あらすじ
■内容紹介
この事故を風化させてはならない。
福島原発事故から1年半経った今だからこそ書ける真実。
40年以上一貫して原子力反対を訴え続ける著者が綴った究極の反原発論。
福島原発事故から1年半が経ったが、いまだに事故は収束していない。放射性物質の放出は続き、ガレキ処理はままならず、避難者の帰還のめども立っていない。多くの作業員が被曝覚悟で事故処理に当たる中、政府は大飯原発再稼働を強行。40年以上にわたり原子力に反対してきた著者が事故の風化を警告し、改めて原発の危険性を説き、原発ゼロ社会実現への思念を綴った反原発論。
■著者紹介
小出 裕章(こいで ひろあき)
1949年、東京生まれ。京都大学原子炉実験所助教。1968年、原子力の平和利用に夢を抱いて東北大学工学部原子核工学科に入学。1970年、女川での反原発集会への参加を機に、原発をやめさせるために原子力の研究を続けることを決意。1974年、東北大学大学院工学研究科修士課程修了(原子核工学)。専門は放射線計測、原子力安全。著書に『原発はいらない』(幻冬舎ルネッサンス新書)など多数。
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Posted by ブクログ
反原発を主張される著者による、福一事故後1年後の著作です。原発推進における社会的矛盾や構図を的確に指摘されています。本書上梓後10年を経ていますが、そのご主張は色褪せていないように感じました。現在も福一では作業が継続し状況は変わらないのかもしれません。建設の経過はどうにもなりませんが、事故処理だけでも「差別」のない、適正な対応を当事者である東電には取っていただきたいと感じました。私自身は何もできませんが、著者の思いに共感を得ることができました。
Posted by ブクログ
日本が地震列島であることは東日本大震災が起きる前から知られた
事実である。しかし、その事実に目をつぶり御用学者を動員し、国策
の名の下、原子力発電所が建設されて来た。
何度も引き合いに出すが、鎌田慧『原発列島を行く』には国が、電力
会社が、過疎地の自治体の頬を札束で張って原発を建設して来た
ことが綴られている。
『原発のウソ』で安全性・低コストという噓のベールを引きはがし、
分かりやすく解説した著者は、本書でもまた淡々と怖いことを
綴っている。
この期に及んでも原発を生き残らせようとする国と電力会社は
福島第一原発事故の責任さえうやむやにしようとしている。
そして「原発を再稼働させなければ停電するかもしれませんよ」と
いうネガティブ・キャンペーン。事故の反省など全くせずに、自分
たちの資産を守ることだけにその力は向けられている。
「冷温停止状態」という妙な表現まで使って、福島第一原発の
事故収束宣言を出した日本政府だが、原子炉の状態がまるで
分かっていないのによく宣言出来たものだと思う。
収束しているというのであれば、当時の首相はじめ閣僚は
福島第一原発近くに住居を移してみろよ。勿論、一家総出で。
出来ないはずなんだから。
過疎地だから犠牲になってもいい。そんな理論は通用しない。
都会の人間の生活を支える為に、過疎地の人々の生活を
犠牲にしていいはずがない。
原発がなくとも必要な電力は賄うことが出来る。そうして私たち
は生活の利便性を追求することを止めればいい。
ある地域に住まう人たちの命だけが軽視されていはいけない。
差別から生まれた生活の快適さなんて、放棄したっていい
じゃないか。
Posted by ブクログ
相変わらずの小出節が小気味よい。住む家や職場を追われて苦労されている方には誠に申し訳ないが、人口密集地域が致命的に汚染されるような大惨事にならないうちに反原発運動が国民的支持を集めるようになって幸運だったと思う。チェルノブイリで原発の危険性に気づき、関連書物を読み漁ったり記事スクラップなどを始めてからはや四半世紀の時が流れた。当時の無関心さからすると隔世の感がある。
経済的、資源的にもなんら意味がなく、高レベル廃棄物処理のめどが立たない原発は即刻廃炉にすべきである。