宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
う~む。マジで誰か解説してほしい。主要人物の心情や言動の脈絡がわからないというか、矛盾を感じるというか、最後は???の連続でした。期間をおいて読んだので、理解が足りなかったか。
・株買い取りは秘密裏のはずが、地下室を暴露するとはどういう料簡?
・父はいつ知った?知った後の心の変化の軌跡は?あと無口になった理由も理解できず。
・母の真意は?最後の驚愕の事実との関連性は?二重取り?(これ一番のなぞ)猫?
・主人公は少し激しすぎやしないか?(笑)
・姉をそそのかしたのは?自ら?正体は猫?蛇?
・刑事はなぜわかったのか?勘?(笑)
などなど、他にもありますが・・・、ネタバレにならないように奥歯に挟まった言い方になりました。すみません。
最初は昼メロ調で、少し萎え気味になったが、3章の出来事からミステリー調となり俄然面白くなって猛烈に読み進めたが、ミステリーとしては失速した結果だったように思う。そのまんまだったから。小説としてエロス的表現にはぞくぞくきました。(笑)
情感あふれる記述とテンポの良い展開はとても良かったが、肝心なところでミステリーでありがちな直截的でない描写の手法がそのまま放置されてしまった感があり、説明不足の思いを強くしてしまった。そのため「狂気」「魔」を描いたとはいえ、現実感のなさが目立ったような気がする。
これはひょっとして作品としては失敗作なのでは・・・という感が強い現在です。自分の理解不足もあるので、暫定、星3つです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ長らく読んでいた宮本輝さんの「人間の幸福」
やっと読み終わりました。
内容や展開とタイトルがどう繋がって行くのかが
中盤くらいまでは読めなかったのですが
最後までたどり着いてみると作者の言わんとすることが
分かってきたような気がします。
うちの母はよく夜に車で走っていると
こんなことを言っていました。
あの家一軒一軒にそれぞれの家庭があり、暮らしがある。
窓から灯りが洩れているのを見ると
その家族の生活を想像してしまう。と…
ひとつとして同じ家族の生活はなく、
ひとつとして同じ人生はなく、
当たり前なのですが人生感も価値感も恋愛感も性癖も違う
人間が何億とこの世で生きているのです。
だから幸福のあり方がひとりひとり違うのも当たり前なのです。
あなたは幸福という言葉でどんな風景を思い出しますか?
本当の幸福というのは目に見えるものではない、
その人の世界感の中での価値。
この話の中でダウン症で二十歳の娘を亡くした
喫茶店のマスターが言う。
「人間から誇りってものを奪っちゃいけない。
どんな人間にも誇りってものがあるんだ。
それを奪うのは、命を奪うのとおんなじだ。
でも、誇りってのは、少しでも正義をおこなわない人間には
無縁のものなんだ。」
そしてこの本の主人公は気づく、誇りと自尊心は違うのだと…
難しいテーマだが、幸福というものは一通りではないと、
人の数だけあるものなのだと。
それは他人には理解できないものであったとしても…
話の最後、主人公が外で仲間と酒を飲んでの帰り、
浮浪者に出会う。
浮浪者は家財道具を荷車に積んで犬を連れて通りかかり、
主人公は残った酒をこの男にやるのだが、
その様子は宛てもなくさまよっているのではなく、
明確に目的に向かってるという強さが感じられた。
とある。
まさにこれは各個人の幸福の感じ方の違いを
表しているのではないかと思う。
あとがきで作者がこう書いている。
これを書いているときに関西に震災が起き、
家族の無事を確認した後テレビを見つめていたら
奇妙な妄想のようなものに取りつかれたと…
地震は不慮の出来事だったかもしれませんが、
そのあとの救援の遅れは何か大規模な企みではないかと…
経済とテクノロジーの大国の指導者たちが、
何千人もの人々がいま死につつあるとき、
力強い行動を起こそうとしないのは、
その裏に何か企みがあるとしか考えられなかったのです。
~中略~
この国は民衆を侮蔑する国だと思いました。
これほど民衆から誇りを奪って平気な国はない、と。
そうすることで、国そのものの誇りさえも
売り払っていくのであろう、
いや、すでに売り払ってしまったといってもいいのかもしれない、と。
作者のこの時の怒りがこの小説を人間の誇りと正義という方向に
向かわせたようです。
読み進むと後半部分は何かを訴えかけるような力強さを感じたのもその為かもしれませんね。 -
Posted by ブクログ
ちょっと読みにくかった。男性の自殺に絡んで、謎の女性を追いかける、というのが話の筋。けれど、この作品は謎解きについては熱心ではない(?)、というか、そこに主眼を置いている作品ではないです。謎の女性を追う、という点で同じような筋で東野圭吾さんの『白夜行』と、宮部みゆきさんの『火車』を思い出した。ある意味、ありふれたプロットなのかもしれない。けれど、この作品は謎の部分については結局わからないままで、むしろその謎の女性、塔谷米花に関わった人々の過去と現在に焦点をあてています。なので、ミステリー的なエンターテイメント性はあまりないです。これは、自分が作者に肩入れしすぎなのかもしれないけれど、ある側面から見るとこの作品はすごくリアルなのかもしれないなぁと思いました。結局、自殺した男性、加古慎二郎の自殺した動機と謎の女性、塔谷米花の内面は作者の手で描かれないのですが、それが却って、この二人の存在がリアルに感じられるのです。人が生きる理由、死ぬ理由なんて周りの人間にはわからないし、当の本人にとってもはっきり言葉にできるものとも限らない。死なれてしまった周囲の人間はその人と関わった過去の出来事をかき集めるしかないのかな、と。