猪股和夫のレビュー一覧

  • 猟犬

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    先日、著者の来日時にトークを聞きに行き読み始めた。

    17年も昔に捕らえた誘拐殺人犯が刑期を終えるや冤罪を訴える。証拠品捏造の罪を被せられ、停職を強いられた刑事が新聞記者の娘と真相に迫る。

    刑事と娘というコンビも良いし、それぞれが抱える問題もそれとなく描いて深みを出す。

    なにより、事の次第はどうなのか、最初はまどろっこしいのだが点と点が繋がり始めてからは、そのゆっくりとした滑り出しこそが全て必要だったことがぽろぽろと見えてくる。すばらしい。

    ノルウェー、いいなあ。

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    2016年03月26日
  • 資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか

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    基本的に経済史から説く立場なので、読んでいて安心感がある。産業革命がなぜイギリスで起こったのかという答えとして「労働者の給料が高くて、機械化がワリにあった」というシンプルなもので、わっかりやすーい。貯蓄は悪! なぜなら「全員が貯蓄」するのは不可能だし、貯めれば貯めるほどお金がまわらなくなって不況になるから! だから稼いでる奴から税金とって、そのぶん政府が仕事してお金を回そうよ、労働者の給料上げようよ、という提言も「だよねー」ってかんじ。経済発展をGDPの成長と同一視するのではなく、「生産性の底上げを超える部分はバブルじゃん」とこれも納得。読みやすい反面、「ぎゅっ」とまとめられないエッセイ的なと

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    2016年01月31日
  • 猟犬

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    ノルウェー発の警察小説。
    17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮した刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行なわれたのか?そして真犯人は誰なのか?世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起きていた…。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説。

    途中でヘニング・マンケルのあのシリーズに登場する町が登場。何だかうれしかった。

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    2015年05月31日
  • 猟犬

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    ネタバレ

    なかなか人の名前が頭に入らなくて、何度も話を戻って読み返しましたが、ストーリーは面白かったです。
    犯人も予想がつかず、ぎりぎり最後までその点も興味を持って読めました。
    また新しい作品が出たら、読みたいと思います!

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    2015年04月23日
  • 猟犬

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    シリーズ八作目というハンデは関係なしにすらすら読めた。訳が秀逸。ブラボーです。

    タイトルの『猟犬』は事件に喰らいつくさまを表しているが、そこからイメージするような直情型の主人公ではない。受難の状況下にあっても感情をコントロールし、今できることをやる、大人なプロフェッショナルなのだ。そんな父に協力するのが新聞記者の娘。この父娘の関係が非常によい。家族としての絆は感じるがべたべた感はなく、職務ときっちり線引きしながら調査を遂行してるのも好ましい。

    北欧の警察シリーズというと、どうしてもヴァランダー・シリーズと比べてしまうのだが、ヴァランダー・シリーズのような社会的メッセージはなく、警察官として

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    2015年04月05日
  • 猟犬

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    ノルウェイを舞台にする本書は北欧ミステリー界有数の賞であるガラスの鍵賞の受賞作。
    訳者の後書きによれば、シリーズ物の8作目との事ですが、前7作を読まずとも十分楽しめる内容でした。

    ストーリーは17年前の女性誘拐及殺人と冤罪疑惑を絡めたもので、犯人とされた男性が釈放されることから始まります。
    男性は警官による証拠の捏造を訴えるのですが、その主張には根拠があり、その為、かつてその事件の捜査指揮を取った主人公は停職、そして刑事捜査の対象となってしまいます。
    この事態に受け、主人公はかつての捜査資料の中から証拠捏造犯を探しだそうとします。
    しかし、17年前と同じく、女性が誘拐される事件が発生し・・・

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    2015年03月14日
  • ブラックアウト 上

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    1404 ヨーロッパでのテロリストによる大停電の話。スケールも大きく読み応えあり。ハリウッド映画っぽい!

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    2014年05月08日
  • ブラックアウト 上

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    久しぶりの長編小説を読んだ。
    ヨーロッパを襲う大規模停電がメインである。
    東日本大震災を体験した日本人には、あまりにもリアルな内容である。

    ITを基盤にしたインフラは便利な反面乗っ取られるとすべてがコントロールを失う。
    電気がなくなればどうなるか。
    電気があって当たり前の社会でえは、水、食糧からすべての生活が奪われる。
    原発も非常用電源には燃料が必要になるがその燃料も供給が止まる…

    今後、スマートグリッドの導入も近いかもしれないが、これを読んでしまうと考えさせられる。

    ITにすべてを委ねると便利だがすべてを失うことも考えられる。
    私も何が正しいものか結論はでていない。

    ぜひたくさんの方

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    2014年04月30日
  • ブラックアウト 上

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    ヨーロッパ全域を襲った大停電。原発事故も発生する。舞台は広範囲に及び登場人物も多いので最初は全体像がつかみにくい。でも、カットバックの手法でぐいぐい読ませる。下巻の展開がまったく読めない。

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    2013年10月20日
  • ブラックアウト 下

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    現代ヨーロッパでテロによる大規模停電が引き起こされたら....というパニック・サスペンス。

    上下巻計1000pという大作だが、上巻の後半以降はあっという間に読み終えてしまった。自分達の"日常"がわずかな攻撃でいかに簡単に崩れ得るか。とてもフィクションとは思えない重厚感+緻密さに、メディア畑出身という著者の本気が窺える。

    電力網の崩壊を引き金にドミノ倒しに崩壊する世界。それに立ち向う、決して"ヒーロー"でない人間臭さ全開の主人公。そして現代社会への警鐘 ....非常に満足な読後感にしばらく浸れそうだ。

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    2013年09月27日
  • ブラックアウト 上

