猪股和夫のレビュー一覧
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ノルウェーの作家ヨルン・リーエル・ホルストの「猟犬」を読み終えました。
最近読んだ「未解決事件四部作」の、「カタリーナコード」「鍵穴」「悪意」「疑念」より前に書かれた小説で、物語の時系列も5年ぐらい前の話。
とはいえ、最近の四部作と同様に、ヴィスティングの冷静な捜査は健在。少し若いヴィスティングと、少し若いリーネ(ヴィスティングの娘)が、協力して事件の核心に迫っていく。
とても面白かったし、ヴィスティングも相変わらずかっこいいのだけれど、事件の流れのパターンが、未解決事件四部作と似てるな〜と思いました。
たまたま、日本語訳されている作品が同じようなパターンなのか、それともヴィスティング -
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資本主義経済体制の世界史 産業革命を機に未曾有の経済発展を実現した
その成功ゆえに「地球環境の制約」という新たな本質的課題に直面している
加えて「コロナ禍」が加わり、経済体制の見直し・改革論が噴出してきている
マルクス資本論ブームはその象徴である
著者は軽々に資本主義経済体制の終焉論には与しない
代わり得る体制が明らか出ないこともあるが、資本主義はまだまだ使える体制と評価
しかし新自由主義の行き過ぎは是正しなければならない
ケインズ的な「マクロ管理」の強化を主張する
地球という視点で、社会インフラ・ネットワークの再構築を行うと言うことである
短期的効率主義により、電力・鉄道・通信・道路・教育・ -
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ヨーロッパ全域を襲った未曾有の大規模停電。
元ハッカーのマンツァーノをはじめ、
各地(各国)の電力公社や国自身、そしてテロ対策部隊などがこの危機に向かっていく。
人々ははじめこそ楽観視していたが、
停電が長引くにつれ、不安や恐怖が肥大していき、食料や燃料を強奪するといった暴動も起き始めている。
彼らは、この危機をどのように対処していくのか。
そして、この停電をおこした犯人は誰で、何が目的なのか。
というあらすじ。
登場人物の多さ、視点の切り替わり、場所の移動といったことが注目するところかな。
文章でよむとちょっと大変さがあるけど、
映画にしたら面白そうな内容。
後半に期待。 -
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ネタバレ北欧からのサスペンスで、珍しくノルウェーが舞台。文章が滑らかで読みやすく、適宜混ぜられる風景描写やキャラ付けも上手い。一人称の小説だが、面白いのは父と娘それぞれの視点で描かれ、警察官である父が追う17年前の事件にまつわる真相と、記者である娘が追う現在の殺人事件が、やがては(予想通りに)結びついていく構成になっていること。どちら側も丁寧に描いてあるので気持ちよく読める。しかも、北欧ものにしては珍しく?残酷描写も少ない。
そもそもこの訳者がうまいのかもしれない。特に北欧というか英語圏以外の小説の場合、登場人物の名前が憶えにくいので詳しい人物一覧が載っているのもありがたかった。
ただこれがシリーズの -
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[リークスをリーク]アフガン及びイラク戦争に関する記録や米国の国務省の外交機密を公開して世界的な注目を集めたウィキリークス。創設者であるジュリアン・アサンジの足跡をたどりながら、公開がどのようにして行われたか、影響はどのように広がったか、そして今後ウィキリークスはどのような道を歩んで行くことになるのかについて思索を重ねた一冊です。著者は、いくつかの文書の公開時にパートナーとしてウィキリークスと協力した独『シュピーゲル』紙の記者であるマルセル・ローゼンバッハとホルガー・シュタルク。訳者は赤坂桃子、猪俣和夫、福原美穂子の3名。
著者が極めて近くでウィキリークスを見てきただけあり、知られざる内幕 -
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「ガラスの鍵」賞を受賞した、ノルウェーの警察小説。
手際のいい書きっぷりで、スリリング。
楽しめました。
ヴィリアム・ヴィスティング警部は、警察勤務31年のベテラン。
17年前の事件で証拠捏造があったとある日突然訴えられ、停職になってしまう。
捜査権もない立場で、自らの無実を立証できるのか‥?
娘のリーネは新聞記者になって5年。
ある事件の取材中、父の危機を前もって知り、特種をとろうと必死になっていた。
それぞれに限界はある身だが、真相を突き止めようと協力し、離れていても支えあう父娘。
ヴィスティングは長く連れ添った妻をなくし、その後に思いがけずにスサンネという恋人が出来た。
だが、スサ -
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17年前の証拠偽造の責任を問われて停職処分になったヴィスティング刑事が新聞記者の娘と共同して真実を暴く物語。休日中や停職中の刑事を主人公にしたミステリというのは、それがシリーズ作品であったりすればなおのこと個性的なストーリーになることが多い。停職により、銃器やバッジを携帯していなかったり、警察署の資料を公的に漁ることができなかったり、底意地の悪い上司の妨害に合ったりするのが定番だからだ。
いわゆる普通の捜査ができずハンディキャップを背負っている刑事である。しかも自分を罪に問う疑惑を、その逆境から自力で救い出さねばならない。主人公であるヴィスティングはノルウェイでは人気のシリーズでありなが -
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久しぶりの長編小説を読んだ。
ヨーロッパを襲う大規模停電がメインである。
東日本大震災を体験した日本人には、あまりにもリアルな内容である。
ITを基盤にしたインフラは便利な反面乗っ取られるとすべてがコントロールを失う。
電気がなくなればどうなるか。
電気があって当たり前の社会でえは、水、食糧からすべての生活が奪われる。
原発も非常用電源には燃料が必要になるがその燃料も供給が止まる…
今後、スマートグリッドの導入も近いかもしれないが、これを読んでしまうと考えさせられる。
ITにすべてを委ねると便利だがすべてを失うことも考えられる。
私も何が正しいものか結論はでていない。
ぜひたくさんの方 -
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時宜に合ったすごい小説だ。いろいろもどかしい部分や、筋を追いかけるのにやや難があったり、犯行の動機が今更感が拭えないなどの欠点はあるが、人間の本性を描き切った点を高く評価できる。3・11の時の太平洋側の東北各県の経験を彷彿とさせ、この小説のような最悪の事態にはならなかったことは、日本人の特性だったのかと思ったりする。実際に2003年のニューヨーク地区の停電を経験した身には、あれが1週間も続いていたらと、ゾッとする。あの時はアパートの33階にいて、その上下にはうんざりさせられたものだ。なお、この小説では原発事故に触れているが、ツッコミが足りずその結末が曖昧な点、フクシマを人ごととしか見ていないと
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