
かつて少年だった人の話もよかった
笑うことは免疫を高めるってのもある意味で正しいしね
それを詐欺と呼ぶのか錬金術のおかげとするのかは本人次第
あと、琥珀は明日香と出会えたんだろうか?
月読が終盤にぽろっと漏らした過去
その情報バラす必要ある?(笑)
むしろ本当にホムンクルスという可能性も残しておいてもよかった気がするけどね
どうせ拓海くんの件で推測できるだろうし
それにしても、有間カオルは毒親からの離別をテーマにでも掲げているのか
最近読んだ3冊は主人公が親や保護者のせいで不遇な境遇なんだけど……
読み終わってから気づいたんだけど、ファウストって言ってしまえば中二病ってことか……?
いい年こいて錬金術師を名乗って一人称が吾輩とか
まぁ、ハリポタのスネイプ先生もそうだけどね
そう考えると、かなり微笑ましい光景だな(笑)
Posted by ブクログ
日常生活のいろんなことを通して人が成長して行く過程を錬金術という表現に間違っていないし素敵だと思いました。そして、辛いことがあった時に周りに助けを求めることが大切で世の中 案外手を差し伸べてくれる人もいて、なんだかんだやっていけるんだなと人生の希望みたいなものを見せてくれた作品でした。 そして、人との出会いの大切さ、どんなに辛くても生きていれば何か変わっていく、現状は少しの勇気と行動で変化を起こせるという形で生きていくこと、命の大切さを教えられた気がします。 アルケミストの世界に浸れるいい本でした。
Posted by ブクログ
中学校の卒業式の後、海辺で死んだはずの琥珀。
気づいたら、赤毛の大男の元にいた。
錬金術師(アルケミスト)と名乗る彼と、彼が錬金したという白髪の青年、月読。
三人での生活が始まった。
重い。琥珀の背景が重くて、周囲がいやらしくって。
でもきっと、何処かに存在してることで。
博士と月読とのピントの外れた日常がどんよりした気持ちを浮上させるものの…。
この作家さんの本は主人公がどうにも理不尽な目にあうので、凹む。
ヒロインが不幸な環境から、常識外れた環境で再生していくおはなしを続けて読んだなあ。しばらくいいかなあ。
それでも、博士の錬金術師の腕は確かで、かつての少年の日記は素敵なお話だった。