猪股和夫のレビュー一覧
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基本的に経済史から説く立場なので、読んでいて安心感がある。産業革命がなぜイギリスで起こったのかという答えとして「労働者の給料が高くて、機械化がワリにあった」というシンプルなもので、わっかりやすーい。貯蓄は悪! なぜなら「全員が貯蓄」するのは不可能だし、貯めれば貯めるほどお金がまわらなくなって不況になるから! だから稼いでる奴から税金とって、そのぶん政府が仕事してお金を回そうよ、労働者の給料上げようよ、という提言も「だよねー」ってかんじ。経済発展をGDPの成長と同一視するのではなく、「生産性の底上げを超える部分はバブルじゃん」とこれも納得。読みやすい反面、「ぎゅっ」とまとめられないエッセイ的なと
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ノルウェー発の警察小説。
17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮した刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行なわれたのか?そして真犯人は誰なのか?世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起きていた…。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説。
途中でヘニング・マンケルのあのシリーズに登場する町が登場。何だかうれしかった。 -
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シリーズ八作目というハンデは関係なしにすらすら読めた。訳が秀逸。ブラボーです。
タイトルの『猟犬』は事件に喰らいつくさまを表しているが、そこからイメージするような直情型の主人公ではない。受難の状況下にあっても感情をコントロールし、今できることをやる、大人なプロフェッショナルなのだ。そんな父に協力するのが新聞記者の娘。この父娘の関係が非常によい。家族としての絆は感じるがべたべた感はなく、職務ときっちり線引きしながら調査を遂行してるのも好ましい。
北欧の警察シリーズというと、どうしてもヴァランダー・シリーズと比べてしまうのだが、ヴァランダー・シリーズのような社会的メッセージはなく、警察官として -
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ノルウェイを舞台にする本書は北欧ミステリー界有数の賞であるガラスの鍵賞の受賞作。
訳者の後書きによれば、シリーズ物の8作目との事ですが、前7作を読まずとも十分楽しめる内容でした。
ストーリーは17年前の女性誘拐及殺人と冤罪疑惑を絡めたもので、犯人とされた男性が釈放されることから始まります。
男性は警官による証拠の捏造を訴えるのですが、その主張には根拠があり、その為、かつてその事件の捜査指揮を取った主人公は停職、そして刑事捜査の対象となってしまいます。
この事態に受け、主人公はかつての捜査資料の中から証拠捏造犯を探しだそうとします。
しかし、17年前と同じく、女性が誘拐される事件が発生し・・・ -
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久しぶりの長編小説を読んだ。
ヨーロッパを襲う大規模停電がメインである。
東日本大震災を体験した日本人には、あまりにもリアルな内容である。
ITを基盤にしたインフラは便利な反面乗っ取られるとすべてがコントロールを失う。
電気がなくなればどうなるか。
電気があって当たり前の社会でえは、水、食糧からすべての生活が奪われる。
原発も非常用電源には燃料が必要になるがその燃料も供給が止まる…
今後、スマートグリッドの導入も近いかもしれないが、これを読んでしまうと考えさせられる。
ITにすべてを委ねると便利だがすべてを失うことも考えられる。
私も何が正しいものか結論はでていない。
ぜひたくさんの方 -
- カート
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試し読み
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はい今回は「ブラックアウト」です。
ヨーロッパで突然発生した停電を皮切りにヨーロッパ全域に広がる…。インフラのストップ、食料の奪い合い、暴動、原発の異常発生。元ハッカーの主人公はこの事件は人為的なものであることに気づく。
感想としてはドラマ24的な感じでした。序盤はメインの主人公達の立ち位置の紹介でちょっとあっちこっちするけど中盤以降はザーッと読んでます。
ヨーロッパの都市名とかに疎いせいで地図の引っ張りだしたりでいろいろ面白かったです。
プログラミングとかやってた人は犯人のトリックとかも楽しめると思います。
インフラのストップや暴動、電力ストップで病院などがダメになるシーン、電力供給の大 -
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通常この手の“世界規模のパニック大作”で舞台になるのは、決まってアメリカ合衆国の大都市部のいずれかというのが定番なところを、欧州全体が主要舞台となっている。どころか、他の地域はほとんど出てこないというのが異色中の異色♪
邦人からすれば聞き慣れない(読み慣れていない?)地名や人名がわんさと出てくることに初めは違和感があるけど、それを乗り越えさえすれば リアルな極限状況 がじわじわと迫ってくる、展開は多少もどかしくとも壮大なスケールで広がるディザスターものが味わえる。主人公が八面六臂の大活躍をすることはするんだけども、基本的には普通の人間(元スゴ腕、ではあるけど)なので、荒事にもトラブル、サバイバ -
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この小説に限っては最初に翻訳者の解説を読んだ方が、スムーズに読み進めることができるようになってます。
なぜって、多い登場人物のなかでも、重要となる人物5人の名前や設定を軽めに記載されていたからです。
3.11の津波による原発施設の沈黙とメルトダウン報道から作者は着想を受けたそうですが、反原発を訴えるというより、原発を発端としたパニック小説。
場面がどんどん変わっていくため馴染みのない都市の名前が出てきてもどの国の都市だ? と調べながら読み進めました。有名な都市なのでしょうが、よほど好きで、なんどもヨーロッパ各地を歩き回ってるの! なんて人じゃあないと日本人には地理を把握するのは難しかな。