飯田哲也のレビュー一覧
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東電も官僚も銀行も、自分の利益を守る。強引に狡猾に、また愚直に。法律の例や前福島県知事の例などから強く感じた。
感情ではなく事実から判断しないといけないということも学んだ。二項対立で、自分の陣地から抽象しているだけではどこにも進めない。国や大手マスコミが流す大本営発表に対し、フリージャーナリストの方々が情報集めて流し、一般市民がSNSで情報を収集できる現状はだいぶよくなったと思う。次は我々が自分の問題として自分の考えを持つこと。
欧州の経過や現状との対比から、日本の問題点を洗い出している点は興味深い。正直なところ私には内容が難しく、かなりの割合で理解できていないのが残念だが、、、
エネルギー安全保障という点では、ウランの埋蔵量は少ないかもしれないが、複数に分散しておくという利点はあると思う。実用できないので意味はないが、再処理は資源に乏しい日本としては望んだ夢であり、また儚い夢であった。 -
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大震災の後、トータル的に自然エネルギーについて語れる人はこの人しかいないという状態になって、ずーとマスコミに出っ放しになっている飯田哲也氏の震災後初めての本になった。時間がないから対談本になっているのは仕方ない。いつかきちんと整理した自然エネルギーシフトへの啓蒙書を出して欲しいと思う。
対談相手は、私は初めてだが、社会学者の宮台真司氏。氏によっておそらく今回の対談は歴史的な広がりを持った。今回の原発問題が、何度も繰返してきた日本の社会システムの過ちをまた繰返していることが明らかになった。歴史の教訓からどのように未来デザインを描くのかをある程度は示した。
今回の原発問題が、戦前の大本営の失敗の歴史的教訓をそのまま繰返していることには気がついていたが、その問題の本質に「官僚問題」があり、それは幕末から続いていることについては、今回初めて知らされた。
またびっくりしたのは、お二人とも私と同世代の1959年生まれ。大学入学時代には、しらけ世代全盛期で、その中で違和感を感じ、(身動きが取れなかったのは私だけだろうけど)人生を模索しながら生きて来たことに共感を覚えた。
飯田氏は特に理工系の学部に進んだけど、今西錦司ゼミの学生と付き合う中でどうも鍛えられたらしい。表立っては行動に移せないけど、議論だけはする雰囲気があった。それが後々、原子力村の中枢に入っても違和感を覚えてそこをステップに次ぎに移る素地になったようだ。
以下、幾つかなるほどと思ったところをメモ。
●【宮台】日本は、政治が主導的だった時代は明治維新以降、ほんの僅かな間しかなく、長く見積もって明治はんばぐらいまでしか続かなかった。それ以降は役人の力が巨大な官治主義が続きます。(略)大正になると政党政治つまり民治主義になるけど、政友会と民政党の政党争いの末、政友会が民政党浜口内閣のロンドン軍縮条約締結を統帥権干犯として批判したのを機に、軍官僚が総てを握る。(略)政治家と行政官僚はどこの国でも対立するわけですが、日本では圧倒的に政治家が弱く官僚が強いわけです。政治家の活動の余地は単なる利権の調整しかないので、ドブ板選挙をするしかない。政策にはほとんどタッチできません。
●【宮台】自立に向けて舵を切ろう、アメリカに依存する国であることをやめよう。田中角栄はそう考えて、対中国外交と対中東外交でアメリカを怒らせる独自路線を走ろうとしたわけです。それが例の「ピーナツ」という暗号が書かれたものが誤配されて見つかったという発覚の仕方で五億円事件まで行く。(略)いろいろな政治家に聞いてもアメリカの関与は良く分からないのですが、「田中角栄のようなことをやってはいけないんだな」という刷り込みにはなりました。
●【宮台】行政官僚には「無謬原則」がある。官僚機構の中では人事と予算の力学が働くので、「それは間違っていた」とは誰も言い出せない。これは大東亜戦争中の海軍軍司令部や陸軍参謀本部問題でもあります。
●【飯田】世界では自然エネルギーへの投資額が毎年30%-60%ほど伸びています。10年後には100兆円から300兆円に達する可能性がある。20年後には数百兆円、今の石油産業に匹敵する可能性がある。
日本はこの投資の1-2%しか占めていません。日本は「グリーンエコノミー」の負け組みなのです。新しい経済を生み出す側で負けてしまっている。
一方で日本は化石燃料を年間23兆円、GDPの約5%を輸入しています(2008年)。石油、天然ガス、石炭です。(略)(石油と石炭の)二つが、今後貿易黒字を縮小させるなど日本経済の負担になっていきます。新しい経済の側でどんどんチャンスを失い、しかも日本の電力は石炭だらけですから、その石炭代と、それで増えたCO2を減らしたことにするためのクレジット代でますます電気料金が上る。原子力はコストパフォーマンスが極めてお粗末ですから、新しい原発はできず、稼働率は低く、事故だらけ。それをまた石炭で補う。という極めて暗い未来像になります。
→常識的に言えば、自然エネルギーへの転換が、日本の未来にとって、中国対策にとってでさえも、米国支配からの脱却という面でも、ベストな選択だろう。芥川の「危険思想とは、常識を実行に移そうとする思想である」という言葉が思い浮かぶ。唯一の心配は、飯田のこの試算がほんとうに正しいかどうか、ということだろう。