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    ヨーロッパでの大規模停電が人為的に引き起こされたら...という非常にリアルなフィクション・サスペンス。

    「効率」という大きなキーワードのもと、1つのシステムとして繋がってきた電力供給体制の安全性や"スマートグリッド化"への視点が本書を通じて磨かれると感じた。

    ヨーロッパの電力事情や供給体制に関する情報量が膨大であり、ここまで著者はどのように調べたのだろうと驚く。本書はフィクションであるが状況設定が非常にリアルで、とても「物語」とは思えない出来。
    一巻約500ページかつ上下巻と分量は多いが、その分下巻でも非常に重厚な展開が期待出来そう。

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    2013年09月25日
  • 全貌ウィキリークス

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    ガーディアン紙の編集者によって書かれた類書と重複する部分も多いですが、内容はこちらの方が詳しいです
    著者はOSSやハッカー文化にも通じてるようで、技術的な部分にも参考にすべき部分は多いと思われます。訳者の知識量に若干問題があるようですが
    マニング氏が社会的に抹殺されて、スノーデン氏さえもアメリカ政府に同じ目にあわされようとしている今、持ち帰るべき内容は多いと思われます

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    2013年08月23日
  • ブラックアウト 下

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    はい今回は「ブラックアウト」です。
    ヨーロッパで突然発生した停電を皮切りにヨーロッパ全域に広がる…。インフラのストップ、食料の奪い合い、暴動、原発の異常発生。元ハッカーの主人公はこの事件は人為的なものであることに気づく。
     
    感想としてはドラマ24的な感じでした。序盤はメインの主人公達の立ち位置の紹介でちょっとあっちこっちするけど中盤以降はザーッと読んでます。
    ヨーロッパの都市名とかに疎いせいで地図の引っ張りだしたりでいろいろ面白かったです。
    プログラミングとかやってた人は犯人のトリックとかも楽しめると思います。
    インフラのストップや暴動、電力ストップで病院などがダメになるシーン、電力供給の大

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    2013年04月11日
  • ブラックアウト 下

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    登場人物が多すぎて犯人がどんな人間でどんな名前かもうろ覚えの状態でひたすら物語を追っていった。それだけでも十分ドキドキハラハラできて面白かった。犯人がどうのというより実際にヨーロッパの電気が原因不明で止まってしまったらどんなことが起こりうるのか?それがとても興味深くて事前準備が本当に大切なのだということを改めて思い知らされた作品。地続きのヨーロッパと島国の日本では地理的にも国柄的にも違う問題が発生するのだろうなと考えたりすることもできて、当たり前のものが当たり前にある生活の大切さが分かる作品だった。

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    2013年03月09日
  • ブラックアウト 上

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    突然発生した大停電は瞬く間にヨーロッパ全域へと拡大した。混乱が続き暴利・暴動を生み、衣食住の安心安全が奪われ、医療・介護・原子力発電所・経済・政治あらゆる社会インフラが麻痺してしまった。イタリア人の元ハッカーが停電の原因にいち早く気づき各所へ連絡するがイタズラと思われ相手にされない。ようやく彼の言葉に耳を傾ける人間が出てきたが・・・。洋書は人名が覚えられなくて文章を読むのに慣れるまで時間がかかる。今回は特に人物・地名が多いため大変だったが、慣れるととても面白く読みやすい作品。時々出てくるフクシマが悲しい。

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    2013年03月09日
  • ブラックアウト 下

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    後半に入って、テンポよく話が進み、一気に読み終わりました。電気が無くなるだけでこれだけ社会が影響を受けるというのがショッキングでした。

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    2013年02月24日
  • ブラックアウト 下

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    下巻は一気に読んでしまった!電気がない社会は秩序を維持できない..
    冷却出来ず起きる原発事故をフクシマみたいに、と描写されるのはなんだか悔しいというかかなしいというか。
    主人公がヨーロッパ中を駆け巡る勢いは面白かった!

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    2013年02月16日
  • ブラックアウト 下

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    ちょうどヨーロッパを旅してる時に読んだおかげで、地名が身近に感じれて楽しかった。最初は登場人物の多さについていくのが大変だけど、テンポも良く徐々にストーリーに引き込まれていった。新人作家とのことだが、次回作が気になる良作。

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    2013年01月03日
  • ブラックアウト 上

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    通常この手の“世界規模のパニック大作”で舞台になるのは、決まってアメリカ合衆国の大都市部のいずれかというのが定番なところを、欧州全体が主要舞台となっている。どころか、他の地域はほとんど出てこないというのが異色中の異色♪
    邦人からすれば聞き慣れない(読み慣れていない?)地名や人名がわんさと出てくることに初めは違和感があるけど、それを乗り越えさえすれば リアルな極限状況 がじわじわと迫ってくる、展開は多少もどかしくとも壮大なスケールで広がるディザスターものが味わえる。主人公が八面六臂の大活躍をすることはするんだけども、基本的には普通の人間(元スゴ腕、ではあるけど)なので、荒事にもトラブル、サバイバ

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    2012年12月12日
  • ブラックアウト 上

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    この小説に限っては最初に翻訳者の解説を読んだ方が、スムーズに読み進めることができるようになってます。
    なぜって、多い登場人物のなかでも、重要となる人物5人の名前や設定を軽めに記載されていたからです。


    3.11の津波による原発施設の沈黙とメルトダウン報道から作者は着想を受けたそうですが、反原発を訴えるというより、原発を発端としたパニック小説。
    場面がどんどん変わっていくため馴染みのない都市の名前が出てきてもどの国の都市だ? と調べながら読み進めました。有名な都市なのでしょうが、よほど好きで、なんどもヨーロッパ各地を歩き回ってるの! なんて人じゃあないと日本人には地理を把握するのは難しかな。

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    2015年12月06日