小出裕章のレビュー一覧
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騙された人には、騙された責任がある。経済的なことをはじめとして、あらゆる不利益をこうむりつつも、脱原発を訴え続けた信念の学者である筆者が説く日本国民が今知るべき脱原発の真実がここには記されています。
これを書いている現在、民主党から自民党への大規模な政権交代が起こり、本書が記されている民主党政権は跡形もなく瓦解しておりますが、原発問題に関することは、ほぼ一切焦点にはされず、今現在も、そしてこれからも、大きな問題として横たわっていくことでしょう。本書は3.11以降、その発言が俄然注目される筆者が、経済的なことをはじめとするあらゆる不利益をこうむりつつも、「原子力発電所の事故を未然に防ぎたい」と41年間、切に願ってきた信念の科学者の叫びは、届かぬままレベル7というチェルノブイリ原発と同じランクに位置づけられる原発事故を迎えることになったのです。
他の文献を見ていても、日本政府の混乱振りはすさまじく、当時、彼らの判断ミスや、隠してきた情報のおかげで、余計な被害をこうむってしまったということは現在では常識なのかもしれませんが、まだまだ明らかになっていない『事実』は明るみになっていないかと思われます。ここでは政府、東電のみならず、『騙された』我々にも責任がある、とも説いております。この中に書かれていることは、今の日本人が原発事故に関して疑問に感じていることがほぼすべて明らかになっていて、その中には目を背けたくなるようなことが少なくありません。
ただ、今後も何十年と『事故処理』や『放射能』と付き合っていかざるを得なくなっているからこそ、読んでみる価値はあるかと思われます。 -
Posted by ブクログ
六ヶ所再処理工場がどれほど環境に最悪な施設であるか。
もし六ヶ所再処理工場が事故を起こせばどれだけの被害が出るかのシミュレーション(国は安全だから事故を起こさないという前提でそんなことは一切やっていない)をした記述。
地殻的な見地から危険な活断層をできるだけ小さく少なく評価する今の国の原発審査機関の欠陥を指摘した記述。
そして、原発が六カ所再処理工場がいつの間にか原爆を作ることができるような法律がいつの間にか通過していたことなど、三人の専門家による細かなレポートがいかに六カ所再処理工場が危険で最悪な施設かをあぶり出している。
今とめるべきは六カ所再処理工場であり、ここを止めることによって原発さえも運用できなくなる要であることがこの最悪の施設の役目でもある。
なとしても止めなくてはいけないという施設であることがこの本を読めばはっきりと分かるはずです。 -
Posted by ブクログ
周知のことではあるがすでに破綻している筈の
核燃料サイクルの一環として強引に建設が進んでいる
青森県六ヶ所村の再処理工場である。
問題だらけの施設であるが、
第一に完成の目処が立っていない。
費用は膨らみ続け、予定の倍以上の巨費を投じているがまだ増えそうである。
第二に完成して稼働すると、通常の原発の数倍もの放射線を出し続ける。
第三に取り出したプルトニウムを使用する核融合炉「もんじゅ」が
トラブル続きで実用化の目処が立っていない。
第四に施設の真下を活断層が通っている疑いがあり、巨大地震、津波の可能性が否定できない。
...ざっとあげただけでも問題だらけで、これを推進するのはもう狂気の沙汰としか思えない。
納得のいく説明が一切なされていないことが、あらゆる原子力行政に一貫する問題点である、と思う。 -
Posted by ブクログ
小出先生は福島第一原発のレベル7という究極の大事故以来様々なメディアを通じて、デタラメとも言えるような「安全情報」をタレ流し続けた政府や御用学者のふざけた解説をよそに。事故当時から誠実に正直にそして素人の私でも理解しやすく、複雑な原子力発電所の構造やそこで起きている事実(データ)を踏まえての今後の見通し、そして難解な核反応の理論や放射性物質の性質とその危険度を丁寧にネットの中で科学者(専門家)として冷静沈着な言葉で発信してくれた。そんな彼のシビアで合理的な解説は、時に私達の心を揺らし、そして彼の主張に深く共感させられ今日に至っている。今回、新たに出版したこの本は、はからずも騙されてしまった私達の責任の取り方を、この国の善良な国民ひとり一人がしっかりと考え行動し、放射性物質というやっかいなモノと共に生きて行く覚悟を私達に教えてくれている。
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Posted by ブクログ
原発の問題は、個人の生き方だけでなく、国家の在り方、歴史、経済、哲学思想に至るまで、あらゆるジャンルに関して考えることを余儀なくする問題であることは私だけでなく多くの日本人が思うことだろうが、やはり「専門家」であるという信頼で文章を読むことが出来ること。クリーンエネルギーとしての原発に魅了されて科学者の道を選び、その中で反原発に転じて、それでも科学者として大学に留まるという生き方は、なかなかできるものではないと思う。
著作も多く、メディアへの露出も増えていて、揶揄する声もあるかとは思うが、最後の「ガンジーの7つの大罪」ということに、いたく共感して次第である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ原子力発所は何度か行ったことがあるけど、本当に間近まで普通に民家があった。要塞のような敷地内に入ると、目の前に広がる海、真上に広がる空、どちらも遮るものがなく、そこに無防備にそびえる原子炉建屋の光景に、異様な心もとなさを感じた記憶がある。
当時は「ミサイル攻撃でもされたらおしまいだなぁ」と思った。まさか地震と津波であのような大惨事になるとは思ってもみなかった。そもそも安全な土地に立てられているはずで、たとえ災害に見舞われても何重にも安全策がとられているはずだったのだから。
「朽ちていった命」に次いで、読んで思ったのは「人間は原子力を制御できない」。放射線医療のような人の役に立つ面もあるけれど、発電所のような大規模施設でひとたび暴走すれば人間の手に負えるものではないということ。プルトニウムの毒性が1000分の1に減るまで24万年かかるそうで、放射性物質が漏れ出せば影響は永久に終わらないということだ。
本書の前半は、昨春の段階で福島原発で起きていたこと、なぜ復旧作業が進まないのか、原子力、放射能とは何かが分かりやすく解説されている。
怖かったのは「安全な被曝は存在しない」のくだり。どこかで放射性物質が検出されるたび、ヒステリー状態になってしまうのは、やはり取り越し苦労ではないのだと思った。被曝から身を守る方法も書いてあるけれど、結局は「逃れられない」と思う。
後半は原子力発電を進めてきた国と電力会社の論理、電力会社がつぶれないわけ、原子力発電がエコでもクリーンでも安全でもなかったという「安全神話」の欺瞞をあばいている。
過疎地の海辺。福島原発の映像を見たとき、自分が見たあの風景とあまりに似ていて驚いた。原子力発電所が電力消費地の都会にない理由。安全な場所につくったのではなく、危険だから僻地につくったという、明白な事実を再認識した。
筆者は脱原発は可能だと説いている。★ひとつ分は、推進派の考えを知りたいと思ったので。
「起きてしまった過去は変えられませんが、未来は変えられます。」との前書きを読んで、どういう未来を選択するか、知らないで思考停止せず、考えないといけないと思った。ちなみに筆者は助教とのこと。やはり反体制で干されてきたのだろうか。