●【飯田】霞ヶ関文学の本質はフィクションと現実を繋いでいく言葉のアクロバットです。
●【宮台が飯田の半生を要約】p74 -
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2011年3月11日の大震災で福島第一原子力発電所が再起不能の大事故を起こしたのを契機として原発の存続の是非が議論されている。いまや日本の電力の2割強を閉める原子力発電が今回の事故で閉鎖もしくは縮小の道が模索され、日本全体が節電や自粛の渦中から抜け出せない。
原子力の穴を何かで埋めなくてはならない。不足する電力をいかに補うのかは焦眉の急だ。しかし、次のエネルギーをどうするかという議論にはなかなか進まない。それは我が国の構造的な問題がある。本書はまさにそうした現体制への批判書として読むことができる。
飯田哲也氏は原子力発電の技術者出身で、その内情を知り原子力の欠点と将来性のなさを悟って自然エネルギーへの転換を主張する科学者であり、実践者である。内情を知るだけにその言葉の重みはあり、関係者の名前を明記したかなり生臭い話まで登場する。それは本書が対談という形式をとっているからこその特徴だろう。
本書には大企業によるエネルギーの独占状況に関しての強い批判がある。確かに日本人にとっては電気はその地域を広域で取り仕切る電力会社から買うものというのが常識化しており、その大規模な電力事業を確保するために、供給地から遠くはなれた過疎地に発電所を造るというのが無批判に受け入れられている。福島や柏崎、さらには東通までが「東京電力」であることを知らずにいた関東の住人が大多数だろう。
今回の震災で原子力発電は現況のまま継続することはきわめて危険であることは分かった。震災がなくても核サイクルの技術的破綻でやがて行き詰ることは目に見えていたのである。反原発の動きは今までもあったが「非現実的」の名のもとに抹殺されてきた。それが逆に原発を使えず困窮する現実に結びついたのはなんとも皮肉なことであった。
本書には原発なきあとの日本のエネルギー事情についての提言が少しだけある。例えば、自然エネルギーへの転換を進めるとともに、小規模な発電設備を増やしエネルギーの自治やネットーワーク状に電気をやりとりできる方法を模索するべきだとある。しかし、この点に対する言及は極めて少なく、私のような門外漢が具体的なイメージを構築するにはいかにも物足りない。つまり本書は現状への批判の書としては一定の役割があるが、将来への提言としてはかなり物足りない。対談集という形でまとめた限界といえるのだろうか。
エネルギー問題に関するリテラシーはもっと高めなくてはならない。本書のような啓蒙書でさえ、意味不通の文言が数多く出ている。それは私の勉強不足が最大の要因ではあるのだが。 -
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久しぶりに発売日前に予約して、急ぎ読んだ本。ここでいま形にしようという意気込みもきっとあったはず。
素晴らしいのだけど、これをどう広めたらいいのかとひたすら思う。
真新しいことより既にあったことのが多い内容で、だからこそ。そうなったらいいな、こうできたらいいな、こうしたいな、は確かに頷き意気込むばかりなんだけど、じゃあさあ今日明日どうする、という課題は、わたしごとき一人じゃあんまりにも実践的でなく思いつかない。何ができる気もしない。砂漠に一滴の水。だからこそ。
南は今回の件で助かったのではなく置いていかれた結果になりはしないかという予感が日に日に強くなっている。意識や文化のレベルで。それこそ、空気が。 -
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目次
はじめに
第一章福島第一原発事故をもたらしたもの
第二章「安全」という神話
第三章今こそエネルギーシフト
(このブックレットは『世界』2011年5月号掲載の対談「自然エネルギーの社会へ再起しよう」に大幅加執したものです。)
岩波ブックレット。54Pの薄い本です。対談形式でとても読みやすく、ページ数は少ないですが、纏まっていて、飯田氏特有の説得力もあります。
分厚い本を読まなくても、これで、大体大まかな、原発の今昔の問題点、エネシフの流れが分かる感じではないでしょうか。(逆に細かな部分はありません。)
前半で、政治や学者・マスコミの問題点語った上で、エネルギーシフトが必然。そしてその具体例や今後の展望などが語られる。
後半ではそれを踏まえて、日本のエネルギーシフトの必然が語られる。
自然エネルギーについて、具体的な祝島の例や日本の地域に沿った具体的な例も提案されているので、興味深かく、
また飯田氏に加えて、鎌仲氏の映画監督視点でのお話が挟まれているのが、理論理論の本でなく、個人的には好きでした。
現在の原発依存型の社会に絶望している者としては、再生可能エネルギーの未来的展望など、読後、とても希望を感させてくれる本です。
対談型の編集(字も大きい^^)なので、非常に読みやすいと思います。
逆に、詳しい方にとっては、物足りない内容かもしれません。
難しい話がだめな私でも、内容が分かりやすかったので、そういう方に特におすすめです。