小出裕章のレビュー一覧
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ネタバレp.118から「地球を温め続ける原発」という節がある。ここに、驚くような数字がある。
本書によれば、年間に日本の国土から、河川を通じて流出する水の量が約4000億トンである。それに対して、54基の原発から排出される温排水が年間に約1000億トンであるという。その温排水は、原発に入ってくる時よりも排水されるときのほうが7度も高温であるという。
本書のこれらの数値を用いて、たとえば温排水が海の表面で厚さ1mで広がるとすると、40年くらいで太平洋の何パーセントの海面を覆うのか、といった試算ができる。近年の海面温度上昇の実測値などと比較することもできる。 -
Posted by ブクログ
日本が地震列島であることは東日本大震災が起きる前から知られた
事実である。しかし、その事実に目をつぶり御用学者を動員し、国策
の名の下、原子力発電所が建設されて来た。
何度も引き合いに出すが、鎌田慧『原発列島を行く』には国が、電力
会社が、過疎地の自治体の頬を札束で張って原発を建設して来た
ことが綴られている。
『原発のウソ』で安全性・低コストという噓のベールを引きはがし、
分かりやすく解説した著者は、本書でもまた淡々と怖いことを
綴っている。
この期に及んでも原発を生き残らせようとする国と電力会社は
福島第一原発事故の責任さえうやむやにしようとしている。
そして「原発を再稼働させなけ -
Posted by ブクログ
著者は京都大学の原子炉実験所助教である。助教というのは序列でいえば講師より下だ。著者はずっと原発に反対していた為、原子力のアカデミズムの中では当然出世は不可能だ。しかし、今まさに著者が危惧していた事態となったわけであり、従って原子力御用学者やマスコミが垂れ流してきた、「原子力は安価(火力・水力より高い)でクリーンで安全(今でもそう主張する人が多い)なエネルギー」というデマに対して、ほぼそれを受け入れてきた国民にも責任がある訳だ。もはやこうなってしまった以上日本は放射能と共に暮らしていかなければならない国となったため、国内で採れる全ての食品に対して放射線検査を実施し、放射線量の低い食品のみ子供は
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Posted by ブクログ
ネタバレ友人が貸してくれました。
小説でもなにのに、新書を読んで泣きそうになるなんて初めて。小出先生がどんな思いで反原発を訴えつづけてきたのかがひしひしと伝わってきました。
少なくとも私は、政府や原発賛成派の人たちの「福島原発の事故は収束している」だとか「放射性物質があったとしてもただちに影響はない」だとかいう言葉より、小出先生の「もうすでに日本中が放射能に汚染されていて、私たちは汚染された世界を受け入れて生きていくしかない」とか「もはや完璧に汚染されていない食品だけを食べ続けるなどということは不可能」という言葉の方がずっと信じられる。それは本当に信じたくないような事実だけど、でも今ここにいる私たちが -
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Posted by ブクログ
「低線量の被曝はかえって体にいい」とかとんでもない発言をしていた
専門家もいれば、原子力の平和利用を研究する過程で「そんなこと
出来やしない」と気付いて反原発を訴えるようになった専門家もいる。
著者は40年に渡り反原発を訴え続けている人である。同じように
反原発でも「放送禁止物体」と呼ばれる広瀬隆とは異なり、感情に
走る部分が少なく、分かり易く原子力の危険性を教えてくれる。
亡くなった高木仁三郎氏がそうだったように、この人も良心の研究者だ。
本書は専門用語も少なく、例えも理解しやすいので中学生からでも
読めるだろう。
放射性物質が人体に及ぼす影響、原発事故直後に嫌と言うほど繰り
返された