小出裕章のレビュー一覧
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騙された人には、騙された責任がある。経済的なことをはじめとして、あらゆる不利益をこうむりつつも、脱原発を訴え続けた信念の学者である筆者が説く日本国民が今知るべき脱原発の真実がここには記されています。
これを書いている現在、民主党から自民党への大規模な政権交代が起こり、本書が記されている民主党政権は跡形もなく瓦解しておりますが、原発問題に関することは、ほぼ一切焦点にはされず、今現在も、そしてこれからも、大きな問題として横たわっていくことでしょう。本書は3.11以降、その発言が俄然注目される筆者が、経済的なことをはじめとするあらゆる不利益をこうむりつつも、「原子力発電所の事故を未然に防ぎたい」と -
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六ヶ所再処理工場がどれほど環境に最悪な施設であるか。
もし六ヶ所再処理工場が事故を起こせばどれだけの被害が出るかのシミュレーション(国は安全だから事故を起こさないという前提でそんなことは一切やっていない)をした記述。
地殻的な見地から危険な活断層をできるだけ小さく少なく評価する今の国の原発審査機関の欠陥を指摘した記述。
そして、原発が六カ所再処理工場がいつの間にか原爆を作ることができるような法律がいつの間にか通過していたことなど、三人の専門家による細かなレポートがいかに六カ所再処理工場が危険で最悪な施設かをあぶり出している。
今とめるべきは六カ所再処理工場であり、ここを止めることによって原発さ -
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周知のことではあるがすでに破綻している筈の
核燃料サイクルの一環として強引に建設が進んでいる
青森県六ヶ所村の再処理工場である。
問題だらけの施設であるが、
第一に完成の目処が立っていない。
費用は膨らみ続け、予定の倍以上の巨費を投じているがまだ増えそうである。
第二に完成して稼働すると、通常の原発の数倍もの放射線を出し続ける。
第三に取り出したプルトニウムを使用する核融合炉「もんじゅ」が
トラブル続きで実用化の目処が立っていない。
第四に施設の真下を活断層が通っている疑いがあり、巨大地震、津波の可能性が否定できない。
...ざっとあげただけでも問題だらけで、これを推進するのはもう狂気の沙汰 -
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小出先生は福島第一原発のレベル7という究極の大事故以来様々なメディアを通じて、デタラメとも言えるような「安全情報」をタレ流し続けた政府や御用学者のふざけた解説をよそに。事故当時から誠実に正直にそして素人の私でも理解しやすく、複雑な原子力発電所の構造やそこで起きている事実(データ)を踏まえての今後の見通し、そして難解な核反応の理論や放射性物質の性質とその危険度を丁寧にネットの中で科学者(専門家)として冷静沈着な言葉で発信してくれた。そんな彼のシビアで合理的な解説は、時に私達の心を揺らし、そして彼の主張に深く共感させられ今日に至っている。今回、新たに出版したこの本は、はからずも騙されてしまった私達
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原発の問題は、個人の生き方だけでなく、国家の在り方、歴史、経済、哲学思想に至るまで、あらゆるジャンルに関して考えることを余儀なくする問題であることは私だけでなく多くの日本人が思うことだろうが、やはり「専門家」であるという信頼で文章を読むことが出来ること。クリーンエネルギーとしての原発に魅了されて科学者の道を選び、その中で反原発に転じて、それでも科学者として大学に留まるという生き方は、なかなかできるものではないと思う。
著作も多く、メディアへの露出も増えていて、揶揄する声もあるかとは思うが、最後の「ガンジーの7つの大罪」ということに、いたく共感して次第である。 -
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ネタバレ原子力発所は何度か行ったことがあるけど、本当に間近まで普通に民家があった。要塞のような敷地内に入ると、目の前に広がる海、真上に広がる空、どちらも遮るものがなく、そこに無防備にそびえる原子炉建屋の光景に、異様な心もとなさを感じた記憶がある。
当時は「ミサイル攻撃でもされたらおしまいだなぁ」と思った。まさか地震と津波であのような大惨事になるとは思ってもみなかった。そもそも安全な土地に立てられているはずで、たとえ災害に見舞われても何重にも安全策がとられているはずだったのだから。
「朽ちていった命」に次いで、読んで思ったのは「人間は原子力を制御できない」。放射線医療のような人の役に立つ面もあるけ